仕事や日常生活に困らないくらいの漢字力はあるけれど、難読漢字はなかなか読めない……という人は意外と多いものです。だからこそ、一見難しそうな漢字をスラスラ読めると、それだけで一目置かれることも。
そこで今回は、これさえ押さえておけばあなたも「すごい」と思われる、“読めると知的な印象を与える漢字”をご紹介します。
1.「数多」
文字通り「数量が多いこと」を意味する「数多」。「数多」で表す際の数量には決まりがないそうです。
また、「数多」を使った慣用句や熟語には「引く手数多(誘う人がとても多いこと)」「数多返り(同じことを何度も繰り返すこと)」といったものがあります。
そんな「数多」の正しい読み方は……「あまた」です。
つい「すうた」などと読み間違えてしまいやすいので注意しましょう。
2.「衷心」
「衷心」には「真心」「心の中」といった意味があります。“嘘偽りない心からの気持ち”を表す場合に使われ、たとえば「衷心より感謝申し上げます」「衷心よりお悔やみ申し上げます」といったように用いることが多いです。
「衷心より~」のほかに「衷心から~」と書くこともありますが、よりフォーマルな文章では「衷心より~」といった表現が用いられています。
そんな「衷心」の正しい読み方は……「ちゅうしん」です。
よく「もしん」と読んでしまいがちなので気を付けましょう。また「衷心」と「忠誠心」も混同しやすいため、注意が必要です。
3.「吝か」
「吝か」とは「ためらうさま」や「けちな様子」「物惜しみすること」を意味する言葉です。一般的には「吝か」の打ち消しである「吝かではない」といった使い方をすることが多いでしょう。
そんな「吝か」の正しい読み方は……「やぶさ(か)」です。
この「吝かではない」の意味を「仕方なくやる」「しぶしぶ実行する」と勘違いしている人も多いようですが、正しくはそうすることに「ためらいもない」、もしくは「自ら進んで行う」といった意味があります。意味を間違えないよう、しっかりと覚えておきましょう。
4.「恣に」
「自分の思い通りに物事を進めるさま」「心の思うままに振る舞うこと」を「恣に」と言います。
仕事やプライベートなどでさまざまな制約があり、「恣に行動できたらどんなにいいか」。そんなふうに感じている人もいるかもしれませんね。
そんな「恣に」の正しい読み方は……「ほしいまま(に)」です。
よく「ほしいまま」を漢字で書こうとして「欲しいまま」と書き間違えるケースがありますが、「恣」と「欲しい」ではそもそもの意味が異なります。「恣」は読み間違い・書き間違いに注意したい言葉です。
いかがでしたか? 今回ご紹介した漢字は普段、ひらがな表記されることが多く正しい読み方を知らない人が少なくありません。
周りと差がつく難読漢字。正しい読み方を覚えておくと、さまざまなシーンで役に立つことでしょう。
参考文献
根元 浩『杏仁豆腐はキョウニンドウフが正しい!大人が読み間違うと恥ずかしい漢字』(中央公論新社)
文/大内千明 画像/Shutterstock(luckyraccoon、Milos Batinic、Studio KIWI、Studio KIWI、popcorner)