正しく読めていると思っても、実際には読み方を間違えている漢字は、意外と多いものです。そのため、間違って覚えていることに気付かず、思わぬところで赤っ恥をかいてしまうことも……。
そこで今回は、日常で見かける“読み間違えやすい漢字”をピックアップしてみました。全問正解できるか、ぜひチェックしてみてくださいね。
1.「乳離れ」
赤ちゃんが成長するにつれて、徐々にと母乳以外のものを口にするようになることを示す言葉です。
「普通に読めば“ちちばなれ”では?」と思う人もいるかもしれませんが、正解は「ちばなれ」です。
日頃、「乳」を「ちち」と読んでいるため、そのまま「ちちばなれ」と読んでしまう人も多いようです。
現在では「断乳(だんにゅう)」「卒乳(そつにゅう)」といった言葉を使うこともあります。この機会に、きちんと正しい読み方も覚えておきましょう。
2.「御用達」
テレビ番組や雑誌などで、“芸能人御用達”“海外セレブも御用達の○○”といった言葉を見かけたことがある人も多いのではないでしょうか。
思わず「ごようたつ」「ごようたち」と読んでしまいそうですが、正しい読み方は「御用達(ごようたし)」です。
「達」という漢字は、一般的に「たつ」「たち」と読むことが多いため、読み間違えてしまうのでしょう。
ちなみに、「用事を済ませる」という意味の言葉で「用足し」または「用達」というものがありますが、この場合の「用達」の読み方も「ご用達」と同じで「ようたし」です。
3.「職人気質」
「職人気質」とは、文字通り職人のようにひとつの物事に対してまっすぐひたむきに取り組む、実直な性格であることを表す言葉です。
「しょくにんきしつ」と、そのまま読み間違えがちですが、正しくは「職人気質(しょくにんかたぎ)」です。
「気質」という言葉から「かたぎ」という読み方は、なかなか想像がつきにくいかもしれません。しかし本来、同じ「気質」という漢字でも「気質(かたぎ)」と「気質(きしつ)」はそれぞれ別の言葉で、その意味合いも微妙に異なるものです。
「気質(かたぎ)」は、「特定の身分や職業の人にある特有の性格」を意味しています。一方、「気質(きしつ)」は「言動に表れる、その人の身に備わった性質や気性」を意味する言葉です。意味によって、読み方が違う点に注意しましょう。
4.「他人事」
「たにんごと」と読み間違えがちなこちらの漢字。正しい読み方は「他人事(ひとごと)」です。
「他人」を「たにん」と読むため、「他人事」もそのまま「たにんごと」と読んでしまうのでしょう。
元々「他人事」は、「人事(ひとごと)」という言葉が由来です。しかし、「人事(ひとごと)」は「人事(じんじ)」とも読めてしまうため、混乱を避けようと「他人事」と書くようになったと言われています。
5.「最高値」
取引の現場でよく用いられる言葉で、「最も値段が高いこと」「取引市場において、上場してから一番高い値段がつくこと」を意味します。
正しい読み方は「最高値(さいたかね)」です。思わず「最高値(さいこうち)」と読んでしまいがちなので、注意しましょう。
また、反対に「最も値段が安いこと」を表す言葉は「最安値(さいやすね)」と言います。「最高値」とあわせて覚えておくといいかもしれませんね。
この読み方でいいのか不安だなと思う漢字があれば、できるだけ早いうちに正しい読み方を調べておくといいでしょう。いざというときに恥ずかしい思いをしないためにも、普段からわからない漢字を調べる習慣をつけておくことをおすすめします。
参考文献
大人の漢字力研究会『読めそうで読めない漢字 書けそうで書けない漢字』(光文社)
文/大内千明 画像/Shutterstock(Odua Images、Trendsetter Images、Monkey Business Images、Roman Samborskyi、Khosro、Yuganov Konstantin)