女優・桜井ユキさん「結婚前には彼に『私はうまく立ち振る舞えない』と言いました」

今回の衣装と同じようなベージュのセットアップに、マルジェラのブーツを履いて現場に現れた桜井さん。とてもオシャレなので「普段どこでお買い物するんですか?」と伺うと、青山からココとココに行って…と詳しく教えてくれました。「でも普段撮影があるときは上下ジャージです!オシャレも毎日じゃ疲れちゃうので」という言葉に共感。ファッションも中身も、しなやかな方でした。

自分も周りも幸せにするウェルビー女子な生き方、教えてもらいました

ベスト¥35,200パンツ¥2

ベスト¥35,200パンツ¥29,700(ともにMURRAL)ブラウス¥49,500(Sea New Yark)(すべてBRAND NEWS)ブーツ¥75,900/AKIRANAKA(Harumi Showroom)ピアス¥13,000右中指リング¥18,000右薬指リング¥9,800(すべてyoaa)

30代になり、全体のことを考えるようになりました

デビュー当時と比べてここ数年は、芝居への向き合い方が変わってきました。転機になったのは29歳で映画初主演を務めた『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY―リミット・オブ・スリーピング ビューティ―』。苦しい役ではあったのですが、そのときの自分が持てるすべてを出し切り、演じ終えた後に憑き物が取れた感覚があったんです。役の心情が昔の私に近かったこともあり、抱えていたものを役がごっそり持って行ってくれて、身軽になった。
それまでは何かを抱えて苦しんでいる役が多く、自分のモヤモヤを役を通じて吐き出す演じ方をしていましたが、この作品を撮り終えた30歳あたりから役を俯瞰視できるようになったのは大きな変化でしたね。
自分の役のことしか考えられない状況から視野が広がり、今は演じている自分を客観的に見つつ、周りの役者さんとのバランスや作品の中での自分の立ち位置などに、少しずつ頭が回るようになりました。

年上にも年下にもとにかくフラットにいたい

後輩も徐々に増えている中で意識しているのは、年齢問わずフラットに接すること。人への圧はいいことを何も生まないし、怖いと感じてしまうと萎縮してパフォーマンスが落ちると思うんです。だから、どんな現場でもフラットなスタンスは大事にしています。たとえ子役でも子どもだからと言って話し方を変えたりしません。その方がコミュニケーションがスムーズだし、相手も心を開いて話してくれて、確実に豊かな人間関係が築ける。年齢を重ねるにつれて必然と上下関係ができてくるからこそ、周りに圧をかけずにフラットでいることは心掛けています。

結婚前に彼に「私はうまく立ち振る舞えない」と言いました

結婚後も生活自体は大きく変わっていないのですが、両親からは「顔つきがやわらかくなった」と言われます。その自覚はないけれど、心に余裕が持てるようになったのはたしか。結婚前はとにかく仕事脳で、とめどなく役のことを考えて眠れなくなったり、気になって急に台本を開いたりと、オンとオフの切り替えが上手くできずにいました。でも今は家に帰れば彼がいて、いっしょにごはんを作ったり会話をする中で、自然と日常に切り替えることができるようになりました。
結婚と仕事の両立で大切にしているのは、無理をしないこと。結婚前には「私は仕事が大事だから、上手く立ち振る舞えないときもある。それでもいいですか?」と彼に伝えたんです。その際に、お互い仕事をしているのだから、家のことはふたりでやっていこう、と話し合えたのはよかったと思っています。食事もできるときは作りますが、できないときは外食でもいい。「こうしなきゃ」と自分にタスクを課すのではなく、常に選択肢がある状態にして、結婚と仕事の両立にプレッシャーをかけないようにしています。
仕事でもプライベートでも、無理なく生きるためには、適度に任せることも必要だなと思っています。全部自分でやった方が安心だから、昔は人に委ねたり、任せることができなかったのですが、相手のほうが自分よりも経験や知識が豊富なこともあるわけで、最近は徐々に手放すことができるようになってきました。自分に余裕がなくなると芝居をする余裕もなくなるので、常に自分にちょっとした余白が欲しい。その余白を確保するためには手放す努力も必要かな、と。そういう感覚は結婚してより強くなりました。手放すことができなかった頃は、自分で自分を追い詰めてイライラすることもあったので、「結婚して、顔がやわらかくなった」という両親の言葉は、やっぱり正しいのかもしれないです(笑)。

休日はあえて予定を立てず 気持

休日はあえて予定を立てず 気持ちが赴くままに過ごします
休日はひとりで過ごすのが好き。「その日にならないと何がしたいかわからない」というタイプで、気分のままに自由に過ごします。自転車で買い物に行ったり、電車で箱根神社に行って温泉に入って帰ってくることも。最近はひとりでラーメンもピザも火鍋も食べに行けるようになり、より無敵になってきました。ロケ先で美味しいものを探すのも好きです。

桜井ユキ
1987年2月10日生まれ、福岡県出身。24歳のデビュー以来、演技派女優として注目を集め、話題のドラマや映画に多数に出演している。2019年に放送された主演ドラマNHK「だから私は推しました」では、第46回「放送文化基金賞」演技賞を受賞。4月から放送するカンテレ・フジテレビ系ドラマ「ホスト相続しちゃいました」(毎週火曜23:00~23:30)では民法連ドラ初主演を務める。

撮影/永峰拓也〈SIGNO〉 ヘアメーク/岡田知子〈TRON〉 スタイリング/李靖華 取材/坂本結香 再構成/Bravoworks.Inc

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最新号 202412月号

10月28日発売/
表紙モデル:山本美月

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