「足を洗う」「腹が据わる」など、“体の部位を表す漢字”を使った言葉には、さまざまなものがあります。
今回は、そうした言葉の中から、“特に読み間違いが多い5つの漢字”をご紹介。
普段から目にしている言葉でも、意外と読み間違えているものもあるかもしれません。あなたはいくつ読めるでしょうか?
1.「頭が高い」
「頭が高い」とは、相手を見下げる態度で、無礼であることや横柄であることを意味する言葉です。
「頭」には「あたま」「とう」など、さまざまな読み方がありますが、「頭が高い」の場合は「ずがたかい」と読みます。
「頭」を使った言葉は数多くありますが、それぞれ読み方が異なるため、その都度一つひとつ読み方を覚えていくのが確実でしょう。
2.「頭をめぐらす」
「振り向くこと」や「頭を後ろのほうに向けること」、またそのさまから「過去を振り返ってみること」を「頭をめぐらす」と言います。
「頭が高い」の「頭」は「ず」と読みましたが、「頭をめぐらす」の場合は……?
「こうべをめぐらす」と読むのが正解です。
「頭(こうべ)」とは首からの上の部分を意味し、「首」と書いて「こうべ」と読むこともあります。この読み方もあわせて覚えておけるといいですね。
3.「踵を返す」
あと戻りをすることや、引き返すことを「踵を返す」と言います。
「踵」は、体の部位において「かかと」を意味する言葉のため、そのまま素直に「かかとをかえす」と読んでしまいがち……。
「踵を返す」の場合の「踵」は「きびす」と読むので、正しい読み方は「きびすをかえす」です。
また、「踵を返す」と同じ意味の「踵をめぐらす(きびすをめぐらす)」という言葉もあります。こちらも豆知識として覚えておくと、ちょっとした話のネタになりそうです。
4.「背筋を鍛える」
「背筋」という言葉には「せすじ」と「はいきん」という読み方があり、言葉によって読み方が異なります。
「背筋を鍛える」など、「背中の筋肉」を意味する場合は「はいきん」と読むのが正解。
一方で「背筋が凍る」「背筋を伸ばす」など「背中の中心線」を表す場合は「せすじ」と読みます。それぞれの使い分け方を覚えておくと、読み間違いを減らせるでしょう。
5.「腹に一物」
「腹に一物」とは「心の中にたくらみがあること」を言い、ほかにも「腹黒い」「腹を決める」のように使います。古代では「心は腹の中にある」と考えられていたので、「腹」を使った言葉には「心」に関するものが数多くあるのです。
「腹に一物」の「腹」の読み方は「はら」で間違いないのですが、「一物」をどう読むのかがポイント!
「腹に一物」の正しい読み方は「はらにいちもつ」です。「物」を「ぶつ」と読み間違えがちなので、注意しましょう。
いかがでしたか? 今回の5問のうち、あなたは何問正解できたでしょうか。
「頭」「背筋」など、同じ漢字でも複数の読み方をする言葉もありますので、それぞれの言葉に合わせた正しい読み方を覚えておくようにしましょう。
参考文献
大人の漢字力研究会『読めそうで読めない漢字 書けそうで書けない漢字』(光文社)
文/大内千明 画像/Shutterstock(Billion Photos、WAYHOME studio、ESB Professional、Olena Yakobchuk、santypan、Roman Samborskyi)