洪水のようなソング&ダンスとともに彩り豊かな演出で上質なステージをお届けしてきたSHOW-ismシリーズ。11作目となる今回の『BERBER RENDEZVOUS』(ベルベル・ランデヴー)は、オール女性キャストで全編を歌と踊りで綴り、柚希礼音さんと美弥るりかさんが主演を務めます。このお二人に、舞台のことを中心にウェルビーなライフスタイルやパーソナルなことについて、3回に渡り対談していただきました。
最終回は、お二人しか知らない宝塚時代のお話をお聞きします!
Q.美弥さんは月組への組替えがありましたが、星組で育ったお二人。美弥さんが配属されたときの印象、4期先輩の柚希さんの印象を教えて下さい。
柚希礼音さん(以下柚希)「可愛い子が入って来た!」と噂になっていましたが、当時の星組は厳しかったので、4期離れていると個人的に話すということはなかったですね。でも、るりるりが新人公演で私の役をやってくれたときに、たくさん話をしました。新人公演で私の役になる子は毎回違うわけですが、誰よりも私に質問をしてきて!こんなにも学びたいという気持ちの強い、情熱を持った子がいるんだと感動したのを覚えています。当時の星組は身長が高い人が多かったので、その中でどうしたら自分というものがだせるか、本当に苦労したと思うんです。その苦労の甲斐があり、新人公演をやる上の学年の頃には情熱溢れる人になっていて、大きな壁を乗り越えたんだなと感心しました。だから、前回お話したように贔屓したくなる可愛い存在なんです(笑)。
美弥るりかさん(以下美弥) ありがとうございます!私が音楽学校にいたときからすでにちえさんはスターさんでした。宝塚に入り、配属された星組でちえさんに初めてお会いしたときは「本物の柚希礼音さんだー!」と興奮したのを覚えています。宝塚の男役になるために生まれてきたかのようなキラッキラのオーラを放っていらっしゃいました。数年後にちえさんはトップさんになり、私が新人公演最後の学年でトップのちえさんの役をやらせて頂けることになった時は、本当に嬉しかったです。
柚希 私のトップ2作目の『ハプスブルクの宝剣―魂に宿る光―』だよね。
美弥 そうです。その頃、ちえさんの人気は拍車がかかるように上がり、宝塚での立ち位置もレジェンドのような感じになっていたので、トップになられて間もないのに、本当に大変そうでした。過酷過ぎて一瞬も休まる時間がない感じです。そんな時に新人公演でちえさんの役をやらせていただいたわけですが、お忙しいにもかかわらず私が質問すること全てに丁寧に答えて下さったんです。
柚希 思ったことを、全て何でも話していたよね。
美弥 その包み隠さず全部話して下さる感じが嬉しかったんですよね。スキルのない私の目線になって惜しみなく教えて下さいましたし、役についてだけでなく私自身のことをわかろうと心を広げて受け入れて下さる感じも!ちえさんは本気で私と向き合ってくれている!って感じました。
その後、組替えになりましたが、ちえさんに教わったことは私の核となり、月組時代だけでなく退団した今もずっと残っています。
柚希 そう言ってもらえるなんて、嬉しいなあ。月組に行くと聞いたときは、本当に悲しかった。るりるりの最後の星組公演『オーシャンズ11』では組を代表する主要メンバーになっていたから、るりるりが演じているのを観ると感動して泣けてきて。「いい男役に育った!自分らしさを持ったから、安心して送りだせる!」って、子供を巣立たせる親の気持ちでした(笑)。そして自分の色をしっかり持って月組に行ったから、大きく花開いて大活躍したのが嬉しかった!本人は苦労しただろうけれど、とても大切な下級生時代を過ごしたからこんなに輝けたんだなって。
美弥 下級生時代に、ちえさんが惜しみなく教えて下さったおかげです。自分が上級生になって思いましたが、プレッシャーや責任感などがどんどん重くのしかかってくるんです。ちえさんはトップさんだったので私には理解できないくらい大変だったのに、どれだけの体力や精神力を使って私に関わってくれたのだろうと思うと…。あの時は私なりに必死でいつもちえさんの後をついて回ったのですが、もう少し気を遣って控えればよかったですよね?
柚希 (笑)。私が下級生だった時も同じだった。上級生になって、やっとわかる。昔も今も、それの繰り返しなんだろうね、宝塚って。
Q.退団して7年目となった柚希さんへお聞きしたいことはありますか?また、退団して3年目になった美弥さんへのアドバイスはありますか?
柚希 私がるりるりにいろいろと聞くことの方が多いかも。「色白になってない?何やってんの?」、「ネイルどこで?」、「そのアクセサリーどこの?」とか。何でも惜しみなく教えてくれます(笑)。
美弥 惜しみなく、全て教えています(笑)。
柚希 宝塚OGあるあるみたいな、OGならではの悩みってあるから。それについてはアドバイスというか、共感できると思う。
美弥 宝塚を卒業して外の世界にいくと驚くことがたくさんあって戸惑ったのですが、ちえさんも同じことで悩んでいたと聞いたときは「私だけじゃないんだ」と安心しました。カンパニーの皆さまとの付き合い方とか、お話しさせていただきましたよね。
柚希 宝塚という大きな劇団にいたので、気心が知れている方がいい芝居ができるという中で育ったんですね。なので、卒業して初めてお会いするキャストの方たちと、早く仲良くならなくては!と頑張ってしまうんです。退団したての頃は、ずっとそれで空回りしていました。でも、数年経って、何よりも舞台のことに集中するべきなんだ!と気づいたと話したら。るりるりも「私も同じことで悩んでいました!」って。
美弥 先ほどお話したように、人見知りなので。少しお話しができるようになった千秋楽の頃に「皆さま、さようなら」となるわけです。宝塚のように同じ劇団にいるわけではないので、次はいつお会いできるんだろう?もっと仲良くするべきだった?となり。考え出すと止まらないタイプでもあるので…。でも、仲良しになることより、自分の仕事をきちんとやるのがプロなんだって、やっと最近わかりました。
柚希 周りに合わせてばかりいると、自分がブレちゃうからね。
美弥 今回の舞台でも、気を遣うことなく昔みたいにたくさん教えていただきたいのですが、よろしいですか?
柚希 贔屓しまくっているるりるりなので、もちろん!キャパ超えそうなときは、今は無理って言うし(笑)。それに、下級生だったるりるりも今はひとりの役者として本当に素晴らしいので、私はるりるりらしさをたくさん感じたいなって思ってる!
美弥 そんなありがたいことを言っていただけるなんて。その心の広さを見習いたいです!
ギャラリー(全4枚)
柚希礼音(ゆずきれおん)
1999年宝塚歌劇団に85期として入団。卓越したダンス力と華やかな容姿で人気を集め、2009年星組トップスターに就任。2015年退団。退団公演の千秋楽には過去最多となる1万2,000人が集結。退団後は舞台を中心にテレビ等の映像作品でも活躍している。
美弥るりか(みやるりか)
2003年宝塚歌劇団に89期として入団。華のあるダンスと演技力で人気を集める。2019年6月退団。退団公演では二番手としては異例のサヨナラショーが行われる。退団後は中性的で妖艶な容姿を活かし、多くの舞台で活躍している。
SHOW-ism Ⅺ
ショー・プレイ
BERBER RENDEZVOUS(ベルベル・ランデヴー)
演出家・小林香が創造する、独自のセンスと美意識が溢れる人気の舞台SHOW-ismシリーズ。11作目となる今回のSHOW-ism XIは書下ろしの最新作。唯一無二の個性を持つ11人と、さらには超豪華ゲストも迎えたオール女性キャストで全編を歌と踊りで綴りながら、見たことのない化学反応を生み出します。エンターテインメントの輝きを全て詰め込んだ、夢の競演をお楽しみ下さい!
2022年11月20日(日)~12月5日(月)日比谷シアタークリエ
【衣装】[柚希さん]ノースリーブコート¥276,100 ニット¥62,700(ともにマックスマーラ) エコレザーパンツ¥37,400(エス マックスマーラ) シューズ¥187,000(クリスチャン ルブタン) ネックレス¥74,800〈ウッターズ アンド ヘンドリックス〉ピアス¥23,100 リング¥49,500〈ともにイオッセリアーニ〉(すべてアッシュ・ペー・フランス)[美弥さん]トレンチコート¥457,600 スウェットシャツ¥248,600 パンツ¥174,900 ショートブーツ¥223,300〈参考価格〉ネックレス¥957,000〈参考価格〉イヤカフ¥47,300 シルバーリング¥62,700 ブラックリング(ラージ)¥63,800(スモール)¥56,100〈参考価格〉(すべてジバンシィ/ジバンシィ ジャパン)
【問合せ】アッシュ・ぺー・フランス www.hpfrance.com/クリスチャン ルブタン ジャパン 03-6804-2855/ジバンシィ ジャパン 0120-218-025/株式会社マックスマーラ ジャパン 0120-030-535
撮影/木村 敦 ヘアメーク/佐藤エイコ(ilumini.)[柚希さん]、AYA(TRIVAL)[美弥さん] スタイリング/後藤則子(no.23)[柚希さん]、清原愛花[美弥さん] 取材/よしだなお 構成/前田章子(CLASSY.編集室)