モーニング娘。の5期メンバーとしてデビューし、今年で芸能活動20周年を迎える高橋愛さん。“プラチナ期”と呼ばれる時代をリーダーとして支え、卒業後は女優やモデルとして活躍。SNS総フォロワー数が429万人を超える(※2021年9月14日現在)などファッションアイコンとしても人気の高橋さんに、当時を振り返って話をしていただきました。
PROFILE
高橋愛(たかはしあい)●1986年9月14日生まれ。福井県出身。モーニング娘。5期メンバーとして2001年にデビュー。グループに10年間在籍し、リーダーも務める。卒業後は、舞台やアパレルブランドのプロデュースなど幅広く活躍。2014年にあべこうじさんと結婚。10月29日(金)に、デビュー20周年を記念したメモリアルブック『AI VERSARY』(宝島社)が発売される。
モーニング娘。という大きな看板にプレッシャーを感じたことも…
――デビュー20年おめでとうございます! 高橋さんの活動は当時大人気だったモーニング娘。への加入からスタートしましたが、モーニング娘。に在籍していた10年を振り返ってどのような心境ですか?
長かったと感じることもありますが、基本的にはあっという間で早かったですね! その中でも、モーニング娘。に加入をした最初の1年は特に早かったです。すでに出来上がっていて人気もすごかったモーニング娘。という大きな看板の一員になるということが、すごくプレッシャーで。周囲から「責任を持ちなさい」と言われていたわけではなかったけれど、入った瞬間からたくさんの仕事に追われて、先輩の足を引っ張らないようにするのが精一杯で。毎日必死にしがみついていたな、と思います。
加入当時は心のどこかで「私なんて…」という気持ちがあったのも事実
――高橋さんの加入時、すでにモーニング娘。は大人気グループでしたもんね。
私はテレビでモーニング娘。を見て憧れて、「このグループに入りたい!」と思ってオーディションを受けたので、自分が加入してからもしばらくはメンバーの一員という実感が持てなかったんです。先輩と話しても「モーニング娘。の人だ! すごい!」って思っちゃって(笑)。話しかけられてもすぐ顔が赤くなっちゃうし、先輩たちからは「高橋ってすぐ顔赤くなるよね!」って面白がられてました。それまで人見知りなんてしないタイプだったのですが、モーニングに入ってから急に人見知りになっちゃいましたね。心のどこかで「私なんて…」という気持ちがあったのも事実で、先輩たちに対して「私なんかに話しかけなくて、大丈夫ですよ」と思っちゃっていました。
――振り付けを覚えるのも大変でしたか?
そうなんです。全然覚えられなくて、でも“どうしてできないのかもわからない”みたいな状態でした。頭に入ってしまえば早いんですけど、頭に入れるまでに時間がかかる。今思えば、そういう状態だったとわかるんですが、当時はそれすらわからなくて。「覚え方を覚えなさい」とよく言われていましたが、「だから覚え方がわからないの!」という感じでしたね。
楽しみつつもメラメラと闘志を燃やしていた“プラチナ期”
――グループの中ではどんなキャラクターでしたか?
変に燃えていたと思います(笑)。ファンの皆さんがプラチナ期と呼んでくれている時期の楽曲は、難しい曲やかっこいい曲が多くて。つんく♂さんが作ってくださったそういう楽曲を高橋愛が歌うとどうなるのか。それを表現することに燃えていました。たとえば、『泣いちゃうかも』は詞の中のマリコちゃんになりきったり、『リゾナント ブルー』では共鳴させることを意識したり。MV撮影の時も、フリーの振りで自分をどう見せるか考えるのが楽しかったです。
ライブでは、自分のほうを見ていないお客さんをずっと見つめながら歌って、目が合うまで見つめ続ける!みたいな気合いの入れ方(笑)。楽しみつつ、でもメラメラと内なる闘志を燃やしながらやっていました。以前ヒャダインさんにお会いした時に「高橋さんってモーニング娘。時代、人を殺すような目をして歌ってましたよね」と言われたのですが、あながち間違ってなかったなと(笑)。モーニング娘。での活動の中も、この頃から余裕が出てきて楽しめるようになってきた感じでしたね。
リーダーに抜擢されるも…「本当に私でいいんですか?」
――20歳の時にはリーダーになりました。
急にリーダーに抜擢されて、仕事の速さについていくことが大変で。自分ではリーダーになるようなタイプではないと思っていたし、「本当に私でいいんですか?」という気持ちでした。そんなこと聞けませんでしたけどね(笑)。そんな時に助けてくれたのは、マネージャーさんやメンバーなど、周囲の人たち。私がうまく話せないことをガキさん(=新垣里沙さん)がみんなに伝えてくれたりすることも多くて、「ありがとー!」っていつも思ってました。だから、私がグループを引っ張っていたという意識はあまりないんですよね。“気づいたらリーダーになっちゃった!”という感じだったので、プレッシャーもそこまで感じてなかったように思います。
――リーダーとしてやっていくには周りの協力が必要?
必要不可欠です! 一人で全部やろうなんて考えない方がいいです。自分がリーダーだからと強く思いすぎると自分に対してプレッシャーになってしまうと思うんです。プレッシャーに押し潰されちゃうと、周りの言葉も聞こえなくなってしまいますよね。そういう状態になっちゃうと、せっかく人が教えてくれたヒントを聞き逃しちゃうんじゃないかな?と、私の経験で感じました。
私がリーダーになった時、いろいろな人が意見を言ってくれたのですが、それを聞かずに自分の世界に入っちゃった時があったんです。どんどん気持ちも落ちていってしまって、ネガティブ期が訪れてしまって。抜け出せたのは、みんなが助けてくれることに気づいたから。もともとリーダー気質で引っ張っていくことが得意な人もいると思いますが、私はそういうタイプじゃなかったので。周りにも助けてもらっていくことで、結果スムーズにまとまっていくなって気が付きました。
リーダーとしての責任を考えすぎると、もともとの目的を見失ってしまうこともあると思うんです。会社などでも、何かやりたいこととか好きな部分があって入ったのに、責任感に押し潰されちゃうと楽しめなくなっちゃう。リーダーだから絶対しなければならないことって、実はないと思います。自分らしいやり方で自由に楽しくやった方が、自分にとっても、周りにとってもいい環境が作れると思うんですよね。「私はモーニング娘。が好きだから、グループに入ったんじゃん」という、自分自身の昔の気持ちを忘れないよう、周囲に頼ったり助けてもらいながらリーダーしていた感じです。
ますます加速していくモーニング娘。を見たい!
――卒業をされた今でも、モーニング娘。のファンとおっしゃっていますが、OGとして後輩にエールをお願いします。
現リーダーのフクちゃん(=譜久村聖さん)たちにも言っているのですが、「どんどん前に行ってちょうだい!」って伝えたい! 先輩たちが作り上げてくれたからモーニング娘。があるとか、モーニング娘。の歴史をすごく意識してくれるんですけど、今のモーニング娘。の1ファンとしては、もっともっと進化していく姿を見たいんですよね。モーニング娘。の過去に引っ張られるのではなくて、今のモーニング娘。がどんどん伸びていく姿を見たい! もちろん今も見せてくれていますが、過去を気にせずもっと吹っ切れたら、さらに勢いが加速すると思うので。変化して、進化していく姿を見たいですね!
高橋愛20周年メモリアルブック 『AI VERSARY』(宝島社) 10月29日(金)発売!
モーニング娘。として、モデルとして、妻として…芸能生活20年を迎える高橋愛のすべてを詰め込んだメモリアルブック。プロデューサー・つんく♂氏との初の2ショット対談や、現役・モーニング娘。’21メンバーとのビューティ撮影、50ページにも及ぶファッションシューティングなど、高橋愛の感性・魅力あふれる一冊。
撮影/千葉タイチ 取材/川端宏実 編集/宮島彰子(CLASSY.ONLINE編集室)