宮野真守さん「ずっと楽な場所にいたら、自分が向上していかない」経験を積んで見つけたストイックな仕事観

声優としてはもちろん、俳優にアーティストと多様な活躍を見せる宮野真守さん。9月30日より第一章が上映中、10月28日より第二章、11月25日より第三章が上映される『銀河英雄伝説 Die Neue These 策謀』では、主役のひとりラインハルト役を務めます。年齢を重ねて見えてきた“自分らしい仕事との向き合い方”とは? 宮野さん流ウェルビーイングな働き方について、教えてもらいました。

30代になって自信がついたのは“挑戦することをやめなかった”から

–CLASSY.は

–CLASSY.はちょうどアラサーと呼ばれる世代が読者層なのですが、39歳の宮野さんは、20代の頃と比べて、仕事への向き合い方は変化していますか?

変化、ありますね。30代後半に差し掛かってから同じような質問をいただくことがあって、よく言わせてもらうのが「自信がついたな」ってこと。それと、今また更に自分を更新できているなとも思います。それは、自分をちゃんと褒めてあげるなら、チャレンジしてるからこそだと思うんです。自分の知らない世界に挑戦していこうって思っている。そうして得られるものって、過程はすごく大変なんですけど、自信に繋がるなっていうのがあって。それはやはり20代の頃とは違う感覚。20代の頃は、やっぱり自信がなかったというか、焦りがかなり強かった。仕事はいただいていたんですけど、なんというかずっとお払い箱になるかもしれないなみたいな恐怖を抱えながらやっていて、ガツガツした部分がありました。それはそれでとても素敵なことだと思うんです。20代の時にしかできないというか、20代特有の焦りがあるからこそ、できていた表現もあったと思うから。

「引き出しが多くて、提案もできる」年齢を重ねて感じる強み

–今はどうですか?

–今はどうですか? もうガツガツはしていないですか?

そうですね。少しは落ち着いたと思いますが、その分逆にあの頃とはまた違う表現ができているんじゃないかなと思います。声優の仕事でも、「自分にはこれができる」、「自信を持ってこれを提供できる」というものがどんどん増えていって、それは仕事をやっていく上で自分にとっての安心材料でもありますよね。僕はこのところテレビとか舞台をやらせてもらう機会が増えてきたので、よりそう思うのかもしれないんですけど、やっぱり自分が一番自信を持てるのは声優の仕事だってことも発見できたんです。一番引き出しが多くあって、「これができますよ」を色々とプレゼンできるっていうのは、年齢を重ねたからこその強みですよね。

自分の提案が監督に受け入れられてー成長を感じた作品とは?

–仕事に向き合う姿

–仕事に向き合う姿勢が変化したきっかけになった作品はありますか?

なんでしょうね…あ、ひとつあるのは『亜人』っていう作品があって、それがプレスコで行われた作品だったんです。プレスコっていうのは、まだアニメの絵がない状態で、台本が先にあって声を先に録るっていう作り方なんですけど。声優が先に声を録ることで、自分のイマジネーションとかアプローチで、監督に対しても、作品に対しても、「こういうのはどうですか?」ってたくさん提案できる自分がいたんですよね。それに対して監督が「それおもしろいですね、ありがとうございます」って受け取ってくれた瞬間があって。そういうお仕事を味わった時に、「あ、なんか、成長したな」って思ったんです。声優としてこういうアプローチができるんだってことをどんどん発見できたのは、プレスコが大きなきっかけになったかなと思います。

“自分に無理を強いる”宮野さん流の自分らしい働き方

–CLASSY.読

–CLASSY.読者の大事な価値観の一つが、“自分らしい働き方”なのですが、宮野さんご自身はどんな働き方を自分らしいと感じますか?

僕のスタイルは、さっき言ったことと矛盾するかもしれないけれど、やっぱり“自分に無理を強いること”かもしれない。いきいきと仕事をするために、自分にチャレンジを課して、ハッパをかけることが必要なんです。もちろんラクな場所も、必要なんですけど(笑)。でもそれだけだと自分が向上していかないなって思ってしまう。挑戦するって、しんどい時もたくさんありますよね。でもやってる時はしんどいんですけど、それでもやっぱり「これがないとダメだ」って思う瞬間がたくさんあって。たとえば、ずっと生の本番というか、舞台やライブみたいなお客さんの前で演じるのは大変だけど、そういう刺激がないとやっぱりダメだなって思いますし。知らないところに飛び込んで、新たな挑戦をやめないこと。その姿勢は、今後も続けていきたいですね。

フォトギャラリー(全4枚)

『銀河英雄伝説 Die Neue These 策謀』第一章
9月30日(金)より全国の劇場にて上映中!

田中芳樹の大長編SF小説「銀河英雄伝説」を、Production I.G制作により新たにアニメ化した『銀河英雄伝説 Die Neue These(ディ・ノイエ・テーゼ)』のフォースシーズン「策謀」。

数千年後の未来、宇宙空間に進出した人類は、異なる政治体制を持つ2つの国に分かれ、長らく絶えることのない先頭を繰り返してきた。そして、宇宙暦8世紀末、「常勝の天才」ラインハルト・フォン・ローエングラムと「不敗の魔術師」と呼ばれるヤン・ウェンリーというふたりの天才の登場によって歴史は動く—。宮野さんは、主人公のひとりであるラインハルトの声の出演を務める。

公式サイト:https://gineiden-anime.com/

PROFILE
宮野真守(みやのまもる)●1983年6月8日生まれ 埼玉県出。幼少より子役として活動し、’01年声優デビュー。俳優、歌手活動など幅広く活躍。最近の主な出演作は声優:アニメ映画『竜とそばかすの姫』、アニメ『鬼滅の刃 遊郭編』、映画(吹き替え)『ファンタスティック・ビースト』シリーズ、『トップガン マーヴェリック』Season1、舞台『神州無頼街』など。

撮影/木村 敦 取材・編集/宮島彰子(CLASSY.ONLINE編集室)

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10月28日発売/
表紙モデル:山本美月

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