ここ数年、マッチングアプリがきっかけで交際や結婚をする人が目立つ中、実は昔ながらの〝社内恋愛〟がじわじわ増えているそう。社内恋愛の良いところって、どういうところ…?専門家の意見や経験者のリアルな声を交えてご紹介します。
教えて!社内恋愛ってどうすればうまくいくの!?
H・Yさん(27歳/銀行勤務)の場合
3つ先輩の彼と上司にも同僚にも秘密で恋愛を楽しんでいます
“話しかけるなオーラが漂っていて怖い”と第一印象が最悪だった3つ先輩の彼。同じ部署で一緒に仕事をするうちに、仕事に対して熱い人だというのが分かり、少しずつ気になる存在に。
ある時、共通の先輩の退職祝いを一緒に買いに行ったことで距離が縮まり、その約2カ月後には付き合うことになりました。仕事中の彼はスーツ姿も言動もクールでカッコいいのですが、プライベートでは衣食住に無頓着でだらしない一面も…。今ではそんなギャップまでも可愛らしく思えます(笑)。
社内恋愛を禁止されているわけではないですが、バレたらどちらか一方が異動になるのではという心配から、社内の人には秘密にしています。会社の近くでは会わないようにするなど、気を遣わないといけない面もありますが「社内恋愛で良かった」と思えることもたくさん!この間も、体調が悪いなか出勤していた私に、こっそり付箋つきの栄養ドリンクを渡してくれました♥ (H・Yさん・27歳/銀行勤務)
《私が思う社内恋愛のメリット》
☑︎人間性を知ってから交際できる
☑︎共通の話題が多い
☑︎生活リズムが一緒
《私が思う社内恋愛のデメリット》
☑︎別れたあとも顔を合わせることになる
☑︎会社にバレると異動になるかも
S・Hさん(27歳/広告会社勤務)の場合
異動してきたどタイプの先輩に猛アプローチしとんとん拍子で入籍!
人事異動で私の所属する営業部に入ることになったのは、顔がどタイプな5歳年上の先輩。〝結婚しているらしい〟という噂を聞いていましたが、実際は独身で、しかも彼女ナシ!一目見たときからロックオンしていた私は、すぐに彼を残メシに誘いました。
そこでは思いがけず酔っ払いすぎてしまったものの、お酒の力もありすぐに意気投合。すかさず週末のデートを予約して、好意があることをアピールしました。そして3回目のデートで「私たちって、ただの先輩と後輩の関係ではないですよね…?」と最終確認をし、流れるように彼をゲット。交際が知れて会社の人から冷やかされるのが嫌だったので、バレないように交際を続け、半年後に〝入籍報告〟をしました。
コッソリコピー機の近くでイチャイチャしたことや、彼の部屋で二人が同じZoom会議に参加し、マイクがハウってしまいひやっとしたのも、今となってはいい思い出です(笑)。(S・Hさん・27歳/広告会社勤務)
《私が思う社内恋愛のメリット》
☑︎金銭感覚が似ている
☑︎仕事への理解度が高い
☑︎仕事の相談をしやすい
《私が思う社内恋愛のデメリット》
☑︎良いことも悪いことも筒抜け
☑︎先輩としての〝ご指導モード〟が私生活でも抜けない
K・Nさん(26歳・広告会社勤務)の場合
オープンな関係が公私混同にならないよう仕事により集中しました
晴れて社会人となった2020年の春、コロナ禍の影響で入社してすぐリモート勤務となったものの、同期とは新人研修などで顔を合わせることがありました。中でも、帰り道が一緒ですぐに仲良くなれたのが今の夫です(笑)。
出会いから交際までスピーディに進み、よくある〝3回目のデート〟で付き合うことに。迎えたカップルとしての初デートは、会社の人に会わないように…と江ノ島まで足を延ばしたのですが、なんとそこで上司にバッタリ!翌日には会社中に交際していることが知られてしまいました…。その後、3年間公開恋愛をして入籍へ。
今は別々の部署にいるので、仕事中に気を遣うことは減りましたが、カップル期だった3年間は同じ部署だったため、交際していることがマイナスに繋がらないように必死でした。部署の先輩がいい方ばかりだったこともあり、交際をうまくネタにして振る舞えましたが、毎日気が張っていたのは確かです…。(K・Nさん/26歳・広告会社勤務)
《私が思う社内恋愛のメリット》
☑︎休日&夜遅の仕事にもお互い寛容
☑︎仕事での人脈が2倍に
☑︎公私混同と思われないように仕事に励める
《私が思う社内恋愛のデメリット》
☑︎喧嘩した翌日が気まずい
☑︎職場で気を張りっぱなし
これを読んで気をつけたい…社内恋愛の失敗/泥沼エピソード
1.結婚2年目で夫が社内不倫…家庭も仕事もぶち壊しにされました
5歳年上の彼と2年の社内恋愛の末に結婚。結婚後は別々の部署になったものの、毎日一緒に出勤をしたり、家事をサポートし合ったりと仲良く結婚生活を送っていました。しかし、結婚して2年が過ぎた頃から彼の残業が急増。最初は彼のことを信じていたのですが、社内の噂から彼の不倫が発覚。相手の女性も社内の人だったため、嫌でも顔を合わせることに。私生活はぐちゃぐちゃ、会社では腫れ物に触るよう扱われ、生き地獄のような毎日です。(S.Iさん)
2.結婚を考えていた彼とまさかの破局 それをネタに上司がセクハラ発言
結婚を考えていた同期の彼と会社にもオープンにし交際していたのですが、お互いの価値観にズレが生じ、別れることに。変に噂が流れるのが嫌だったので、別れたことも上司や同僚に報告をし、とりあえず一件落着したつもりでいたのですが…。ある時、部署の飲み会で酔っ払った50代上司が「お前らいつ復活するの⁉」「本当はまだ好きなんだろ⁉」とウザ絡み。大勢の前でセクハラまがいのことまで言われて、訴えてやりたいレベルでした。(H.Nさん)
3.同期の彼にうまく甘えられずライバル視して張り合い喧嘩に…
私も同期の彼も、週7で飲み会や会食がある忙しい部署にいたときのこと。二人とも激務で、業務内容が全く違うためお互いの忙しさを理解できず〝自分のほうが辛い〟という喧嘩が多発。それに同期であるがゆえ、任される仕事の大きさや達成内容を比べてしまい、いつしかカップルではなくライバルのような関係性になり、別かれることに。もっとオンオフの切り替えをして、お互い助け合う関係になれたら良かったのに、と少し後悔しています…。(K.Oさん)
マッチングアプリではなく、なぜ今⁉…令和の時代に社内恋愛が盛り上がっているのはなぜ?
マッチングアプリなど出会いの手段が多様化する中で、今改めて社内恋愛や社内結婚のメリットを感じる人が増えていることには、いくつかの理由が考えられます。
まずは、早婚願望が高まっている一方で、忙しさから婚活に時間をかけられない女性が多いこと。妊娠を希望する場合、30代半ばまでの結婚を望む女性が多いのですが、アプリのように出会える異性が多すぎると交際や結婚にもっていくまでに時間がかかってしまいます。例えば「ジャムの法則」によると、人は選択肢が8を超えると、選択にストレスを感じ、選ぶことが困難になります。
そのうえ、全く知らない人と出会う場合は、オンラインでマッチングしたあと、デートを重ねて相手の性格や価値観を少しずつ知り、最終的にアリかナシかの判断をする必要があります。それを複数人に対して行うとなると、かなりの時間と労力を要することになりますよね。その点、社内恋愛だと仕事をしながらも相手の性格をある程度知ることができます。
それから、ここ数年で社内恋愛や社内結婚を会社が後押しする動きが高まっていることも挙げられます。以前は社員の私生活に会社が踏み込むことは、コンプライアンス的に問題があるとされていたのですが、最近は私生活の充実をサポートして生産性を上げてもらおうという考え方が伸長。どの業種も今は人手不足なので、企業と家庭がお互いの状況を理解し合い、より良い環境で長く働き続けようとするのは良い傾向ではないでしょうか。例えば商社などの大企業で社内結婚をした場合、夫が海外転勤になった際に、妻も同じ海外支社で勤務できるよう異動の便宜を図ってくれるケースがあるようです。
あとは何と言っても、マッチングアプリのリスクが露呈していること。知らない人との出会いはワクワク感がある一方で危険性も伴います。社内恋愛であれば、相手の人柄やバックグラウンド、さらに収入までもおおよそ把握でき、安心感があります。共働きが当たり前で、結婚前も結婚してからも自分のキャリアを充実させたい女性が多い今、より精度の高い方法で安全に異性と出会いたい人が増えているのではないでしょうか。
《社内恋愛を応援する会社にはこんな福利厚生が!》
デジタル家電専門店の「NOJIMA」ではグループ従業員を対象とした社内婚活イベント〝NOJIKON〟を2017年より開催。結婚後も働きやすい環境を整えるべく、毎月の夫婦手当や、不妊治療の補助金を上限60万円(3年間)まで負担するなど、手厚いサポートを行っています。
教えてくれたのは...牛窪 恵さん
牛窪 恵さん
世代・トレンド評論家で立教大学大学院客員教授。説得力の高い解説が人気で『ホンマでっか⁉TV』等メディアにも多数出演。未婚化・少子化の死角を突いた新著『恋愛結婚の終焉』(光文社)が話題。
取材/伊藤綾香 編集/大島滉平 写真/AC 再構成/Bravoworks,Inc.