主演舞台、音楽劇『夜来香(イエライシャン)ラプソディ』が公演中の松下洸平さん。松下さんの〝色気〟にクローズアップしたCLASSY.4月号の大反響にお応えして本誌未掲載カット&コメントを2回にわたって公開! 前編では舞台のお話を中心に、音楽の魅力についても伺いました。
――今作で演じているのは作曲家の服部良一さん。音楽劇ということで歌も披露されていますが、ミュージシャンとしても活躍している松下さんが思う音楽の力や魅力とは?
「すごく単純に、僕は音楽を聴くのも歌うのも好きです。辛いことがあった時に音楽は必要だし、楽しい夜には音楽が必要だし、今日は頑張らなきゃなって思うときも音楽が必要だし-―。今は楽曲をつくり表現する立場でもあるので、自分とは切っても切り離せない存在だと思います。音楽に対する想いの量にはそれぞれ違いはあるかもしれませんが、100人いたら100人に大切な1曲があると思うんです。僕にとってもそんな1曲があるし、生きていくうえで必要なものですね」
――服部良一さんが作曲した楽曲のなかで好きな曲はありますか?
「淡谷のり子さんが歌った『別れのブルース』。あの時代の東京に生まれて下町の片隅でこの曲を聴きながら、たそがれたかったなあと思います(笑)」
――所属事務所の25周年記念公演でもある今作。事務所の先輩や後輩も多数、共演に名を連ねていますがどんなところが楽しみですか?
「まず白洲迅くんは彼が事務所に入ってきた頃から知ってます。最初はすごくシャイで引っ込み思案なのかなと思ったけど、話してみると深くものを考えている人です。自分のことも人のこともよくよく考えている。今回初めて一緒に芝居をするので、彼が様々な経験をしてきた今、どんなエネルギーを放つのか。存分に味わいたいと思ってます。山内圭哉さんは2度目の共演で、大好きな先輩ですが、『洸平くんってほんまアホやな』ってずっと言われてます(笑)。そこはもうそのまんまにしといてほしい。しっかり者だと思われるのもいやなので、アホやなって言われる存在でいたいです(笑)。山西(惇)さんは僕の芝居の師匠みたいな方で、舞台『木の上の軍隊』の時はほぼ二人芝居でしたが、数えきれないほど助けていただいたので、少しでも成長した姿をお見せできればと。山にい(山西惇さん)にはこれからもいろんなことを教えていただきたいです。あと、上山竜治くんはめちゃくちゃ面白い人で彼の持ってる陽のエネルギーが大好きで、彼がいると現場がいつも明るくなる。今回もそのエネルギーを発揮してもらって、いい現場になればと思います」
――コロナ禍が続いている今、今作を上演することで伝えたいことは?
「第二次大戦中の当時もエンタテインメントが非常に制限された時代だし、コロナ禍も世界中で起きていることなのでリンクする部分はあると思いますが……。たとえば服部さんなら自分が一番大事にしたいことを最優先に考えるという、ポリシーみたいなものがあって、それが人間にとってはとても大切で、生きていく原動力になるってことが伝わればと。コロナ禍の今も制限はたくさんあるけれど、何か一つ大切なものを持っていれば生きていく力になるってことが今回の舞台で伝わるといいなと思います」
――松下さんご自身の生きていく力となっているものは何でしょうか。
「僕にとって大切なものは、音楽だったり芝居をすることでしょうか。コロナ禍の今、僕らも制限されたなかで表現しなければならないし我慢しなきゃいけないところもあるんですけど、それでも好きなものがあってよかったなと思うんですよね。それは自分のやりたいことや夢じゃなくても、大切な人や守りたい人がいるということでもいいと思うんです。自分のなかに一つ大きな柱みたいなものがあればどんな逆境にも耐えられると思うし、もし耐えられなくなってポキっと折れてしまう時があったとしても、誰か助けてくれる人がいたりする…。人との関わりのなかで、自分が生かされていることを知ることができる。『夜来香ラプソディ』も、困難な時代にありながら夢を叶えるため繋がる人々が描かれていて、僕自身、演じながらセリフや歌詞に今にリンクするものを感じる瞬間があります。それはきっと自分の糧になると思うし、見てくださるお客様にも何か一つでも二つでも小さな勇気をお届けできたらいいなと思っています」
松下洸平
‘87年3月6日生まれ 東京都出身 血液型A型●‘08 年シンガーソングライターとしてデビュー。‘19年NHK朝ドラ『スカーレット』で一躍人気に。主な出演作はドラマ『#リモラブ 〜普通の恋は邪道〜』『最愛』、映画『燃えよ剣』、舞台『カメレオンズリップ』など。歌手としても活動し、配信シングル「KISS」発売中。4月クールの木曜劇場『やんごとなき一族』が4月14日より放送開始。
cube 25th presents音楽劇『夜来香(イエライシャン)ラプソディ』
第二次世界大戦末期の魔都・上海にやってきた新進気鋭の作曲家・服部良一を松下洸平、名曲『夜来香』を作曲した黎錦光を白洲迅、歌姫・李香蘭を木下晴香が演じる。他の出演/山西惇 山内圭哉 壮一帆 ほか。演出/河原雅彦 音楽/本間昭光【東京】~3月27日(日)Bunkamuraシアターコクーン【名古屋】4月3日(日)日本特殊陶業市民会館ビレッジホール【大阪】4月7日(木)~10日(日)サンケイホールブリーゼ【長岡】4月16日(土)長岡市立劇場 大ホールhttp://www.cubeinc.co.jp/archives/theater/cube25thpresents
撮影/黒沼 諭(aosora) ヘアメーク/KUBOKI(Three PEACE)スタイリング/丸本達彦(UNFORM)取材・文/駿河良美 構成/中畑有理(CLASSY.編集室)