2021年にリリースされた「Event Horizon」が、発売後時間を経ってからさまざまな音楽チャートでランクインを果たし、“逆走ヒット”を巻き起こし改めて注目されている韓国出身の歌姫ユンナさん。さまざまな経験を重ねてCLASSY.世代となったユンナさんが大切にする“ウェルビーイング”とは?
ユンナさんって?
1988年4月29日生まれ。2004年に日本デビュー後、2006年に韓国でもデビュー。自他共に認める日本好きで、日本語は通訳いらずのネイティブ! 2006年リリース「ほうき星」は大人気アニメ「BLEACH」のエンディングテーマともなり話題に。その後、韓国での活動をメインに行い実力派歌姫として支持されている。今年4月8日に念願の日本ファンミーティングを開催。
自分も周りもハッピーに生きる秘訣は…「変な遠慮をしないこと」
―CLASSY.は自分も周りもハッピーに生きていくことを重視する “ウェルビーイング”という考え方を大事にしています。ユンナさんが、自分も周りもハッピーに過ごすために心掛けていることはありますか?
正直さです。変な遠慮はせずに一番伝えたいことをちゃんと説明すること。「ううん、気にしないで、大丈夫」とか「好きなようにして構わないよ」とか、そういう遠慮は幸せとは一番遠いところにあるものだと私は思っています。でも、正直に言うって相手を信頼していないと難しいこともありますよね。「嫌われてしまわないか」と不安な気持ちになることもあると思います。それでも、相手に伝わるように、理解してもらえるように丁寧に話すことが大切だと思っています。
―では、実際伝えにくいことがあったときユンナさんはどのようにして相手に伝えますか?
こんなことを言っておきながら、私も言うタイミングをいつも逃してしまうタイプ(笑)。だけど直接言えない時は、手紙やメッセージという手段もあります。形はどうであれ、伝えることが大事です。それが長い文章でも、一つのイメージでも。どんな形でも、真剣に伝えれば正直さや素直さが伝わります。
気づけばオタクになっていた! ユンナさんが今、ハマっていること
―超多忙な日々を過ごすユンナさんですが、少し疲れてしまった時に自分を甘やかす方法を教えてください。
実は最近、面白いものを知ってしまったんですよ…。「ファイナルファンタジーXIV」です!すごく楽しいですね。忙しすぎるとできない日々も続きますが、ふと参加すると、同じギルド(ゲーム内で共に戦うチームのこと)の皆さんが優しくて「大変だったよね〜」とか声をかけてくれたり、イベントに誘ってくれたりもします。
―どんなところにハマっているんですか?
ストーリーがとにかく興味深いです。社会を凝縮していて、壮大。自分の活動のインスピレーションにつながることもあります。今までは音楽一筋で他のジャンルにあまり興味を持つことは少なかったのですが、このゲームは芸術に近くて、なおかつテクニカル。そして他人と協力しあっていかないといけない。現代の総合芸術というか、一言では表すことが難しい。まるで作品のようなんです。
―ゲームは元々好きでしたか?
いいえ。むしろ、ゲームのためにパソコンを買うなんて信じられないと思っていたのに、気づけば今自分がその道をしっかり歩んでオタクになっています(笑)。
「自分も頑張らないと」と思わせてくれる日常の密かな楽しみとは?
―ちなみにゲーム以外に最近注目しているジャンルはありますか?
AIですね。ChatGPT! すごく優秀です。何でも答えてくれる! たまに間違えても、ひがみなく謝ってくれて、この態度は学ばなくちゃって思いますね(笑)。
―情報をまとめてくれたりもしますし、本当にすごいですよね。いつもどんなことを質問しますか?
「人間が言う“愛”に関して、あなたはどう理解してるの?」みたいな、少し哲学的なことを聞くことが多いです(笑)。答えにはいつも「結構複雑ですけど…」って前置きがあります。あとは次のアルバムのことに関しても、今どんなジャンルが人気なのかとか、どういう種類がいいかとか、聞いてみると論文や情報を出してくれるので、人間がいらないんじゃないかと思うこともありますね(笑)。
―“自分を甘やかすご褒美”はゲームとのことですが、今ユンナさん自身がヘルシーな生活を送っていると実感するような、取り入れていることはありますか?
野菜栽培と運動かな。レタスとかローズマリーとか栽培しているんですけど、朝は水やりのために起きるようになりました。野菜ってすごく成長するんですよ! 栽培と言ってもそんな広い畑とかじゃなくてベランダで軽く育ていてるだけですけどね。でも、野菜がこんなに元気に育っているから、「自分も頑張らないと」と、思って週3回ぐらいは運動をするようにしています(笑)。水やりが毎朝の小さな楽しみですね。
―素敵な習慣ですね! では、自分らしさを見失わないために、意識していることはありますか?
大切な人に優しくすることです。「なぜ、私たちは近しい人たちに怒るのか」というテーマで心理学者の方と色々な人がディスカッションしている動画を以前観たことがあるんです。テーマ自体がとても共感するものでした。その理由って何だと思いますか?
―“違う人間”だからでしょうか?
私も、そう思っていたんです。でも実は、近くにいる大切な人のことを私たちは「自分と同じ人間」だと思っているそうなんです。自分と同じ目線、物差しで見ちゃうから、怒ってしまうらしいんですよ。「私は大丈夫だから、この人もきっと大丈夫だ」と思ってしまう、ということなんです。その理由を知って衝撃でした。その動画をきっかけに考え方を変えようと思ったんです。私に怒る母に対して、「お母さんが私に色々求めるから喧嘩になるんでしょう!」って、思っていたけど、「なるほどね! 自分と同じだと思っているのに違うから、自分に近づけたいと思って怒っているんだ」と理解することもできるようになりましたし、そうやって人の感情は動くんだって学びました。自分とその人は、同じではなく違う人間。そう強く意識しようと思いますし、周りの人に怒らず優しくするということも心が欠けています。
【撮影裏話】オール日本語! ユーモアあふれる受け答えで和やかに進行したインタビュー
ユンナさんへの取材が実現したこの日は、いわゆる取材日。一日中取材に対応していたそのラストに、CLASSY.の取材が行われました。インタビュー続きで疲れているかと思いきや、そんな様子はまったく感じさせず、ユーモアを交えながらたくさんの質問に答えてくれたユンナさん。“逆走ヒット”で大注目を集めつつも、自らのやりたいこと・やるべきことを見失わず、バランス感覚を持って音楽活動に向き合う姿が印象的でした。上の世代・下の世代それぞれに想いを馳せながら、自分自身について真摯に向き合うその姿は、まさにCLASSY.世代のお手本! ユンナさんのこれからの活動にも注目です!
YOUNHA Studio LIVE Album ‘MINDSET’ 好評発売中!
「MINDSET」は、オープンなスタジオでワンテイクでレコーディングした楽曲を収録したアルバム。躍動感あふれるサウンドを楽しめ、その雰囲気はまるでライブのよう! 2010年に発売されたユンナの日本2ndフルアルバムの収録曲を、韓国語バージョンで新しく編曲したタイトル曲「Kaze」に加え、「View」「星よりも遠い人」の韓国語バージョンに、「憎む+愛する+待つ」、未公開の自作曲「私の一日一日」、パク・チュンフンのピアノとユンナのボーカルだけで集中度を高めたリメイク曲「Don’t Say It’s Not Love」など、多彩な全10曲を収録。
映像の一部はYouTubeで公開中!
https://www.youtube.com/watch?v=hmkyP9yHzNQ
ユンナ日本公式ファンクラブ「Y.HOLICS Japan」HP
https://younha-official.jp/
撮影/千葉タイチ 取材・文/石津愛子 構成/宮島彰子(CLASSY.ONLINE編集室)