【着回しDiaryに出演】山崎紘菜さんが聞く! アリ・アスター監督と最新作『ボーはおそれている』について【後編】

CLASSY.3月号「映画宣伝女子の2月着回しDiary」には、なんとあの『ミッドサマー』のアリ・アスター監督が登場! 最新作『ボーはおそれている』の大ヒットを目指し躍動する映画宣伝女子役として出演した山崎紘菜さんと共演しました。そして今回、CLASY.ONLINEではアリ・アスター監督へのインタビューが実現! 誌面から飛び出して、山崎紘菜さんがアリ・アスター監督に作品のこと、そして監督ご自身のことについてインタビューした内容を特別公開いたします!

CLASSY.3月号「映画宣伝

象徴的なボーのパジャマは「自分が分からない」キャラクター表現のひとつ

山崎 ファッションについてもお聞きしたいのですが、監督は普段どういったファッションがお好きですか?

アリ・アスター監督 僕はカジュアルな服装が好きで、基本はスウェット。もしくは、カジュアルなシャツで裾をまくっているという感じが多いです。監督によっては現場ですごくエレガントにスーツを着ている人もいるのですが、そういう人を見ると次はちゃんとオシャレしようと思いますね(笑)。

山崎 今作も衣装が非常に魅力的でしたが、作品を作る際、衣装や小道具を通じてどういったことを表現しようとされるのですか?

アリ・アスター監督 衣装はやはりとても大事で、衣装が決まらないと、キャラクターが果たしてどういう人物で、どのような役割を担うのかが見えてきません。俳優も一緒で、衣装を着て初めて役に入るという瞬間を幾度となく見てきました。それほど衣装の持つ役割は大きいものだと思います。また、美術と衣装は分けて考えることのできないものです。なぜなら衣装はそこに住む世界(美術)があって初めて成り立つものだからです。シュールな世界を描くなら、現実離れした衣装が必要なときもあるし、逆にシュールな世界であるからこそ、少しは衣装に現実味を持たせないといけないという場合もあります。例えば、『ミッドサマー』において意識したのはカルト教団をどういうビジュアルにしていくかというところで、その中であのフローレンス・ピューが着たとても複雑な花のドレスが登場したわけです。一方で、ボーの場合は対極的に自分というものが確立しない、消え失せていきたいと思っている人なので、あえてフィット感もなく、色も曖昧で、人に着せられるままの洋服を着ています。パジャマも着せられるままだし、森の劇団に行くと、舞台用の衣装を着せられたままというわけです。そうやって衣装替えをしていくけれど、最後まで自分が分からないまま、そんなキャラクターなんです。

作品にも影響が滲み出る、語ったらキリがない日本映画

山崎 日本映画からインスピレーションを受けて作品に反映されているそうですが、今作『ボーはおそれている』でも参考にした日本映画であったり、風景や描写はありますか?

アリ・アスター監督 日本文化について語ったらキリがありません(笑)。本作は山崎紘菜さんもご出演されている、大林宣彦監督の作品からも少なからず影響を受けていると思っています。僕は、大林監督のDNAが自分にも流れていると思います。大林監督の不条理を描くところであったり、シュールさを描く感じが好きですね。あとは今村昌平監督もとても好きで、ハイブローとローブローを合体させるところが気に入っています。ものすごくハイアートを撮るんだけど、同時にものすごい猥雑さが描かれている。そういう今村監督の作品も好きだし、大島 渚監督の作品も好きだし、山崎さんは三池崇史監督の作品にも出演されていますが、三池監督も幼少期から親しんできた監督です。『ビジターQ』や『殺し屋1』、『カタクリ家の幸福』などを好きで観ていました。日本のアニメも好きなのですが、私はとくに『マインド・ゲーム』が好きです。日本人は不条理劇が上手で、日常に潜む恐怖を描くのが上手だと思うので、そういうのを見ていると自分も刺激されてワクワクします。他にも安部公房原作、勅使河原 宏監督の『砂の女』、『他人の顔』などの作品も好きです。

山崎 今回の撮影では、着回しDiaryという企画でご本人役として登場していただきましたが撮影はいかがでしたか?

アリ・アスター監督 ワンダフル! とても楽しかったよ。素晴らしい俳優さんとお話しできてとてもうれしかったです。

山崎 私も着回しDiary内でも、このインタビューでもご一緒できてとてもうれしかったです! 最後に日本のファン、CLASSY.読者にメッセージを!

アリ・アスター監督 この作品は劇場用に作っていますので、ぜひ劇場でご覧いただければと思います! あれこれ考えずに浸って体験してみてください。我ながら今までで一番好きな作品で、とても奇妙な映画だけど、食わず嫌いせずにオープンマインドで観てもらえたらと思います。

スタッフ ちなみに、上映時間が2:59と3時間より1分短いですが、これには意図があるのでしょうか…?

アリ・アスター監督 3時間の長尺を作っちゃって!とは言わせないためだよ(笑)。

◆作品情報 映画『ボーはおそれ

◆作品情報

映画『ボーはおそれている』
公開日:2024年2月16日(金)
監督・脚本:アリ・アスター
出演:ホアキン・フェニックス、ネイサン・レイン、スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン、パティ・ルポーン、エイミー・ライアン、パーカー・ポージー
配給:ハピネットファントム・スタジオ
原題︓BEAU IS AFRAID

【山崎紘菜さん衣装】ジレ¥50,600スカート¥37,400(ともにソブ/フィルム)ニット¥13,200(バナナ・リパブリック)イヤリング¥36,630(ベン・アムン/ZUTTOHOLIC)バングル¥4,400(アビステ)
※アリ・アスター監督の衣装はすべて私物です。

撮影/遠藤優貴 スタイリング/児島里美 ヘアメーク/川村友子 編集/大島滉平

Magazine

最新号 202412月号

10月28日発売/
表紙モデル:山本美月

Pickup