堀田茜さん&福本敦子さんモヤモヤ対談「本当はとても感謝しているのに、いまだに親に愛情を伝えるのは照れくさいです」
堀田茜が「30歳になってなんだか気になる…」と感じるタイムリーな話題を、今会いたい識者に直接聞きに行く連載7回目。この話、ほったらかしにしなくて良かったと思える日が必ず来るはず!
本当はとても感謝しているのに、いまだに親に愛情を伝えるのは照れくさいです
今回のゲストは...福本敦子さん
【今月の茜のモヤモヤ案件】
半年くらい実家に帰れないこともあって、ひさしぶりに両親に会うと老いを感じるのが切ないし、何もできない自分がもどかしいし、いつか必ず訪れる別れを想うと怖いです。本当はとても感謝しているのに、いまだに思春期みたいな態度も取ってしまう…今から考えておけること、できることって何ですか?
「いつか必ずくる親の介護と別れ。でもそんな未来から逃げたくなってしまう」(茜)
茜:以前から著書は拝読していたのですが、森田敦子さん(連載1回目に登場)との共著の新刊『気持ちいいがきほん』を泣きながら読みました。福本さんがお母様の死とどう向き合ってこられたのかを、森田敦子さんとの対談を交えてお話しされていましたね。親の死に漠然とした不安を抱えている人にも読んでほしいと書かれていましたが、今の私がまさにそれなんです。両親はまだ60代半ばで元気なんですけど、いつかその日は必ずやってくる。本を読み出す前に「これ、読むのが怖いな」と思ってしまったのが正直なところです。
福本:読むのが怖いってよく言われます。開けてはいけない箱の中の話だと思うみたいで。でも読んでみたら怖くなかったですよね?
茜:はい。向き合って良かったと思えました。考えなきゃいけないことだなって気がかりだったけれど、逃げてきたので。
福本:この本を通して親にこれから起きるであろうことを先に知ってもらって、いざというときに役立ててもらえたらうれしいです。本にも書きましたが、私も森田さんに「(悲しい感情に背を向けずに)どっぷり浸かってみるの」と言われたことに救われたので。
茜:その言葉は私も印象的でしたし、怖さから解放されて少し前向きになれました。あぁそういう方法もあるのかと。
「いなくなってしまうことを前向きに捉えるって、いい考え方だなぁって」(茜)
茜:改めて両親のことを思うと、親孝行できていないなとか、会うたびに年齢を感じることが増えて切ないわりに、私は何もできてないなと思ったんですよね。
福本:しばらく親に会っていないと「老いたな」と驚くときってありますよね。
茜:そうなんですよ。頼りなく感じるときが増えていきますよね。両親が健在なうちに、どんな準備をしておけばいいでしょうか?
福本:そのときがきたら準備すればいいし、そういう経験をした人のノンフィクション本があるって今知っておいてもらうだけでもいいのかなって思っています。
茜:親のことって気軽には人に話せないから、おっしゃる通り、本に頼れるとわかっているだけでも安心できます。
福本:死を心配して何か行動するって今の時間がもったいないじゃないですか。まだ元気ならなおさら。
茜:そうですね。あまりに何もかもがネガティブになっちゃいますね。
福本:『フォレスト・ガンプ』という名作映画の中で、主人公のお母さんが、私はもうすぐ死ぬって主人公に明るく告げるんですね。「死ぬのも人生の一部なの」という言葉を残すんですけど、私はその言葉を覚えていて。
茜:森田敦子さんも「体を持って生きるということのあがり。だからもしかしたらおめでとうなんじゃないかって」と本の中で言ってましたね。いなくなってしまうことを前向きに捉えるって、いい考え方だなぁって。本を読み終わったあとに前向きになれたというのはそういうことでした。親の介護や死って「悲しまなきゃいけない!」という固定観念もあるような気がしていたけれど、そうじゃない方法もあっていいんですよね。
美容コラムニスト/福本敦子さん
コスメキッチンに14年勤務後、独立。独自の感性と切り口でオーガニックコスメを紹介する「#敦子スメ」は「読んだ瞬間試したくなる」と大反響を呼ぶ。近年はコラボコスメのプロデュースや、podcastのパーソナリティなど活動は多岐にわたる。著書に『今より全部良くなりたい 運まで良くするオーガニック美容本 by 敦子スメ』のほか、森田敦子さんとの共著『気持ちいいがきほん』(ともに光文社)が好評発売中。
【茜】オールインワン¥36,300(カデュネ/カデュネプレスルーム)ピアス¥29,700(ete)リング¥28,600(LOHME)
撮影/杉本大希 取材/野田春香 再構成/Bravoworks.Inc