意味もきちんとわかっていて、普段から日常会話で使っているという言葉でも、漢字で書こうとすると書けない言葉って意外とありませんか? また、聞き慣れた言葉なのに、漢字表記になると途端にわからなくなるという人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、間違えやすい日常的な漢字を5つ紹介します。いつもひらがなで書かれているものも、漢字表記を覚えておくと、いざというときに役立ちますよ!
(1)「にもかかわらず」
「にもかかわらず」は、「可能性が低い”にもかかわらず”挑戦する」など、前に言っていることと反対のことを言うときの言葉として、使われます。
平仮名で表記されることもありますが、漢字で書くと「にも拘わらず」が正解です。
「かかわる」=「関わる」という印象が強いのか、「にも関わらず」とよく間違えられ、正しい漢字表記を知っている人は意外と少ないかもしれません。文書などに記載するときは漢字で書くよりも、平仮名で書いたほうが無難そうです。
(2)「いわゆる」
「いわゆる」という言葉は、「一般的に言われている」「世間で言う」という意味で使われます。
ビジネス文書だけでなく、日常会話や小説などの物語でも出てくることがあるでしょう。普段は平仮名で表記されることが多い「いわゆる」ですが、漢字だと「所謂」と書きます。
ただし、「所謂」という言葉は品詞の一種である“連体詞”に分類されていて、連体詞はひらがなで書くのが一般的です。そのため、無理に漢字で書く必要はなく、平仮名表記で書いたほうが良いでしょう。
(3)「あずかり金」
「あずかり金」という言葉が「預り金」と書かれているのを目にしたことがある人も多いでしょう。最近では、「預り金」と書かれることも増えていますが、正しくは「預かり金」です。
そもそも「あずかる」という言葉の送り仮名が「預かる(あず・かる)」のため、本来は「預かり金」と書くのが正解になります。ですが、法令に記載する文書や、一部の企業では「預り金」と書くこともあり、「預り金」という表し方も許容されているようです。
(4)「筆づかい」
「筆づかい」とは、筆を使った書き方や扱い方を意味する言葉です。「つかう」という言葉から、当然のように「筆使いでは?」と思う人もいるでしょう。
実は、「筆づかい」の正しい漢字表記は「筆遣い」です。
また、「筆遣い」以外にも「金遣い」「気遣い」「お小遣い」など「遣」という漢字を使って表す言葉が複数あります。そのため、「使」と「遣」の使い分けに迷う人も少なくありません。
主に「使」を用いる場合は動詞、「遣」の場合は名詞とされています。上記のように「金遣い」「気遣い」などは名詞のため「遣」ですが、「気を使う」「お金を使う」と動詞になるため「使」を用いるようにしましょう。
(5)「きいたふうなことをいう」
「きいたふうなことをいう」とは、「知ったかぶりをしていて、生意気な様子で物事を言う」という意味の言葉です。
「きいたふう」を「聞いたふう」と間違えがちですが、正しくは「利いたふう(風)」と読みます。この場合の「きいた」は人から聞いたことではなく、「気の利いた」という意味なので「聞いた」ではなく「利いた」を使います。また、「効果がある」という意味の「効く」とも間違いやすいので注意が必要です。
あなたはいくつわかりましたか? 「これはわかる!」というものもあれば「この言葉の正しい漢字は初めて知った!」というものもあるのではないでしょうか。いずれもよく使う言葉ばかりなので、正しい表記も頭の隅に入れておくと、漢字表記で書かれていたときにも迷わず読むことができるでしょう。
参考文献
大人の漢字力研究会『読めそうで読めない漢字 書けそうで書けない漢字』(光文社)
文/大内千明 画像/Shutterstock(Elnur、Cineberg、Mladen Zivkovic、file404、Rinafoto、Iryna Inshyna)