医療、建築や教育、アパレルなど業界によって専門用語はさまざまですよね。特に、IT業界では独特のワードが使われる傾向にあるようです。
“意識高い系”の人にとっては、カッコいい響きに思えても、業界外の人たちからはポカンとされ、ドン引きされることも少なくありません。
そこで今回は、業界での勤務経験がある筆者の実体験をもとに、IT業界界隈で使われがちなイタイビジネス用語についてご紹介いたします。あなたの周りにも、こんな人はいませんか?
1.「アサップで!」
「アサップ」とは、英語の「as soon as possible」を短縮した「ASAP」を意味します。
日本語では「なるべくはやく」という意味ですが、字面を見ても、口頭で伝えられても、すぐに理解できる人は少ないのではないでしょうか。気になる彼や業界の友人から「返信、アサップで!」なんて言われてしまったら、反応に困ってしまいますよね……。
ここは素直に「できればはやめに!」と、誰にでも伝わる表現を使ってほしいものです。
2.「サマる」
「サマる」と言われても……いまいちピンとこない人も多いのではないでしょうか?
概要や要約を意味する「サマリー(summary)」という用語をもとに、「要約する」ことを表現する際に、使用している例です。IT業界に10年以上勤めていた筆者も、社内チャットでこんなメッセージを見かけたことがあります。
「クライアントのドキュメント、サマっといて! 月末でリソースないから、メリデメ考えてプライオリティも決めて。リスケもOKだから!」
「カタカナ多すぎだろ!」と、ひそかにツッコまずにはいられませんでした。
3.「ジョインしました!」
転職して新しい会社に属したり、新たにグループやチームに参加したりすることを「ジョインする」と言う人がいます。
なんとなくではありますが意味はわかりますし、なんだか楽しそうな雰囲気も感じるのですが……。SNSでは、意識高い系男子のこんなつぶやきも見かけました。
「グロースハッカーともいえる優れたCEO陣のスタートアップに、僕もジョインしました!」
横文字が多く、字面としてもなんだか難しそうな印象を与えかねない一文ですよね。
4.「バッファないんだけど!」
SEの担当者がサーバーの説明をする際に用いることも多い「バッファ」という用語。コンピュータで、データを一時的に記憶する場所を指すそうなのですが、本来とは異なる場面で用いている人もいるようです。
意識高い系の人の場合、「バッファ」を「余裕」という意味に置き換え、「余力がない」ようなシーンで「バッファないんだけど!」などと言うことも……。
本人はよくとも、どんなシチュエーションで伝えるべきかは吟味すべきですね。日頃コンピュータにあまり触れないような女子も集まる飲み会で、「週末になると、体力のバッファないんだよね~」なんて言われたら、ドン引きすること間違いなし!?
5.「NR」
「NR」とは「No Return(ノーリターン)」の略で、外出先からそのまま自宅に帰ることを意味します。営業関連の人はよく見聞きする用語ではないでしょうか。
でも、社内やチームに中高年世代の方がいるなら、日本語で伝えたほうが無難なようです。略した言葉を聞きなれていない人も多いため、スムーズに本来の意味が伝わるようにするためには、「直帰」などと表現したほうがよい場合もあります。
社会人である以上、どんな場面で誰に伝えるかを意識した表現を心がけたいものですね。
いかがでしたか? 日常的に使うワードでも、実は業界専門用語だったなんてこともあります。本人に気取るつもりがなくても、聞く相手によっては「気取っていてなんだか偉そう」と思われれてしまう可能性も……。
仕事でのつながりがあまりない地元の友人や趣味仲間とやり取りする際には、意識的に表現を見直したほうがよさそうです。話が通じないだけでなく、「鼻につく」「イタイ人」とからかわれることがないよう、思い当たる方もそうでない方も、日頃の表現には改めて注意するようにしたいものですね。
文/沙木貴咲 画像/Shutterstock(Dean Drobot、Pressmaster、Elnur、Rawpixel.com、Damir Khabirov)