自分が働いている業界の専門用語などは、意味や使い方をきちんと調べるという人が多いのではないでしょうか。
しかしその反面、日常的に耳にするような言葉は、正しい意味を知らないまま使っていることが多いものです。
そこで今回は、“実は使い方を間違っている日本語”をご紹介します。言葉を正しく使えているのか、ぜひチェックしてみてくださいね。
1.「耳障り(みみざわり)のいい言葉」
心地よい音楽を聴いた時などに、つい「耳障り(みみざわり)のいい音」と言ってはいないでしょうか。
本来“耳障り”とは“不快に感じること”“聞いて気にさわること”を意味する言葉であり、「耳障りがいい」と言うのは誤った使い方です。
そのため、“耳に快い音”であることを伝える場合は「耳障りがいい」ではなく「耳に心地よい」などと言うのがいいでしょう。
2.「さわりの部分だけ教えてください」
「物語のさわりの部分」などといったように使われる“さわり”。よく“最初の部分”“出だしの部分”などと誤解されがちで、正しい意味を知っている人は意外と少ないそうです。
“さわり”の本来の意味は“最も重要な部分”“最も印象的な部分”。たとえば歌であればサビの部分、映画や小説ならクライマックスの部分を意味します。
もし「話のさわりの部分だけ聞かせて」と言われたら、話の要点を伝えるようにしましょう。
3.「議論が煮詰まる」
たくさん考えても次のアイディアが出てこない時や、どうにもならず八方ふさがりの時など。こうした状態のことを「煮詰まる」と言う人もいますが、実は誤った使い方なんです。
“煮詰まる”とは“色々な意見が出されて、結論を出せる状態になったこと”を意味します。言葉のニュアンスから、マイナスな意味で使われがちですが、“暗礁に乗り上げる”“袋小路に入る”といった意味ではありません。
誤用されがちな言葉だからこそ、正しい意味を知っておくと周囲から「言葉の意味をきちんと知っている人」「常識のある人」などと一目置かれることでしょう。
4.「そろそろ撤退の潮時だ」
“潮時”も、間違って使われやすい言葉のひとつです。主に“引き際”“物事を諦める、あるいは止めるタイミング”といったように使う人が少なくありません。
しかし“潮時”とは“物事を行うための良きタイミング”“チャンス”という意味をもつ言葉です。マイナスの言葉には使わないので気を付けましょう。
いかがでしたか? 今回ご紹介した言葉は、いずれも仕事やプライベートなど日常的に使われることの多い言葉です。それだけに、誤った使い方をしていると、予想もしないところで恥ずかしい思いをしてしまう可能性も……。
もし今回誤って使っていたという言葉があれば、ぜひ正しい使い方を覚えておきましょう。
参考文献
デイビッド・セイン/長尾昭子『日本人が気づいていないちょっとヘンな日本語』(アスコム)
文/大内千明 画像/Shutterstock(Masson、 Champion studio、Olena Yakobchuk、GaudiLab、Lucky Business)