つい「ムカつく」と職場で発した経験はありませんか?
普段から聞き慣れている若者言葉は、ビジネスシーンや目上の人と話す時など、場にそぐわないことが多々あります。そんな時に知っておきたいのが“正しい言い換え語彙”です。
そこで今回は、知っておきたい“若者言葉の正しい言い換え語彙”をご紹介します。
■「ムカつく」
不愉快な思いをした時や、イライラした時などに、つい「ムカつく」と言ってしまう人もいるのではないでしょうか。
もし不愉快に思うことがあったとしても、そのまま「ムカつく」と口に出してしまうことは、アラサー女性ならば避けたいところです。特に会社などで「ムカつく」と言ってしまうと、子どもっぽい印象を与えてしまう可能性があるでしょう。
そこで「ムカつく」の正しい言い換え語彙について、以下より説明します。
■「ムカつく」を言い換えると?
「癪(しゃく)に障る」
「ムカつく」を正しく言い換えた言葉として、「癪(しゃく)に障る」があります。
「癪に障る」には「物事が気に入らなくて腹が立つこと」という意味があります。たとえば「嫌味な話し方が癪に障る」のように使う言葉です。
ちなみに「癪」は、胸部・腹部に起こる激痛のことを意味していて、いわゆる胃腸疾患や胆石などがそれに該当するとされています。これらは、もともと辛いことや苦労などが積もり積もって起こる女性の病気と言われていて、「癪に障る」という言葉は、その心理的な部分をとらえて生まれたそうです。
「癇(かん)に障る」
「癇(かん)に障る」とは「神経を刺激されてイライラする」という意味の言葉です。
「癇」と「癪」の漢字が似ていたり、「癇癪(かんしゃく)」という言葉があったりする点などから「癪に障る」と「癇に障る」は混同しやすいので注意しましょう。
「癇に障る」は、たとえば「彼の言動のひとつひとつが癇に障る」などといったように使います。ちなみに「癇」は「ひきつけなど、子どもがかかる病」や「神経質で興奮しやすい気質」を意味する言葉です。
「虫唾(むしず)が走る」
「ムカつく」の正しい言い換え語彙はいくつかあり、「虫唾(むしず)が走る」もそのひとつです。
「虫唾」は「ムカムカした時に、胃から出てくる酸っぱい液」のことで「虫酸」とも書き、「虫唾(虫酸)が出てきて吐き気をもよおすほど嫌なこと」を表す言葉です。
たとえば「想像するだけでも虫唾が走る」などといったように使われます。
■「わかりますか?」
自分よりも目上の人に、何かを説明したり教えたりした時。
きちんと相手に理解してもらえたかを聞くのに、つい「わかりますか?」「おわかりでしょうか?」と聞いてしまうのは避けたいところです。たとえ丁寧な言い方を心がけていたとしても、目上の人が気分を害してしまう可能性があります。
以下より、いざという時のために覚えておきたい「わかりますか?」の言い換え語彙をご説明します。
■「わかりますか?」を言い換えると?
「ご不明な点はございますでしょうか?」
「わかりますか?」の言い換えとして「ご不明な点はございますでしょうか?」があります。
「不明」は「わからないこと」「明らかになっていないこと」を示す言葉であり、このフレーズを覚えておくととても役に立つでしょう。
また「わからないことがあれば聞いてほしい」という言葉は「ご不明な点がございましたら、ご連絡ください」と言い換えることができます。
「不備がありましたらご連絡ください」
相手にそれとなく「わからない点はありますか?」と伝えたい時に使えるのが「不備」という言葉です。
「不備」には「十分に備わっていないこと」という意味があります。
「わからない点があれば聞いてください」は、「不備がありましたらご連絡ください」と言い換えることができますよ。
「拙い(つたない)説明で…」
ストレートに「わかりましたか?」と聞くだけでなく、自分の説明や文章などをへりくだって言い換える方法もあります。
「拙い(つたない)」には、「能力が劣っていること」という意味があり、たとえば「拙い説明で申し訳ございません」など自分の能力をへりくだる場合に使われる言葉です。
いかがでしたか? 同じ意味の言葉でも、正しい言い換え語彙をなるべく多く覚えておくと、その場に合わせた言葉を選んで使うことができ、さまざまな場面で役立つでしょう。
気心知れた友人の前で若者言葉を使うことはあっても、社会人として常識ある対応を求められる場では、その場の雰囲気に合った適切な言葉を使えるようにしてくださいね。
参考文献
齋藤 孝『大人の語彙力ノート どっちが正しい?編』(SBクリエイティブ)
文/大内千明 画像/Shutterstock(Dean Drobot、WAYHOME studio、fizkes、Photographee.eu、ImYanis)