「初めてのことがどんどん減っていく今こそ…」井桁弘恵(27)のキャリア観【写真集発売記念インタビュー・後編】

28歳の誕生日である2月3日に、5年ぶりとなる写真集『つかのま』を発売する井桁弘恵さん。コンセプトから写真選びまで、深く関わって作ったという一冊に込めた彼女の思いとは。インタビュー後編では、キャリア、人間関係、そして結婚…今の彼女の本音を探ります。

5年ぶりの写真集は、向き合い方ががらりと変わった

――写真集では、写真選びも井桁さんが一から関わって作ったと伺いました。被写体として、作り手として…どんな視点を持っていたのでしょうか。
写真の寄り引きや、表情に偏りがないようにバランスを考えました。一冊を通してなんとなくの時系列もあったので、その流れに沿ったテンションも意識したセレクトになっています。私の主観で選ぶと自分の好きな顔ばかりになると自覚していたので、スタッフのみなさんと相談して最終的に決めたカットもあります。衣装のスタイリングも、スタッフ全員の意見を聞きながら決めました。携わるみなさんが納得する写真集にしたかったので、制作全般で周りの意見を柔軟に聞く姿勢も大事にしていました。
――まさにチームで作り上げた一冊ですね。客観的に自分の写真を見て、どう感じましたか?
地元・福岡で撮ったパートは、若く見えるというかあどけなさがあって…少女時代に戻っているような感じがしました。特に祖母のおうちで撮影した写真は力が抜けていて、本当に自然体! また、1st写真集のときはあまり撮らなかったランジェリーのカットにも今回は挑戦。色気とまではいかないけれど、27歳なりの大人の雰囲気が出ているかも?と思っています。
――2020年に1st写真集『my girl』を発売されて以来の写真集。この5年を振り返って、ご自身の中でどんな変化がありましたか?
前回の写真集はまだ23歳だったし、初めてということもあり、どちらかというと受け身だったかもしれません。今回は自分の意見をみんなに共有し、反映してもらえたことで、かなり能動的に取り組めました。この5年で色々な撮影を経験して「自分もこうしたい」という欲が出てきたのもあるし、そこに対しての責任感もより強く感じるようになったんです。「こういう自分を見せたい」と発信したいことを、ちゃんと俯瞰で捉えられるようになったかも?と思います。

もう新人でも初心者でもないけど…〝こなすだけ〟にはなりたくない

――写真集発売の2月3日は井桁さんの28歳の誕生日。20代後半になり、キャリア観に変化はありますか?
20代後半は仕事に慣れてきて、初めてのことがどんどん減っていく世代だと感じています。1回目は失敗が許されるところもありますが、2回目はそうはいかない。もう新人でも初心者でもない中で、1回目をどう越えるべきか、どんな仕事も新鮮に楽しめるようにどう気持ちを持っていくべきか? が最近の課題です。経験値が上がった今こそがリスタートだと考えています。私って、何事も1回目が調子いいんですよ(笑)。そつなくこなせちゃうタイプだから、初回にしてはまぁまぁいい点が取れる。でも2回目になると努力した人が強くて、こなせるだけじゃ敵わない。学生時代からそういう経験をしてきて、自分的にも自覚はあるし、そこがコンプレックスでもあるんです。
――CLASSY.読者も、ちょうど仕事に慣れてくる年代だと思います。
そうですよね。私も台本をスムーズに覚えられるようになったり、いろんなお仕事をする中でだいぶ慣れてきたなぁと感じることが多いです。昔はひとつひとつが心配で、入念に準備をして臨んでいたのが懐かしい…! 一見成長したようにも思えますが、できちゃうことが分かってしまうと、向き合う熱量も弱くなっていく気がするんです。キャリアを重ねれば重ねるほど、ひとつひとつの仕事に丁寧に向き合っていくことが大切だと思っています。

無理していろんな人と仲良くするより、心地いい人と一緒にいたい

――昨年は数多くのドラマやCMに出演、ファンクラブサイトも開設。2025年の目標はありますか?
無理をせずに、でも全力で取り組むことが目標です。不安だったり嫌だと感じたことに無理して向き合う必要はないけれど、やると覚悟を決めたらとことんやる。そのメリハリをつけられるようにしたいです。20代前半の頃は、「なんでもやらなきゃ!」ってがむしゃらに突っ走ってきましたが、大人になって自分の苦手なことが分かってきた分、取捨選択して無理なく取り組めることに力を注いでいきたいです。あとは、まだまだ仕事が最優先になりそうですが、以前のCLASSY.のインタビューでもお話しした〝ひとりでいる以上に心地よくいられる誰か〟を見つけられたらいいなと思っています。無理していろんな人と仲良くするよりも、「親しくなりたいな」と思った人には、年齢や性別問わず自分から誘ったりアプローチするようにしています。
――以前のインタビューで「ひとりの時間ってやっぱり色々考えちゃう」とお話ししていましたね。
そうなんです。そういう時間を誰かと一緒に過ごして、悩みを共有できる時間になればいいな、と。ひとりの時間を持つことも大事ですが、たくさんの出会いがある仕事をしているからこそ、信頼できる人を増やして人間関係を豊かにしていきたいと思うんです。大人になると新たな友達ってなかなか作りにくいと思うので…なおさら意識したいですね。

自分の人生に期待をしすぎない

――仕事、転職、結婚、出産…と、悩み多きアラサー世代。井桁さんはそんな経験はありますか?
悩んでいるのかも…しれないです。でも今は結婚願望はあまりなくて、苦悩というよりは何が正解なのか考えることが多いかも。結婚や出産に直面して向き合っている友人の話を聞いていると、「親のためにもするべきなのかな」と感じたりするのですが、自分の人生だし、親が責任を取ってくれるわけでもないし、と思い直したり。そういう葛藤があるのは事実です。私自身、自分の人生に期待をしすぎていないのかも? 昔からきちんと人生設計を描くタイプではなくて、目の前のことに向き合い続けた結果、〝今が楽しい〟という感じで過ごしてきました。結婚や出産に対して明確な欲望があまりないので、当分は為すがままというか…自分にとっての正解を模索することが続くと思います。
――結婚への向き合い方も多様化していますが、理想とする夫婦像はありますか?
お互いの時間に余白があって、強要しない関係性に憧れます。知り合いのご夫婦で、趣味が似ていて一緒に過ごす時間がありながらも、お互いのひとり時間も大切にする素敵なふたりがいるんです。私もよく一緒にキャンプやテニスに行くのですが、どちらかの友人が混ざっても快く受け入れてくれて。相手の時間や人間関係を尊重し合える、風通しのいい夫婦像が理想です。

がむしゃらに頑張ってきた20代前半を経て、自分にとって大切なものが見えてくるアラサー世代。仕事に対しても、人との関係性も…井桁さんが今感じていることは、同世代女子ならきっと共感することも多いはず。そんな井桁さんが丁寧に作り上げた写真集は、収められた写真一枚一枚から彼女の心の中が見えるよう…ぜひ手に取ってみてください。

井桁弘恵写真集『つかのま』

モデル・女優として幅広く活躍する井桁弘恵の、5年ぶり2冊目の写真集が本人の誕生日である2025年2月3日に発売。今回の撮影地は、彼女の出身地である福岡と、いつか訪れてみたいと願っていた憧れの地・トルコ。地元・福岡では、思い出の地を巡ることで生まれたあどけない表情、自分の原点を振り返る中で垣間見えた少しセンチメンタルな感情が切り取られています。一方、トルコでは、好奇心いっぱいの彼女が新しい地にときめく瞬間や、ちょっと大人の雰囲気を感じさせる大胆なショットなど、様々な心揺さぶられる体験から芽生えた多彩な表情が収められています。

2025年2月3日発売
144ページ/29.7×21×1.3cm
¥3,850
撮影/遠藤優貴
小学館

【PROFILE】
いげた・ひろえ 1997年生まれ。福岡県出身。身長170cm。早稲田大学在学中より本格的に芸能活動を始め、俳優、MCと活躍。昨年秋にはファンクラブサイトを開設。28歳の誕生日である2 月3 日に写真集『つかのま』を発売。
igetahiroe.official-fc.app

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●井桁さん衣装クレジット
ニット¥41,800シャツ¥27,500スカート¥24,200(すべてガジェス)タイツ¥3,080(靴下屋/タビオ)ピアス¥15,950(フルトクイスト・コペンハーゲン/ZUTTOHOLIC)スニーカー¥63,000(ホーガン/トッズ・ジャパン)

●お問合わせ先
ガジェス https://www.gajess.jp
ZUTTOHOLIC https://zuttoholic.jpn.org/
タビオ 0120-315-924
トッズ・ジャパン 0120-102-578

撮影/遠藤優貴 ヘアメーク/室橋佑紀(ROI) スタイリング/乾 千恵 取材/坂本結香

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最新号 202503月号

1月28日発売/
表紙モデル:藤井夏恋

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