どんな役柄でもその人にしか見えないような、憑依型の天才俳優…というイメージを抱いていた門脇 麦さん。素顔はあっけらかんとしていて、とてもフラット。そしてとにかく明るい!たのしそう!正直かなり意外だったのですが、その理由がわかるインタビューでした。
自分も周りも幸せにするウェルビー女子な生き方、教えてもらいました
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先輩として、率先して明るい空気を作る
『ながたんと青と-いちかの料理帖-』の現場もそうでしたが、ひとりたのしい人がいると、その人に吸引されて現場も明るく、たのしくなる。逆にピリついている人がいると、やっぱり空気って悪くなるじゃないですか(笑)。だから、明るくたのしくハッピーに仕事しています。ながたんの現場でも一番明るかったのは…私じゃないかな(笑)。率先して明るい空気作りを意識していましたね。
30代になり後輩も増えている中で心掛けているのは、たのしくのびのびできるような空気と環境作り。私ができることはやろうと思っています。それは、自分自身も先輩たちに助けてもらった経験があるから。あの頃は必死すぎて気が付かなかったけれど、振り返ると私がリラックスして仕事できるようにしてくれたんだろうなって、思い当たる方がたくさんいるんです。すごく感謝しているし、その方のことは絶対に忘れない。どれだけ力になれるかはわからないけれど、30代は先輩たちにしてもらったことを今度は私が後輩にする年代なんだなと感じています。今回の作品ではこの気持ちがより一層強くなりました。これまでも自分が最年長の作品や年下の方との共演はありましたが、自分より10歳も年下で、演技を始めたばかりの作間くんと共演したことで、責任感はさらに深まった気がします。
ワクワクするのも筋力だから
仕事をたのしむって理想だけど、苦しい、忙しい時期に物事をたのしむのって難しいですよね。日々の仕事は作業にしようと思えばできてしまうから、生き生きと感情豊かにって結構大変なこと。最近、お休みする役者さんが増えていますが、その心境もめちゃくちゃ分かります。この職業以外にも大変な仕事っていっぱいあるけど、心がカスカスになると喜怒哀楽が薄くなって、だけど役者は感情を出さなくてはいけなくて、バランスが取りにくくなるんだと思うんです。私の創作意欲の根源は、ワクワクしたり、胸がキュッとなったりみたいな感情。その気持ちが一番鮮明で強烈なのは、こども時代に経験したものなんですよね。たとえば、こどもの頃から親しんでいる釣り。釣れるかどうかわからないけど、釣れると「うわー!」って感情が昂って、純粋にたのしい。ワクワクも筋力だと思うから、放置しておくと思い出せなくなってしまう気がしていて。釣りを通じてワクワクを味わうことを定期的にしておくと、仕事でもワクワクしやすい。仕事をたのしむために、手に届く範囲にワクワクを置いておくこと、自分の機嫌を取る手段をいっぱい持っておくことも大事にしています。
90%は自分に甘く、10%だけ厳しく
この職業は基準がないから、誰かとくらべることはありませんが、CLASSY.読者のみなさんのように昇進とかがあったら、私も周りと比較していたと思います。この仕事は個性があってなんぼで、私を超える門脇麦は絶対にいない。でもそれって実は誰にでも当てはまることで、その人を超える人はいないと思うんです。いろんな要素があって周りからの評価は変わるものだけど、自分は自分を全肯定して、失敗しても責めるのではなく「大丈夫だよ!」と励ませたらいいですよね。時には自分で自分を守ることも必要。働くって大変だから、90%は自分に寛容で、10%は厳しくくらいの心持ちでいたい。そして、どうしてもたのしめないことはやめてもいいと思う。私も体型キープを意識して、ヨガとか岩盤浴に通っていた時期があったんです。でもそれが結構苦痛で。ダイエットとかたのしくないからやめました(笑)。やめるのもひとつの選択だし、30代は手放してもいいと思う。20代でめいっぱい吸収し、30代で取捨選択をしていく。身軽な40代でいるために選別するときだと思っています。
釣りをしてワクワクを取り戻す
こどもの頃から好きで、ここ数年で本格的に始めた釣り。休みの日は友人と船に乗って釣りに行きます。単純に美味しい魚が食べたいっていう気持ちもありますが、大人になっても、幼少期と同じワクワク感がたのしめるところも好き。
門脇 麦
1992年生まれ。東京都出身。2011年に女優デビュー。2015年には映画『愛の渦』などで第88回キネマ旬報ベスト・テン新人女優賞など新人各賞を受賞。以来、映画『あのこは貴族』、NHK大河ドラマ『麒麟がくる』など数多くの作品で活躍。現在は日本テレビ「リバーサルオーケストラ」(毎週水曜22:00)に出演中。3月24日から始まるWOWOWの連続ドラマW-30「ながたんと青と-いちかの料理帖-」(毎週金曜23:00)では主演を務める。
撮影/水野美隆 ヘアメーク/秋鹿裕子〈W〉スタイリング/佐々木翔 取材/坂本結香 再構成/Bravoworks.Inc