「したくてもしてもらえない」「してあげたいけどしてあげられない」。今、結婚前のCLASSY.世代カップルの間でも悩む人が多いセックスレス。「そもそもなぜレスになってしまうのか」という点から、専門家に取材しました。
セックスレス解消のためにできることはありますか?
拒否されている側の人もしてしまう側の人も、思い当たることがあるかも!?どの原因と解消法も結局はコミュニケーションありきですが、ポイントを知っておくと相手と話がしやすくなるはず。
【原因1】相手の身体的悩みにどちらかが歩み寄っていない
自分や相手の身体の不調、経験不足を責めたりはぐらかしたりしない。しっかり向き合い、話し合う
勃起の悩み(心因性ED)、性的スキンシップへの抵抗、経験不足などからセックスがうまくいかずレスになるパターン。「実はこういう悩みがあって」と素直に打ち明けることができて、なおかつパートナーがそれに歩み寄ることができれば基本的にはすぐ改善できます。しかし、頑なに自分の状況説明をしなかったり、自分と向き合おうとしなかったり、相手を傷つけたくないという想いから拒否を選択してしまっている人も多く、この場合は改善は難しくなります。本題をはぐらかしていると、いくら話し合いを重ねてもどれだけカウンセリングにお越しいただいても根本が改善しないので問題解決から遠のいてしまいます。まずはお互いがセックスレスの改善に向けて「本気で歩み寄る覚悟」を決めて、自分の体と向き合い、心の内を話しきれるかどうかがポイントとなります。
【原因2】相手のNOを軽視している
「伝え方を工夫して伝えなおす」「代替案の提示」など、言葉のコミュニケーションを軸に相手の認知の変化を目指す
拒否する側にはそれだけの理由があり、拒否する側からパートナーへすでに伝えたことがある場合が少なくありません。しかしパートナーが「NO」へ十分な理解を示さなかったり〝これくらい我慢できるでしょ〟と軽視してレスにつながっている場合があります。すると拒否する側は自分でもコントロールできないほどに拒否反応が膨れ上がり状況はさらに悪化。NOを軽視する側へ話を聞くと「本気でイヤだとは思わなかった(きっと大丈夫)」「時間が解決してくれると思った(自分は変わらなくていい)」「それって病気だから治療したら?(自分は悪くない)」といった言葉と、確証バイアス(自分に都合のいい情報だけを集める)の傾向が滲み出てきます。まずはこの状態を解消し、伝え方の工夫、NOの代替案の提示、理解してもらえない場合の関係解消について話し合ってみましょう。
【原因3】妊娠への強い不安に対処しきれていない
安心してセックスへ挑める状況を「お互いに」目指し十分な避妊を。生殖行動そのものへの強い不安があればカウンセリングの活用を
女性も男性も妊娠への強い不安が見られることは少なくありません。避妊を拒否する相手は論外ですが、避妊がコンドームだけなことに不安を抱く人、生殖行動そのものへ強い不安を持っている人もいて、理由も様々です。たとえば今は結婚・出産するつもりがないとか、親子関係に問題があり何らかの理由で妊娠へ大きな不安を抱えているなど根深い理由が原因となっていることも。カップルで出来ることとしては「十分な避妊」を目指すか「子どもを授かっていい状態」のいずれかを選択すること。前者なら妊娠率が2%~15%前後と言われるコンドームと、避妊効果がおよそ99.7%期待できる低用量ピルなどを組合せ、安心してセックスへ挑める状況を作りましょう。心理的な不安があるならカウンセリングで不安を減らしていくことをおすすめします。
【原因4】勃起・挿入・射精・オーガズムを目指しすぎている
何かの達成を目指さず、スキンシップを短い時間から再開。「気持ちよくならなきゃ」「満足させなきゃ」は一旦忘れる
「勃起が不十分でがっかりされたくない」「不十分な勃起を見て傷つきたくない」「挿入でオーガズムに導けない」「イケない」と結果ばかりを求め、それが達成できないかもしれない不安から逃避のような反応が起きてセックス拒否につながる場合もあります。結果が出せなくて自分が傷ついたり相手を傷つけるくらいならセックスはしたくないと思う方も多いです。でも本来セックスは勃起・挿入・射精・オーガズムだけを達成するのが目的ではないですよね。これが原因でセックスレスになっているのならまずは短い時間のスキンシップから再開していきましょう。「感じなきゃ」「満足させなきゃ」は一旦忘れて、ネガティブではない終わり方にするのもポイント。そこから自然と次へとステップアップするのが理想的ですが、進展が難しい場合はカウンセリングへ。
【原因5】パートナーシップの心のわだかまり
「今日は疲れてる」は本質ではない。パートナー間での誤解やすれ違いがないかを確かめて拒否の理由をパートナーと共有する
「家族のようにしか見えない」「今日は疲れている」という言葉であしらわれたらパートナー間に身体面以外のわだかまりが生まれているのかもしれません。これらの言葉は本質を隠すのに便利であるためカップル間で聞かれることも多い。拒否されて悲しくなる理由は、愛されている感覚や、求めたり受け入れられたりする安心感を得ることを否定されたように感じることにあります。とくに女性は涙が出るほど気持ちを溜め込んでいる人も多いですね。原因1〜4のまとめになりますが、セックス拒否の理由や相手に対する不満をしっかりと考え、言葉にして、パートナーと共有しましょう。お互いに歩み寄る気持ちがあれば改善できることも多く、NOを尊重し合えれば我慢のセックスを繰り返さなくて済むかもしれません。カウンセリングで第三者を交えてみるのもよいと思います。
状況から逆引き こんな場合はどうしたらいいですか?
教えてくれたのは…
カウンセリングルームEsolve公認心理師・道場勇太さん
職場での悩みや休職復職へのメンタルサポート、夫婦やパートナー間の問題、心因性の性機能問題やセックスレス改善のカウンセリングなど、様々な心理的サポートを行う。
イラスト/Erika Skelton 取材/野田春香 再構成/Bravoworks.Inc