堀田茜さん&阿川佐和子さん対談「話し手に脳内でランドセルを背負わせてみるといいですよ。嫌いな人だなと思っても、怖くはなくなる」!?

堀田茜が「30歳になってなんだか気になる…」と感じるモヤモヤを、今会いたい識者に直接聞きに行く連載4回目!この話、ほったらかしにしなくて良かったと思える日が必ず来るはず!

どんな方とでも“昔から友達なのかな?”と思わせる空気感を作る秘訣は何ですか?

今回のゲストは...阿川佐和子さん

【今月の茜のモヤモヤ案件】 著

【今月の茜のモヤモヤ案件】
著名な年上の人やちょっと苦手な人など、仕事で関わらなければいけないときにどう距離を詰めてコミュニケーションすればいいのか迷うことがあります。怖い、怒られたくない…と思ってしまうと、仕事も滞ってしまうので悩みます。阿川さんのように、どんな相手にも心を開いてもらうにはどうすればいいですか?

専門的な話だったとしても人間味を感じる部分を突き詰めれば相手のことは怖くなくなる(阿川)

阿川:そうですね。苦手な人は苦手だし嫌なやつは嫌でしょ(笑)。でも仕事って、自分で相手を選べるわけじゃなくて「この人と話してください」と言われますよね。それなら、何をおもしろがることができるだろうって考えてみる。この人も何かに悩んでこの道を選んだのかなとか、私のこの部分と似てるなとか、なんでもいいから探ってみるといいですよね。たとえ偉大な方でも原点を辿ってみれば同じ人間だと感じることが必ずあるはず。その時点で、スポーツ選手であろうと物理学者であろうとおもしろくなってくるじゃない?同じ人間だなって。自分とたいして歳の差がないのに、どうしてこんなに成長したんだろうって思ったら、興味がわくのでは。

茜:本当ですね。自分と同じように背景や歴史があったはずだと思うと親しみを持てそうです。

阿川:話し手に脳内でランドセルを背負わせてみるといいですよ。嫌いな人だなと思っても、怖くはなくなるでしょ?

茜…これはCLASSY.読者だと苦手な上司との会話にも使えそうな技ですね(笑)。

阿川:小学生の頃に何を考えている少年少女だったんだろうと考えると距離感をつかみやすくなります。小学生の頃クラスにこういう人いたなって当てはめられると自分も少し楽になる。だからって都度小さい頃の話を聞くことはないけれど、あまりに難しいと感じたら「小さい時からそういうお考えだったんですか?」って聞くとかね。そうすると、その人が話している内容の中に、人間味を感じられたりしますから。

茜:すごく実行しやすい技術を教えていただいちゃいましたね。阿川さんのように、インタビューが苦手で、でも飛び込んでみたらそこに楽しさを見出せることってありますよね。そこで得るものって大きい。私、お芝居にまだまだ自信が持てなくて、厳しい世界だから怒られることも多くて逃げたくなる瞬間もあるのですが、やっぱりできないことは悔しいし、続けるからこそ見える世界があるんだろうと思いながら踏ん張っていて。今日お話しさせていただいてつくづくそう感じました。インタビュー以外に苦手なことって他にもあるんですか?

阿川:書く仕事も苦手ですよ(笑)。

茜:えぇ…(笑)。本当に意外です。

阿川:書くことが好きで好きで…という小説家はたくさんいますけど、私はそういう心境ではないです。あー気が重いって思ってます(笑)。でも嫌だと思いながらも続けていると、嫌の中に好きな部分とかおもしろい部分とか自分の新たな一面とか、そういう石を拾うことができる。最初から好きだとそういう石には出会えないですよね。自分に何の才能があるかってやってみないとわからないですから。まわりに「君、これもっと続けたらいいよ。すごくいいよ」って言われると意外な喜びにつながるじゃない?
堀田さんは怒られることも多いって言うけど、私も報道の仕事をしていた時代はすごく怒られましたよ。辞めたいとまわりにこぼしたこともあったけれど「怒られてるってことはね、もっと頑張ってほしいと思われてる証拠よ」と同じ現場の人が言ってくれて。だから堀田さんもきっと、そうなんじゃない?

茜:そう言っていただけると心が楽になります。今日は新しい発見がたくさんありました。また何かに行き詰まったときは、相手の背中にランドセルを背負わせてみることを心がけ、嫌の中にも好きがあると心に留めながら、がんばれそうです。

\茜の取材ノート/

何より、苦手なものは苦手と言っ

何より、苦手なものは苦手と言っていいんだなと、とっても安心しました。あの阿川さんでさえ、まだ苦手と思うなら、私も思ってもいいんだな…とホッ。肩の力が入っていると威圧感が出てしまうけれど、阿川さんは無理して生きていらっしゃらない感じがしました。だからお話する相手も安心して心を開けるんだと。そしてとにかく笑顔が素敵でチャーミング!笑うだけでパッと場が明るくなるので、私もたくさんお話が伺えて感激でした。

エッセイスト、作家、俳優・阿川

エッセイスト、作家、俳優・阿川佐和子さん
1953年、東京生まれ。TVレポーターからキャリアをスタートさせ、ニュース番組でキャスターを務める。その後執筆を中心に幅広く活躍。テレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」にレギュラー出演中。俳優としても活動し、2023年は映画「エゴイスト」に出演。最新のエッセイ集「母の味、だいたい伝授」(新潮社)も好評発売中。

堀田さん/ブラウス¥22,000パンツ¥18,700(ともにLiesse)他私物 阿川さん/すべて私物

撮影/杉本大希 取材/野田春香 再構成/Bravoworks.Inc

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最新号 202412月号

10月28日発売/
表紙モデル:山本美月

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