堀田茜さん「『自分のこと正しいと思っていすぎ』と夫に言われました」上手なケンカの仕方って?

うまくケンカできない私たち…どうすればいいですか?

CLASSY.世代の、結婚していたり同棲しているカップルにケンカの実態を調査。リアルなお悩みと、それに対する茜ちゃん清田さんの共感&突っ込みに注目です!

〈お悩み1〉

『ケンカには基本ならないのですが、絞り出して言うとすれば、彼氏が友人と飲みに行き、今日は帰ってくる!と言ったのに帰ってこないことがあります。こちらは起きて待ってます!これが何回伝えても直らないので、私が少し拗ねて怒ってしまいます。また、私が今日ご飯作りたくない!と言うと「じゃあなんかUberする?」と言ってくれる彼。そうじゃなくてあなたに作ってほしいんです!私が疲れていて14時までお昼ご飯を作らずにダラダラしていたとき、彼は1人でお家にあるお菓子を黙々と食べていました…。もやし買ってきて!と言って買ってきてくれたときは、150円のもやし。私はいつも30円くらいのを買っているので、呆れてしまいます。』(金融関連勤務・27歳/彼はIT関連25歳・交際期間2年10カ月)

150円のもやし、には怒っていい(笑)!(茜)

清田:「ケンカには基本ならない」、「絞り出して言うと」…と始まっていますが、ベースに「こんなことで目くじらを立てるのはよくないかな…」という心理があると思います。
茜:小さなことで不満を言うって思われたくない気持ち、わかります。でも、150円のもやし、怒っていいと思う(笑)!
清田:怒る、不満を伝えること自体にすでにジェンダーが立ちはだかっていて、女性側から異議申し立てをしづらいというハードルが今の社会全体にある気がします、でも、“怒っていい”と自覚することが、2人が対等に話し合うための第一歩だと思います。
茜:この方も、120円の差に怒っているんじゃないですよね。
清田:これで「120円払うよ」と返すと彼女の怒りのボルテージはさらに上がりますよね。金銭感覚や生活力、そういった価値感のすり合わせは一緒に暮らしていくために必要不可欠だからこそ、何に不満を持っているか、どうして欲しかったかを明確に伝えたほうがよさそう。120円に怒っているんじゃなく、そういうことに無関心なのが悲しい、ということを伝えるといいかもしれません。

〈お悩み2〉

『とにかく黙る・返事が返ってこない・または返事がとにかく遅い彼。長いと平気で1時間以上黙ってますし、そのせいで日が暮れて次の日まで持ち越すことも…その間は一方的に私だけ話すしかなく向こうは一言も発しません。こちらとしては嫌なケンカは基本的には早く終わらせたいのに…これじゃあ終わらなくて日が暮れるじゃん…となると無駄な時間を過ごしたと思って腹が立つし、待っている時に感じている苦痛にも腹が立つし、こっちは伝えているのに返ってこないことに不公平を感じるし、時間が経てばいいと思ってる?ことにも腹が立ちます!』(アパレル勤務・27歳/彼はIT関連27歳・交際期間2年)

彼は“とにかく機嫌をなだめればいい”と思っているかも(清田さん)

茜:一方通行なコミュニケーションは虚しいし、どう思ってるかわかならない、ちゃんとケンカができないのってしんどいですよね。
清田:とりあえず時が過ぎるのを待つ、やり過ごすタイプの男性と、話し合いたい女性の間にもジェンダーギャップが。そもそも、話し合いという行為のスタンスに差を感じます。この場合の女性側は、「目の前の問題について互いの意見を述べ合い、そのすり合わせを図る行為」と捉えているのに対して、及び腰の男性だと「相手の機嫌をなだめる行為」と考える傾向があります。
“だんまり”が続くと待っている側の機嫌が悪くなってしまいそうです(笑)。
清田:感情的に詰め寄られると、相手は嵐が過ぎ去るのを待つ姿勢が強くなるだけなので、一旦仕切り直して、平穏なときに気持ちを伝える方が現実的かも。
 :話し合いができない理由を紐解くために、まずはそれ自体を議題にあげて相手の気持ちに耳を傾けるのも近道かもしれないですね。

〈お悩み3〉

『私が何か指摘したときに、夫も思うことがきっとあるだろうに、言い返してこないこと。ケンカにならないのでありがたいけど、うまく聞き流しているふうで、聞いてなさそうなときもあるのでヒートアップしかけてます。夫としては「怒ってるときに言い返すと、ケンカになるだけだから言わない」だそうです。』(商社勤務・28歳/彼は商社勤務28歳・結婚1年)

このタイプの彼には、家庭内経営会議を持ち掛けるのが吉(清田さん)

茜:これもまた、嵐が過ぎ去るのを待つスタンスですね…(笑)。聞き流されるパターンで、「ごめんごめん」や「わかったわかった」のような軽い返しにもモヤモヤしちゃう方、多いのかなと思います。
清田:「言い返すとケンカになるから」っていうのは、まさにぶつかり合いを避けたい気持ちの表れ。責められると、自分の立場が不利だと自覚していて、ケンカ=勝ち負けの構図で捉えてしまっている気がします。愛情というものでカバーされがちだけど、夫婦でも他者と他者。これが会社の会議だとスルーはしませんよね。夫婦の話し合いは、家庭内の経営会議。「今、〇〇にモヤモヤしています。あなたはどうですか」といったように、定期的に会議を設けてみるのがオススメ。
他者同士が同じ環境で生きていくって大変。考え方、生活、習慣、いろんなことが違うというところからのスタートだから、「わかってくれる」は通用しないし、ロジカルな会議形式は有効だと思います。

〈お悩み4〉

『無意識でしょうが、嫌なことがあると舌打ちする彼。ケンカが終わっても不機嫌さを引きずることもあり、困っています。』(IT関連勤務・34歳/彼はIT関連勤務34歳・結婚4年)

不機嫌はズルい!(茜)

清田:話しかけるなオーラを出したり、威圧的な態度をとったりして不機嫌な態度をまきちらすのは、モラハラです。不機嫌な態度に出ている人は、相手を選んでやっている可能性が高い。つまり、「この人なら大丈夫」という計算あっての不機嫌な態度といえます。
茜:不機嫌になられるのが嫌で、ケンカをうやむやに終わらせたり、話し合いをあきらめたりすることもありますよね。
清田:不機嫌になれば要望が通りやすく、プライドも保てて相手が自分に合わせてくれる。問題と向き合わずに済み、体裁を取り繕うためのコストもかからない…、“不機嫌”ってある意味便利な手段なんです。
茜:ズルいような気がします。どう対処したらいいでしょう?
清田:まずは、男性は感情の言語化が苦手な場合が多いと理解することが大事。「なんかイライラする」の“なんか”に向き合う時間をちゃんと取れるよう、相手の話をじっくり聞くスタンスを示したうえでのコミュニケーションを積み重ねていく。付焼き刃の話し合いに意味はなく、結論や意見を急かしすぎないことも効果があると思います。

〈お悩み5〉

『私も彼も議論好きなタイプで話し合いに問題はないのですが、より相手にわかりやすくダメージを与えてやる!という気持ちが出てきて言ってはいけないことや鋭いフレーズを使ってしまいます。でも伝えたいこと自体は間違っていない、と思っているのでやめられません…。』(マスコミ勤務・27歳/彼は広告関連30歳・交際期間1年10カ月)

時間も労力もかかるケンカなのに、相手を痛めつけても結局得しませんよ(清田さん)

イラッとすると、つい強い言葉でやりこめようとしがちですが、相手の琴線に触れる強いワードは思いのほかパワーを持ってしまうこともありますよね。
清田:相手を打ち負かしたい、論破することが目的になってしまうとせっかくのケンカも無駄になるかも……。
茜:確かにそうかもしれませんね。
清田:相手の心をえぐるような言い方をして、相手を傷つけてしまった自覚があるなら素直に謝る。謝罪には、自分が軽視されたという憤りから解放されるというエンパワーメント効果があるそう。時間も労力もかかるんだから、どうせケンカするならお互いフラットに。相手を傷つけてこちらが得をすることはないと思うので。

〈お悩み6〉

『些細なことですぐケンカしますw つい最近は髪の毛ロングの方がよかったと言われてカチンときて2日間、口ききませんでした。』(マスコミ関連勤務・27歳/彼は公務員28歳・結婚半年)

髪の毛のことは氷山の一角かも。(清田さん)

茜:2日間口をきかないって、相当怒ってますね。でも、髪の毛のことはあくまできっかけで、これまでに積み重なったイライラの最後の着火剤な気もします。
清田:そうですよね。無視=相手とのコミュニケーションを断絶する態度を選択するにはやっぱりそれ以前にたくさんのモヤモヤや思いがあるはず。話し合いのコストも馬鹿馬鹿しいと思ってしまう。その気持ちを自覚しましょう。でも、人の話を聞かない人も多いなか、「察して」というサインは、なかなか伝わりません…。
茜:やっぱりここは何に腹が立ったかをクリアにして共有する必要がありますよね。でないと、またケンカをしてもそのうち機嫌が直るだろうとスルーされてしまいそう。
清田:些細なことでケンカすることが増えたら、その背景にあるイライラの根本に目を向けてみる。それをちゃんと共有して共感してもらうことで、相手の大事にしていること、譲れない部分にも気づけるようになるはずです。

“読者のお悩みを受けて…茜ちゃんと清田さんが思ったこと”

ケンカは、大好きな相手といい関係を続けるためのもの。「あなたの意見が聞きたい」というスタンスで(清田さん)

清田:何かを提言した時に、男性だったら勇気を持って切り込んだと評価されるところも、女性だとうるさいととられてしまったり。一方男性側は、日々の忙しい生活で時間も体力もないなか、本音をぶつけて謝って…と、コストの高いコミュニケーションであるケンカに向き合うのを避けがちな人が多い気がします。
茜:ケンカって、ただ怒りたいわけでも勝ちたいわけでもない。私の気持ちを知ってほしい、あなたの考えを教えてほしいというのがベースにあって、2人の考えが違っていてもいいから、違っているからこそ、納得のいくまで話したいよね!と改めて思いました。
清田:逃げがちな男性は、責められる、怒られるって身構えちゃう。でも、コスパもタイパも悪くても、パートナーと建設的な関係を築くためにはそういったタフなコミュニケーションが不可欠。話し合い=相手の気分を収める場だと思っている男性には、「まず、あなたの考えを知りたい」というスタンスで、話し合いのテーブルについてもらうのもいいと思います。
茜:読者のお悩みの最後に、「普段あまり自分の思いを口にしない彼が、ケンカのときは正直に私への想いを言ってくれるからそれが嬉しい」や、「ケンカは嫌だけど、彼は私にとって代替不可能な存在だから頑張る」などのコメントもあって、なんだかキュンとしました♡
清田:大好きな相手だから、関係を続けるためにケンカはするものだということを、忘れないようにしたいですよね!

教えてくれたのは…
清田隆之さん
1980年生まれ。文筆業、「桃山商事」代表。5歳の双子の父。ジェンダーやカルチャー、恋愛や結婚、お悩み相談など幅広いテーマで発信。著書に「よかれと思ってやったのに──男たちの「失敗学」入門」(双葉文庫)、「戻れないけど、生きるのだ 男らしさのゆくえ」(太田出版)など多数。

堀田 茜さん
1992年生まれ。モデルだけでなく俳優やラジオナビゲーター、CM、バラエティ番組などでも幅広く活躍。CLASSY.モデルとして今月号はカバーも。来月号で再開の巻頭連載「ほったらかしにしたらアカン!」読者と同世代のリアルな意見が参考になると評判。

[茜衣装]ブラウス¥25,300(ウィムガゼットルミネ新宿店)ジャケット¥35,200(ノーブル/ノーブル有楽町マルイ店)パンツ¥9,900(GAP)ピアス¥23,100リング¥28,600(ともにプラス ヴァンドーム)
撮影/杉本大希 ヘアメイク/小松胡桃(ROI) スタイリング/近藤和貴子 取材/北山えいみ 編集/小林麻衣子 再構成/Bravoworks,Inc.
※CLASSY.2025年6月号「もっとちゃんとケンカしよう!」より。
※掲載中の情報は誌面掲載時のものです。

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表紙モデル:山本 美月