働き方の多様化、副業や兼業の促進化を経て、フリーランスに転身する人が増えています。フリーで働くためにはどんな準備が必要?どうやって仕事を獲得しているの?事情に詳しい識者と、当事者たちに話を聞きました。
\私たち、フリーランス志望です!/
相談者Aさん(翻訳家志望)
現在は教育関連企業の会社員。帰国子女でバイリンガル。英語力を生かせる翻訳の仕事がしたくて今年中に独立予定。
相談者Bさん(ジュエリーデザイナー志望)
現在はNPO団体職員。子供の頃からの夢だった自分のジュエリーブランドを持つため資金数百万円を捻出中。
準備、お金、確定申告…フリーランス志望によくある悩みに、さんきゅう倉田さんが答えます
Aさん:もし独立することになったら仕事をお願いする、と言ってくれている相手はいるのですが、フリーランスになるためのお金の知識がまったくなく、何から準備をしていいのかわからなくて…。
倉田さん:みなさん最初はそう言いますが、お金にまつわる雑務は実際に自分でやってみると覚えていくので「すべてわかっていないとフリーになれない」なんて思わなくて大丈夫です。僕も請求書の作り方すらわかりませんでしたが、やっていくうちに自然にできるようになっていました。それに、どうしてもお金や税金関係の処理ができないとなったら、お金を払えば専門の人が助けてくれます。それよりも、仕事の当て=売り上げの見込みがすでにあるという状態がとてもいいですよね。誰もがそこに一番苦労するので、当てがあるのならもう仕事をはじめてしまえばいいんじゃないでしょうか。
Bさん:私はまだいつ勤務先を辞めるべきか悩んでいて…。今は自分のジュエリーブランドを立ち上げようと、資金を貯めているところです。
倉田さん:これはフリーランス志望の方みなさんにお伝えしているのですが、会社を辞めるのはいつでもできるので、まずは副業でやってみたらどうですか?ただ副業の所得が20万円を超えると確定申告が必要で、住民税の金額が変わり勤務先にも通知されるので、副業がNGな場合は注意が必要です。
Bさん:私はAさんと違って在庫を抱える仕事なので赤字スタートになるし、売れなければずっと赤字のままなのですが、これくらい赤字が出たら見切りをつけるべき、などの目安ってありますか?
倉田さん:在庫が発生する職種は、自分の能力だけを提供するわけではないので、ここの判断って難しいんですよね。ただ、最初からいつ見切りをつけようかと考えておくのは前向きではないので、どう売るかを考えるほうがいいかなと思います。
Aさん:フリーランスで働くイメージも湧いていないのですが、会社員とはどう違うのでしょうか?
倉田さん:いろんな意味合いで自由度が高くなりますが、まず時間感覚。フリーランスにまつわるこれまでの調査結果で、「労働時間が減った」「収入が増えた」と答えている人が多いです。ただ必ずしも労働時間が減って、かつ収入が増えているという話ではないのでご注意を。そして仕事の選択ができるということ。嫌な人との仕事や苦手な仕事は断れるとか。最後にお金の面。毎月一定の収入ではない・振り込み日も会社によってバラバラ・支払い遅延は普通にある、などは覚悟しておくといいかなと思います。
教えてくれたのは…
さんきゅう倉田さん(お笑い芸人・ファイナンシャルプランナー)
元国税職員。Twitterで発信される税やお金の話がわかりやすいと話題に。お金に関する講演会、執筆を行う。またこの3月に東京大学に合格。著書最新刊『フリーランスで生きていくために絶対知っておきたいお金と税金の話』(あさ出版)が発売中。Twitter@thankyoukurata
イラスト/Erika Skelton 取材/野田春香 再構成/Bravoworks.Inc