社内の人や取引先と電話をする時、電話の内容だけでなく、言葉遣いにもきちんと気を配っているでしょうか?
この記事では、“ビジネスの電話で使う間違えがちな日本語”をピックアップしてご紹介します。
普段、何気なく使っている言葉が実は誤りだった、なんてことも……。正しい日本語で話せているか、ぜひチェックしてみましょう。
1.「もしもし」
ビジネス電話で「もしもし」と言ってはいませんか? 自宅やプライベートでの電話なら良いですが、ビジネス電話で「もしもし」と言うのはNGです。
「もしもし」とは元々、「申す申す」が簡略化したものだと言われています。電話が普及した当時は回線状況が悪く、つながっているのかを確認するために「おいおい」という言葉を使っていたそうです。しかし、「おいおい」では相手に失礼だということから「申す申す」を短くした「もしもし」が作られたとされています。
つまり「もしもし」は電話が普及した当時のなごりであり、また、決して丁寧な言葉とは言えません。
そこで、電話を受ける時は「はい、○○でございます」、かけ手の時は「失礼ですが、○○様ですか?」と切り出すようにしましょう。
2.「部長は、いらっしゃいません」
外部の人への電話で「(弊社の)部長はいらっしゃいません」などと言うのは適切ではありません。なぜなら社外に対して社内の人は「身内」であり、身内には尊敬語や敬語を使わないのが一般的だからです。
上記の「(弊社の)部長はいらっしゃいません」には二点誤りがあります。まず一つは「部長」という言い方。そもそも役職名自体が敬語なので、社外の人に対しては「部長の○○」と呼び捨てにしましょう。
そして二つ目が「いらっしゃいません」。「いらっしゃらない」は「いない」の尊敬語なので、身内である部長の動作には使えません。この場合は謙譲語の「おる」を使い「部長の○○はおりません」と言うのが適切な言い回しです。
そのほかにも、社外の人に対しては「部長の○○が、そのように申しておりました」、「○○の戻り時間は分かりかねます」といった言い方をします。併せて覚えておきましょう。
3.「忙しいところすみません」
相手に謝罪の気持ちを伝える時、つい「すみません」と言ってしまう人は意外と多いものです。しかし、「すみません」はどこか間に合わせのニュアンスがあり、誠意を伝える言葉としては重みに欠けるためビジネスシーンでの使用はおすすめしません。
謝罪の気持ちは「すみません」ではなく「申し訳ございません」と伝えるようにしましょう。「申し訳ございません」は、ビジネスにおいてさまざまなシチュエーションで使われています。
人に依頼する場合や断る場合など「申し訳ございませんが……」と一言添えるだけで、相手への気遣いが感じられる言葉です。そのため、ビジネス電話においても「忙しいところすみません」ではなく「お忙しいところ申し訳ございません」と言うようにしましょう。
ビジネス電話では、電話の内容だけでなく言葉遣いや話し方も意外と聞かれているもの。言葉遣い一つで、自分や会社に対する印象が変わることもあります。ぜひ今回ご紹介したような、正しい日本語を用いるようにしましょう。
参考文献
浦野啓子『問題だ!そのバイト語』(東洋経済新報社)
文/大内千明 画像/Shutterstock(MinDof、Who is Danny、Lisa S.)