声優としてだけでなく俳優にバラエティ番組出演まで、多彩な才能でマルチに活躍している宮野真守さん。実はアーティストとしても今年デビュー15年の活動実績を持ち、4月26日には23枚目のシングルとなる「Quiet explosion」をリリース。新曲に込めた想いや制作秘話、歌手活動に対する思いまで、今の気持ちを教えてもらいました。
目標や野望に向かう全ての人へ…新曲「Quiet explosion」に込めた思い
-新シングル「Quiet explosion」はどんな楽曲でしょうか。
今回の新曲は、オリジナルテレビアニメ「THE MARGINAL SERVICE」のオープニングテーマとしてオファーをいただいた曲です。オリジナル作品ということもあり、企画書の段階からアニメの世界観や制作サイドのイメージをしっかり聞かせていただいていて。作品のなかに“人知れず、未知の存在と戦う組織”という設定があって、激しさとか戦いの空気感を表現して欲しいというオーダーもあったので、ロックサウンドで、かつ歌詞にも「破壊」のような激しい言葉を入れることになりました。ただ、今の自分の年齢や立場を考えたときに、激しさだけだとメッセージとしてちょっと違うなと思って。今回の楽曲は音楽プロデューサーのstyさんと一緒に制作しているのですが、求められているコンセプトと僕の思いを解け合わせていくなかで、重厚感とグルーヴのあるロックサウンドに仕上がっていったという形です。
疾走感のあるロックサウンドだと、若気の至りというか、少し軽い感じに聞こえてしまうかなと。アニメのテーマでもある“人知れず戦う”って、日常生活にも当てはまると思うんです。人は皆、自分の生活のなかで自分の目標だったり野望だったりに向かって一生懸命生きているわけで、そういう“Quiet explosion”つまり静かな炎に秘めた思いに共鳴したいなという気持ちも込めて作っていきました。
アーティスト活動で意識しているのは、“宮野真守”が中心にいること
-新シングル「Quiet explosion」の制作を振り返って、特に印象に残っていることを教えてください。
この曲、僕の楽曲の中でもかなりハイトーンの曲なんですよね。だからレコーディングはかなりチャレンジでした。最初にデモを聴いたとき、「できるかな?」って思うくらい(笑)。キーも高いし、技巧的なテクニックもかなり多い歌い方で、ハードルが高いなと。でも、僕にできない曲をstyさんが書くことはないだろうと思って、これはある意味挑戦状というか、「宮野さん、これ歌えますか?」みたいなメッセージとして受け取りました。ハイトーンだから頑張って歌わなきゃいけないのに、そこにソウルフルなフェイクが入ってたり、ロックなのにグルーヴ感もしっかり表現しなくちゃいけなかったり、そういう点はレコーディングの時に頑張ったな、と思います。
-声優、歌手、俳優、そしてバラエティ番組出演と多様な活動をされていますが、宮野さんにとって歌手活動はどういう位置づけでしょうか?
15年前にアーティストデビューさせていただくまでは役者として過ごしていて、“役をどう表現するか”をずっとやってきていたんです。でもアーティストデビューとなると“宮野真守”として何かを表現することになる。なので、楽曲や音楽制作に携わる時は、当たり前なんですけど“宮野真守”がちゃんと中心にいるようにしています。僕自身が何を伝えたいのかをしっかり見つめて、責任を持って伝える、ということを意識しています。
音楽活動を通して見つけた“宮野真守”のポリシーとは?
-“宮野真守らしさ”って、ご自身ではどんなふうに考えていますか?
なんか…僕自身は非常に臆病な人間で、僕自体を発信することになるアーティストデビューに関してもとても勇気がいることでした。僕はシンガーソングライターではなく自分で曲を作れるわけじゃないから、何をどうすればアーティストとして面白く思ってもらえるのかについてすごく悩んで。その中で、自分の骨組みというか芯となるポリシーみたいなものを持ちたいと思って、ライブ演出を担当することにしたんです。僕は常に周りに「楽しんでほしい」って思っているんですけど、その思いって実は臆病という僕自身の性質に紐づく感情なんですよ。つまらないなとか飽きちゃったなって思われたくないんです。それで、ライブを楽しんでもらうためにはどうしたらいいかを考えて見つけた答えが、自分が大好きな“エンタメ”というものをライブの中で表現すること。しっかり歌うだけじゃなく、ダンスをしたり面白いコーナーがあったり。1つのライブの中でいろいろな姿を見せられるステージングをしたいとずっと思っていて、それを進化させてこれたかなっていう自負はあります。こうやって分析できるようになったっていうのが15年間続けてきた成果ですかね。少しずつ自信も持てるようになったかもしれないです。
-自分らしさを見失わないために、心がけていることはありますか?
子どもの頃から本当にテレビが好きでテレビの世界に憧れて、バラエティも歌番組もドラマもアニメもかじりつくようにみていて、その世界にいきたいなってずっと思っていたんです。でも、7歳から子役を始めて高校生になる頃には「子役としてうまくいかなかった」みたいな劣等感を自分に植えつけてしまっていたんです。18歳なんてまだ全然そんなふうに考えるのは早いよ、って言われるかもしれないんですけど、僕にとっては18歳で何者にもなれていないって時点でもう遅くて。でも今考えると、そのことに抱いた劣等感が今の原動力になっているのかなって思います。声優のお仕事に運良く出合えて、右も左もわからないなかで始めたお仕事でしたけど、今もずっとやらせていただけていて。それ以外にも自分が子どもの頃好きだったエンタメのいろいろなパターンで求めてもらっていて、ともすればおもしろい!とまで言ってもらえて。だから、しんどいな、苦しいな、うまくいかないなと思うことがあっても、あの時の劣等感に比べたらなんてことないなって思います。
楽曲を通して奮い立つ気持ちを届けられたらうれしい
-CLASSY.の読者に向けて、「Quiet explosion」を通じてどんなメッセージが伝わったらいいなと思いますか?
そうですね…この楽曲を聴くことで、奮い立つ気持ちを感じられるんじゃないかなって思って、頑張っている大人に聴いてもらいたいなって思います。ドンドンドンっていう心臓音みたいな、重厚感のあるリズムを一緒に刻んで感じてほしいです。
-ちょうど読者は、先輩も後輩もいる中で自分らしさを探して頑張っている大人世代です。少し先をいく先輩として宮野さんからメッセージを送るなら?
“自分がこうしたい”っていうことを一番に考えてあげたほうがいいよ、ってことですかね。そうすると、誰かのせいにしないで済むというか。「誰かのためにしてあげてるのに」って思ってしまうと、負の連鎖を生みますよね。立場的に上になってくると、誰かを指導したり導いたりしなきゃいけない瞬間もあると思うんですけど、そういう時に「誰かのために」ではなくて「自分がしたい」を大事にしたほうがいいんじゃないかな。自分で決めたことなら責任が持てると思うんです。人のせいにしない。全部他人軸で決めるとイライラばっかりしちゃうから。でもどうしてもイライラしたらお酒飲んで、お笑い番組を見ればいいですよ(笑)。
23rd Single
「Quiet explosion」発売中!
【収録内容】
M1.Quiet explosion(TVアニメ「THE MARGINAL SERVICE」OPテーマ)
M2.Invincible Love(TVアニメ「虚構推理 Season2」EDテーマ)
M3.Greed
LIVE Blu-ray&DVD
「MAMORU MIYANO ARENA LIVE TOUR 2022 〜ENTERTAINING!〜」
5月31日(水)発売
声優、俳優、そして歌手として活躍する宮野真守が約3年ぶりに開催したアリーナライブツアー3箇所・全6公演の中から、ツアーファイナルの模様を全曲収録。神戸・埼玉・愛知の各地のダイジェストや、バックステージの模様なども収録されるほか、Blu-rayにはビジュアルコメンタリーも!
ニット¥30,800〈WRAPINKNOT〉パンツ¥31,900〈KHONOROGICA〉シューズ¥10,450〈opposite of vulgarity〉(すべてHEMT PR tel.03-6721-0882)その他/スタイリスト私物
撮影/魵澤和之(まきうらオフィス) ヘアメーク/Chica(C+) スタイリング/横田勝広(YKP) 取材・構成/宮島彰子(CLASSY.ONLINE編集室) 撮影協力/BACKGROUNDS FACTORY