【漢字】「幕間=まくま」は間違い!実は読めない漢字3選

CLASSY.ONLINEの漢

CLASSY.ONLINEの漢字記事では「普段目にする常用漢字の範囲内でありながら、多くの人が読み間違やすい漢字」を定期的に紹介しています。今回は意外と読み間違っている、2文字の漢字をピックアップします。

1、「平生」

最初は「平生の心がけが大切だ」

最初は「平生の心がけが大切だ」などと使う「平生」です。さて、何と読みますか?

「ヘイジョウ」あるいは「ヘイセイ」などの答えが聞こえてきそうです。漢字「生」の常用漢字表記載の音読みは、「セイ」と「ショウ」があります。「ショウ」の読みを「呉音」と言います。日本に最も古く伝わった音で、「生涯(ショウガイ)」「往生(オウジョウ)」などの熟語がありますね。それに対し、「セイ」の読みは「漢音」と言います。これは、「呉音」より後に日本に伝わった、唐の時代に都の長安で使われていた音で、「生活(セイカツ)」「人生(ジンセイ)」など、現代使われる多くの語の読みはこちらですね。
この「平生」は、「ふだん・つねひごろ」という意味です。ほぼ同じ意味の熟語に「平常(ヘイジョウ)」がありますから、これに引かれて「ヘイジョウ」と読みがちですが、正解は「ヘイゼイ」です。「生」にはもともと「ゼイ」という読みはないのですが、「連濁(朝+霧をアサギリと読むのと同じ)現象」で、「平」の後ろに付いた「生」を「ゼイ」と濁音で読むのです。

2、「絶佳」

次は「風光絶佳の地」などと使う

次は「風光絶佳の地」などと使う「絶佳」です。さて、何と読みますか?

「ゼッカ」派と「ゼッケイ」派に割れるのではないでしょうか。実は、漢字「佳」の常用漢字表記載の音読みは「カ」のみで、「ケイ」の読みはありません。「佳」の漢字右側の部分の「圭」は「ケイ」と読みます(ただし常用漢字外)ので、ここから「佳」も「ケイ」と読んでしまうのでしょう。また、著名な芸能人に「佳」を「ケイ」と読む方が何名かいらっしゃいますので、その影響も否定できません。しかし、それは「人名としてそう読ませている」だけです。
したがって、人名ではない熟語「絶佳」は、「ゼッカ」と読まなければなりません。「絶」が「すぐれて」、「佳」が「美しい」ですので、「すぐれて美しいこと」の意味を表わしますが、主に「風景」に使います。そうなると、ほぼ同じ意味を表わす「絶景(ゼッケイ)」がありますので、紛らわしいですね。
なお、「佳」を使った熟語には、「佳人(カジン)」があり、「美人」のことです。

3、「幕間」

最後は「芝居の幕間」などと使う

最後は「芝居の幕間」などと使う時の「幕間」です。さて、何と読みますか?

これは「まく・ま」でしょう、という声が聞こえてきそうですが、正解は「まくあい」です。たしかに、「演劇などで、一幕が終わって次の幕が開くまでの間」つまり「休憩時間」のことですから、「まくま」でよさそうですし、実際そう読んでいる人も多いのですが、国語辞典の中には、はっきりと「まくま」と読むのは誤りとしているものもありますから、「まくあい」と読むべきでしょう。

なお、この「幕間」以外に「間」を「あい」と訓読みする語として、「山間」があります。こちらは「サンカン」という音読みもできるのですが、「周囲を山と山に囲まれた」という意味で「山間の村」などと使われる場合は、「やまあい」と読むべきです。あわせて、覚えておきましょう。

では、今回はこのへんで。

《参考文献》
・「なぜか9割の人が間違えている日本語1000」(青春出版社)
・「広辞苑 第六版」(岩波書店)
・「新明解国語辞典 第七版」(三省堂)
・「明鏡国語辞典 第三版」(大修館書店)
・「新字源」(角川書店)

文/田舎教師 編集/菅谷文人(CLASSY.ONLINE編集室)

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