【元宝塚】北翔海莉&愛月ひかる・スペシャル対談「最近話題のウェルビーイングについて」

大阪の劇場、シアター・ドラマシティ開場30周年を記念して行われるコンサート『Dramatic City“夢”』。出演される宝塚OGの北翔海莉さんと愛月ひかるさんの対談、後編ではお二人が考える「ウェルビーイング」についてお話を伺いました

――CLASSY.ではウェルビ

――CLASSY.ではウェルビーイングなライフスタイルを発信しています。以前、愛月さんがお話ししてくださった「周りの人に積極的に話しかけて場の空気を明るくすることの大切さ」はまさに気持ちのうえでのウェルビーイングだと思います。北翔さんが心掛けている「ウェルビーイングなこと」を教えていただけますか?
北翔海莉さん(以下北翔) 私も声かけは大事だと思います。私がトップだった時は特に最下級生に声をかけるようにしていました。昨日できていなかったことが今日できていたら「ここの踊り、前よりよくなったね!」と必ずほめていました。
愛月ひかるさん(以下愛月) 最下級生にトップさんが声をかけてくださるなんて、驚きです! トップさんに見ていただけていたことが嬉しくて、もっと頑張ろう! と最下級生だけでなく皆が意欲的になるでしょうね。私が下級生の頃は見てもらえているなんて思いもせず、小道具の用意や差し入れを配ることに必死でした(笑)。トップのみちこさんに声をかけられた子は、驚いていませんでしたか?
北翔 最初は緊張していたけど、毎日声をかけていたから。いい意味で緊張はなくなり、いきいきとした顔で聞いてくれていましたね。最下級生が頑張るとその上の学年も頑張るし、トップの私が声をかけていると私の下の上級生も声をかけるようになるし、相乗効果で組の雰囲気がよくなるといいなと思ってやっていました。
愛月 私の一期下の漣レイラが、好きだった踊りをダメだダメだと思ってしまっていた時に、みちこさんにダンスをほめてもらえて、もう一度ダンスを好きになれたと言っていたのを思い出しました。言葉の力ってすごいです! 言われた時だけでなく、その後も心の支えになっていると思います。新人公演でみちこさんのお役をやる機会に恵まれなかったので、それが本当に残念です。

北翔 愛ちゃんとは縁がなくて、

北翔 愛ちゃんとは縁がなくて、私も残念でした。新人公演の指導法って決まりがないでしょ? だから、聞いてくる子には自分の男役の芸を惜しみなく教えるし、聞かないで自分のやりたいようにやるという子はどういう役作りをするのだろうと楽しみだったし、勉強にもなりましたね。愛ちゃんはどう教えていたの?
愛月 私が下級生の頃は緊張して聞くことができなかったので、教える立場になった時は自分から声をかけていました。「どうなの?」「どうしてる?」って。みちこさんはどんな下級生でしたか?
北翔 私が月組に配属された頃は、ひたすら見て学べという時代たっだな。でも、紫吹淳さんがトップになり、紫吹さんのお役をさせていただいた時は惜しみなく何でも教えてくださいました。紫吹さんの投げる帽子がいつもカッコよく真っ直ぐ飛ぶのが不思議で「どうして真っ直ぐ飛ぶんですか?」と聞いたら、「そういうことを聞いてくる子が少ないんだよ、いいところに気づいたね!」なんて言いながら、帽子におもりを入れる技を教えてくださって。「どんなに激しく踊ってもスボンがピシッとしているのはどうしてですか?」と聞いたら、裾にメダルを仕込んでいるのを見せてくださいました。脚を長く見せるためには身体のどこをひねってポージングするといいとか、舞台から映える顔の角度は何度とか…。役のことはもちろんですが、紫吹さんが何年もかけて研究された宝塚の美学を事細かにすべて教えてくださいました。紫吹さんのお役をやっていた新人公演時代は、本当に楽しかった!
愛月 みちこさんから宝塚の美学を伝授していただきたいです!
北翔 伝授しますよ! でも、今回のコンサートはお互いいっぱいいっぱいで、それどころじゃなさそうだね(笑)!
愛月 そうですね。肌で感じることにします(笑)!

―現在のウェルビーイングなライ

―現在のウェルビーイングなライフスタイルについてもお聞かせください。
北翔 今は子育てに奮闘中。でも、子育ても家事も仕事もどれも苦じゃない、楽しいです!
愛月 みちこさんは私の理想です! 私も家庭をもって子育てをするというのが最終目標なので。家庭だけでなく舞台の仕事も続けられているので、本当に素晴らしいです! でも、やらないといけないことがいっぱいで大変ではないですか?
北翔 自分でもいつ歌詞を覚えているんだろう?と思うんですよね(笑)。朝から晩まで子育てと家庭のことをやっているから、家で譜面や台本を開くことがなくて。きっとお稽古場での集中力がすごいんだと思います(笑)。忙しいけれど、自分が選んだ道だし、どれも最高に楽しんでやっていますよ!
愛月 家庭と仕事を両立する秘訣をもっと詳しく教えてください!
北翔 どんな些細な事も感謝するようにしています。家事は女性がやらないといけないことではないし、男性が手伝わないといけないことでもない。やってくれた人に対して「ありがとう」と思うことが大切だと思います。こう考えるようになったのは、私が妊娠してつわりが酷かったのがきっかけです。つわりで何もできなくなったら、家事を一切やったことのない旦那さんが不器用ながらに食器を洗い、洗濯もしわくちゃなままだけど干してくれたんです(笑)。それが本当にありがたくて、心から感謝しました。それから、今まで当たり前と思っていたことにも感謝するようにしたら、我が家は今では一日に100回以上「ありがとう」が飛び交うようになりました。一日頑張ってくれた自分の身体にも「ありがとう」、公演の日は来てくださった皆様に「ありがとう」、寝る前には旦那さんに「今日も一日ありがとう」、旦那さんは私に「みっちゃん、ありがとう」と言って寝ています。
愛月 「ありがとう」は言われた人も言った人も気持ちがよくなる言葉ですよね。私も一日100回の「ありがとう」を目指します!

―フィジカルな面で心がけている

―フィジカルな面で心がけているウェルビーイングなことはありますか?
愛月 月に2回は肌のトーニングかピーリングをしています。毎日湯舟に浸かって身体を温めることも心掛けています。あとは朝に白湯とビタミンを摂るくらいで、頑張らなくても続けられることをやっています。朝、白湯を一杯飲むのは在団中から続けていて、旅行先で飲めなかった時は調子が出なかったくらいなので、自分に合っているんだと思います。
北翔 無理せず続けられることがいいよね。私がやっているのは旬の物を食べることくらいかな。美味しくて幸せだし、身体にもよさそうでしょ? この前の人間ドックで「こんなにきれいな腸を久しぶりに見た!」と言われたので(笑)、これからも旬の美味しい物を食べる健康法を続けていきます! スキンケアはしたいんだけど、湯上りに子供の髪を乾かしていたら、自分の肌はカッピカッピになっていて。あーだこーだやっているうちに、そのまま寝ちゃっています(笑)。
愛月 何もしていなくてそんなにきれいなら、やらなくていいと思います(笑)。私も宝塚時代は何も塗らなかったです。一日に3回くらい舞台化粧を落とすために顔を洗っていましたが、皆、肌きれいでしたよね。きちんと落とすことは大事なんでしょうね。運動量がすごかったから、肌の代謝もよかったんでしょうか?
北翔 肌でも何でも甘やかさない! 厳しくしつつ、肌にも「今日も一日ありがとう」と言いながら寝れば大丈夫(笑)
愛月 肌にも「ありがとう」ですね(笑)! でも、私にはみちこさんのような肌の底力はなさそうなので、持続可能な範囲でケアしていきます!

北翔海莉
‘98年宝塚歌劇団に84期として入団。月組に配属。のびやかな歌唱力とハートフルな演技が支持される。’12年専科へ異動。’13年『THE MERRY WIDOW』、’15年『風の次郎吉―大江戸夜飛翔―』でシアター・ドラマシティ主演。’15年、入団18年目に星組トップスターに就任。’16年退団。12月20日に北翔海莉ディナーショー「ブロードウェイの子守唄」を開催予定

愛月ひかる
‘07年宝塚歌劇団に93期として入団。抜きんでた実力で注目を集め、新人公演主演を4度も果たす。’16年『エリザベート』ではルイジ・ルキーニ、’18年『不滅の棘』でシアター・ドラマシティ初主演、’21年『ロミオとジュリエット』ではティボルトと死の二役を演じる。昨年12月に退団。10月より退団後、初のミュージカル『ファンタスティックス』に出演予定。

シアター・ドラマシティ30周年記念コンサート『Dramatic City“夢”』
’92年大阪・梅田茶屋町に最先端技術を駆使した劇場として誕生したシアター・ドラマシティ。同年12月には初の宝塚歌劇公演を開催、以降さまざまなエンタテインメントを世に送り出してきた同劇場の開場30周年を記念し、所縁の深い宝塚歌劇OGを迎えて懐かしい楽曲から定番ナンバーまでバラエティ豊かでスペシャルなコンサートを開催! 9月9日(金)~10日(土)東京建物Brillia HALL /9月16日(金)~18日(日)梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

撮影/木村敦 取材/よしだなお 構成/中畑有理(CLASSY.編集室)

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表紙モデル:山本美月

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