【宝塚】望海風斗さんと真彩希帆さんのラスト公演について~ショー編~|ヅカオタ編集Mがアツく語る⑫

withコロナ時代に少しずつ活気を取り戻しつつあるエンタメ業界。『宝塚歌劇』もその影響を受けつつ、出演者とファンの熱い思いにより連日公演を続けています。この機会に宝塚デビューしたい!というCLASSY.読者の方に、ヅカファン歴20年の編集Mがその魅力を好き勝手にご紹介します。
今回は、東京宝塚劇場で公演中の雪組公演『fff-フォルティッシッシモ-』『シルクロード~盗賊と宝石~』について。雪組トップスター望海風斗(のぞみふうと・89期)さんの魅力については以前もさんざん語ったのですが、とうとう、卒業公演が大詰めを迎えています。その観劇感想を、ネタバリありで史上最高の長さで語りまくります!

【宝塚】望海風斗さんと真彩希帆さんのラスト公演について~ショー編~|ヅカオタ編集Mがアツく語る⑫

演出家・生田大和先生の望海さん愛炸裂ショー

以前、ショーの演出をする生田先生は、望海さんのことが大好きなのでは、という話を書きました。ショーのプロローグから五感いっぱいに広がる情報量の多さに「めちゃくちゃ気合入っている!!」と圧倒されたのですが、望海さんファンの友人が負けない熱量の感想を送ってくれたので、そちらから紹介します。

・ショーはとりあえず黒燕尾が最高。望海さんを頂点とした黒燕尾にある、乱れのない美しさと緊張感
・彩風さんを中心とした男役たちの気迫が凄まじい
・下級生が黒燕尾の型を一つ一つ丁寧にキチッと決めて踊る姿に、望海さんの香りがして嬉しさに涙が出た
望海さんのやりたいことと生田先生のやりたいことじゃんじゃん詰め込んで全然尺が足りなかったんじゃないかと思う
・望海さんのターバン、真ん中の分け目をものすごく緻密にずらしていて、顔とのバランスが最高
・まさかのバンドネオン上海再び。劉衛強をオペラで追っていると口から理性が飛び出しそうになる
大世界の椅子まわりは全部やばい
・サヨナラ公演は羽山先生の飾りなし黒燕尾だといいなと思ってたから夢が叶った!
・卒業したらもうこんなウインクもスモークたいたデュエダンもない、と思うと何回見ても見足りない…

本当はもっと細かい感想を送ってもらったのですが、言葉で表現するのに限界を感じたので一部抜粋しました。個人的には、劇団内で一番望海さんのファンなのでは、と思う生田先生と、リアル望海さんファンの真剣勝負のような舞台だな、と思いました。情報量の多い駆け抜けるようなドラマチックなショーは、生田先生の仕掛けた無数の「こんな望海さんが見たかろうスペシャル」に、ファンが「その通りです!!」とどんどん正解札を掲げていくような作品だな…と感じたのですが、そんな双方の熱すぎる気持ちを、絶対的な歌唱力ですべて受け止め、表現してくれる望海さんが終始舞台上にいました。

他にも友人からは「とある場面ではけていくときに下手前方に凪さま(この公演で同じく卒業する彩凪翔さん)が落とすウインクが狙い撃ちでつらい。ファンクラブ入る!!って思うのに退団してしまう」という嘆きの感想も送られてきました。彩凪さんファンの友人の声も少し紹介します。

翔くんは後ろ姿すら美しい。上手で天からスポットを浴びる姿の美しいこと。その背中が素敵でつい見惚れてしまう
・翔くんが娘役さんと目を合わせる姿がみたくてオペラを覗いていた。恋の予感が劇場に広がっていく香りがする
・色っぽい横顔から鋭い視線を放つ翔くんに、フィナーレにして出会ってしまう階段降りのかっこよさ
・舞台袖に入る直前、下級生に目を合わせくしゃっと笑いかける姿の優しさに、心奪われずにいられない
・ひたむきに男役を極める背中や、目を合わせた人へ暖かく微笑みを返すような優しさが好き
あんなにお洒落に着こなされたチャイナ服を見たことがない

個人的お気に入り「盗賊と宝石~世界の再生」

宝塚の大きな舞台を隅々まで埋め尽くすような生田先生の熱い演出に、終始視界がカラフルでお祭り騒ぎ、という感じのショーですが、その中で異色だと感じる場面がありました。それが「S18 盗賊と宝石~世界の再生について」

組子の群舞のあと、舞台が一瞬暗くなり、その奥からスポットライトに照らされた望海さんが一人登場します。伏目がちな表情から静かに歌い出す望海さんの姿に、編集Mは不意にお披露目公演『ひかりふる路』を思い出し、泣きました。ここで歌い出す「盗賊と宝石」は菅野よう子さんによる楽曲で、その綺麗なメロディにのせられた望海さんの綺麗な声が、震えるほど感動的です。さらに音楽が盛り上がり相手役の真彩さんと一緒に歌い出すのも、生田先生による粋な歌詞にも、ファンとして胸がいっぱいになりました。ひとつ、先生に質問したいのは、この歌詞にある「君の最後を 俺が奪おう」は、誰から誰へのメッセージですか?ということくらいです。

他にも「希望」という言葉がたくさん使われていること(”望”海さんと真彩”希”帆さんの名前をとって”きぼう”コンビとも呼ばれています)、未来と書いて「あした」と読むことにも、考えすぎかもしれませんが色々と深読みをしたくなってしまいました。そういう歌詞を書いてくれるのが、生田先生ならではだな、とも思います。

次期トップ「咲きわ」コンビについて

最後に個人的なときめきポイントを上げて雪組の感想を終わりたいと思います。それは望海さん・真彩さんのお二人からトップスターのバトンを渡される彩風咲奈さん・朝月希和さんのお二人について。

先に言ってしまうと、編集Mはこの次期トップコンビがすでに大好きです。もともと『ひかりふる路』やショーなどでもよく組んでいたお二人ですが、その時点で「この並び、最高では…」と思っていたのが、なんと公式にトップコンビになることが発表されました。しかもお披露目公演は「『CITY HUNTER』 -盗まれたXYZ-」。「え?」と思う方も多いかもしれませんが、そうです、あの冴羽 獠が、宝塚で観られるんです。もうこの時点で面白いに決まっている。一部の配役以外、詳細はまだ不明ですが、たぶん、Get Wildが流れて彩風さんがセリから登場したら、編集Mは泣くと思います。

宝塚のコンビはすべてその時の巡り合わせで決まります。男役と女役といえど、女性同士の仕事仲間である以上、ファンには見えないところで苦労されることもあるかもしれません。でも、舞台で幸せな雰囲気を出せる、というのは、やはりお二人の相性がいいのだろうと個人的には思っています。ダンスも、歌も、お芝居も、そういう根底に流れるものがにじみ出るのが生の舞台。すでにそこが盤石に思えるこの「咲きわ」コンビに、私は雪組の明るい未来を見ました。あくまで想像ですが、望海さんや真彩さんにとっても、同じ組の後輩に安心してバトンタッチできるというのは、とても幸せなことなんじゃないかな、と思っています。

望海さんファンの友人からも「望海さんが去った後はどんなに寂しいか、大きなパーツが抜け落ちたようになるのかなと勝手に思っていたけど、そんな心配はマジで無用でした」と言われ、トップスターと二番手がとても美しい形で引き継がれていく雪組の今後がますます楽しみになりました。

以上、ヅカオタ編集Mによる、雪組公演の感想でした。この公演は4/11、とうとう千秋楽を迎えます。千秋楽はライブ配信も予定されているので、ぜひ宝塚歌劇団公式サイトをチェックしてみてくださいね。

そもそも宝塚歌劇団とは?

花、月、雪、星、宙(そら)組と、専科から成る女性だけによる歌劇団。男性役を演じる「男役」と女性役を演じる「娘役」がおり、各組のトップスターが毎公演の主役を務める。兵庫県宝塚市と千代田区有楽町にそれぞれ劇場があるほか、小劇場や地方都市の劇場でも年に数回公演をおこなう。
公式サイト:https://kageki.hankyu.co.jp/
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