【選挙対談】藤井サチ&トラウデン直美「投票したい候補者がいないときはどうする?」〈衆院選2024〉

今週末の10月27日は衆議院選

今週末の10月27日は衆議院選挙!急な解散、そして総選挙で、まだ誰に投票したらいいのか、どの党の政策がいいのか、検討することすらできていない人も多いのでは。そこで、CLASSY.モデルとしてだけでなく、報道番組でも活躍する知性派モデルの藤井サチさん、トラウデン直美さんのお二人に、選挙や政治と私たちCLASSY.世代がどう関わっていくべきか、どうやったら楽しめるかのヒントになるよう、対談をしていただきました。

「個人的に困っていることの理由が、政治にあるかもしれない、という視点を持つようにしています」(サチ)

――選挙に向き合う際に、ふたり

――選挙に向き合う際に、ふたりが大事にしている視点を教えてください。

サチ:私は個人的に困っていることの理由が、政治にあるかもしれない、という視点を持つようにしています。例えば、こんなに働いているのにどうして貯金できないんだろうって思っていろいろ調べると、社会保険料がどんどん上がって手取りが少なくなっていることを知ったり。自分の不安や不満は、実は政治が関係しているかもしれないと意識することで、社会問題も選挙も自分ごとになっていく。その中で、抱えている問題を解決してくれる党は? 候補者は? と考えると選びやすくなると思います。

トラ:私は各候補者の公約は見ますが、政権としてどうなって欲しいかを軸に考えます。政権交代を望むなら、台頭し得る党を見極めたり、自分の考えと近いかどうかを調べたり。政策を見つつ、変わる可能性も信じたい。どんな考え方であれ、きちんと選挙に行って、自分の意思表示をしておかないと、あとから意見も言えなくなっちゃうなと思っています。

サチ:今の時代は、ありがたいことに調べればいくらでも情報は出てくるからね。それこそChat GPTを活用してもいいし、党や候補者がSNSで発信しているから、ネットを使って困りごとを調べるだけでも情報を得られる。私がよく使うのは画像検索。例えば「夫婦別姓 まとめ 政党」と画像検索すると○×表記の一覧表が出てくるから、見やすいし分かりやすい。そこから記事に飛ぶこともよくあります。

トラ:私はYouTube検索をよく使います。YouTubeは政治や選挙の基本的なことを知る入り口としても適していると思う。でも偏っているチャンネルもあるから、その見極めは必要!

サチ:確かに。ABEMAもカジュアルで面白い討論をしているチャンネルがたくさんあるから、おすすめです。

――ふたりは日常的に政治を語る

――ふたりは日常的に政治を語ることに抵抗があったりしますか?

トラ:抵抗というよりは、意識高い系って括られちゃう感じはあります。こういう話をインタビューじゃない場でもできるようになるって大事だと思うけど、とにかく政治の話はできないなって感じながら育ってきました。政治の話をすると、面倒くさいとか思われるんだろうなって。

サチ:確かに。私は中学生のときに、日本に来た留学生に「日本の政治ってどんな感じなの?」って聞かれたことがあったんだけど、みんななんて答えたらいいか分からないし、知識もないし、シーンってなっちゃって。それは衝撃的な経験だった。

トラ:番組で発言していることに対して「偉いね」って言われることもあるけど、それにも少し違和感を覚えてる。対話することが普通であって欲しいよね。

サチ:そうだね。私の周りにも「若い世代はそもそも母数が少ないから、選挙に行くだけ無駄」っていう人がたくさんいた。でも女性も一部の男性も選挙権がなかった時代があって、それを変えようと努力した人がいたから今があるんだよって話すと、「行ってみようかな」ってなるから、きっかけは人それぞれだけど、話すって大事だと思う。

「情報を鵜呑みにしないで、それを受けて自分で考えたり、さらに調べることが大事」(トラ)

――「選挙に行こうと思っている

――「選挙に行こうと思っているけど、票を入れたい候補者がいない!」というCLASSY.世代も少なくありません。そんな読者にアドバイスを!

サチ:厳しい言い方かもしれないですが、“その国の政治のレベルに国民のレベルが表れる”という言葉があって。それを頭の片隅に入れて、調べて知る姿勢が大事かな、と。そもそも調べるモチベーションがない場合は、自分の困りごとを洗い出してみることがひとつの動機付けになると思います。画像検索でもYouTubeでもいいし、Xで検索すればリアルタイムの情報も出てくる。あとは、TikTokでも党の討論会やインスタライブのショート動画が上がっていて、そういうものを見ると結構印象が変わるはず。大事な部分を切り取っているから、入り口としては結構使えると思う。インスタライブって長いし、字幕はないし、なかなか集中できないから……。

トラ:サッちゃんの言う通り、どこの国でも短いものが好まれる時代かなと思う。それは自分も含めて。ショート動画とかSNSを入り口にするのはいいと思うけど、裏付けも取らずに情報を鵜呑みにして信じ込むのは危険かも。それを受けて自分で考えたり、さらに調べることが大事だと思う。

サチ:本当にそう。私たちの世代って情報のリテラシーを習ってきてないから、情報を鵜呑みにしちゃう人もいると思う。データを参照した上で、取捨選択して自分の考えを決めるスタンスを大切にしたいよね。

トラ:インターネットの仕組み上、仕方がない部分はあるんだけどね。その人が見たがる情報が勝手に届くから、抜け出せない気持ちも分かる。私自身もすごく実感するし。

サチ:そういうときは、ネットから離れて街頭演説! あえて自分とは違う考えの候補者の演説を聞きに行くのも気づきがあって、かなりいいと思う。

トラ:サッちゃんが話してた小池さんの例(※別インタビューで)がすごくいいと思った! 反対派がこんなにいるんだって感じるのも貴重な経験だと思う。反対している人がいることは分かっていても、実態ってなかなか見えないから。街頭演説とかで実際に目にすると、急にリアルになるよね。

サチ:画面の中だとどんな人が応援しているのか、掴みづらいよね。演説自体、そんなに長くないし、駅前で行われることが多いから、帰り道にちょっと立ち止まって聞いてみるのもいいと思う。

トラ:私は政治の大きな流れや、候補者がこれまで取り組んできたこと、政治的立場は気になるし見るけど、候補者自身のパーソナリティにはそこまで重点を置いていないんだよね。

サチ:私は逆で、その人の人柄とか人生を知りたい。政策とか党の大きな流れよりは、一人一人についての方が興味あるのかも。

トラ:なるほどね。私は、公約を果たすことでどこを目指しているんだろう、とか、何を得ようとしているんだろうとか、そっちの方に興味がある。最終的には繋がっていくけど、見方が違うね。対話を通して、そういうことを知れるのも面白いね!

――では最後に、読者へこんなふ

――では最後に、読者へこんなふうに政治と向き合うと楽しいよ! というメッセージをお願いします。

トラ政治って意外とパズルとか謎解きっぽいなって思っています。「どうして今、こうなってるんだ?」って紐解いていくと、なんとなく構造が見えてくる。

サチ:分かる! 人によっては権力闘争が好きな人もいるかもしれないから、人事のパズルに注目してみても楽しいと思う。特に記者の人に多いイメージだけど、人事の予想が好きな人もいる。恩が重要視される部分もある業界だから、ドラマみたいな展開があって面白いかもしれない。

トラ:大学が政治学科だったから、政治好きな人も周りにいたけど、誰がバックアップしてるとか、派閥争いとか、面白がって見ているうちに好きになっちゃった、っていう人もいた。でも、一番変化を実感して、面白いなって思うのは、統一地方選挙かな。

サチ:私もそう! 自治体のトップになるといろんな権限が与えられる印象。世田谷区と中野区で11月1日から同性カップルの住民票の続き柄に、事実婚と同じ「夫(未届)」や「妻(未届)」と記載できるようになったり、明石市が「5つの無料化」を実現したり。自治体を見ると、結局はトップの判断なのかなって実感する。

トラ:東京都も子育て世代に手厚いよね。

サチ:国を変えたいなら、地方のトップになった方が早いのかも。地方自治体で何かを成し遂げれば、周りの自治体に与える影響も大きいし、国にも提言しやすくなると思うから。あとは、私の周りではNetflixの『新聞記者』で日本の政治の腐敗を知る人も結構いたかな。

トラ:映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』も面白かった。ドキュメンタリーを通じて政治に触れるのもいいよね。

【着用クレジット】
〈藤井さん分〉 ブラウス¥28,600(ティーチ)
〈トラウデンさん分〉 ニット¥14,000(バナナ・リパブリック)ピアス¥42,900(マリハ)スカート(私物)

【スタッフ】
〈藤井さん分〉撮影/花盛友里 ヘアメーク/笹本恭平(ilumini.) スタイリング/三好 彩
〈トラウデンさん分〉撮影/水野美隆 ヘアメーク/日高 咲(ilumini.) スタイリング/児嶋里美

取材/坂本結香 編集/永吉徳子

Magazine

最新号 202412月号

10月28日発売/
表紙モデル:山本美月

Pickup