「八郎沼」現象も話題になった朝ドラ『スカーレット』を皮切りに、ドラマ『#リモラブ~普通の恋は邪道~』、現在放送中の『知ってるワイフ』、『ぐるナイ』レギュラー出演と人気、勢いがますます加速中の松下洸平さん。初の主演舞台も控え、超多忙な日々の中で、もしオフタイムがあったら?優しい空気に包まれた松下さんの休日を覗いてみました。
家ではずっと音楽を流して過ごしています
朝ごはんを作りながら好きな音楽をかけて…僕の休日に音楽はマストです
好きな音楽は、ほぼ家で聴いています。テレビのお仕事をしているのに、あまりテレビを見ていないのが申し訳ないんですけど(苦笑)。今はストリーミングで聴けるプレイリストもすごく増えたし、新しい音楽と出会うきっかけにもなるので、家ではずっと音楽を流していることが多いですね。特に休日は極力、仕事から離れようと思っていることもあって、朝ごはんを作りながら好きな音楽をかけて、みんなが想像するような理想の優雅な休日を再現して「今、自分は休んでいるんだ」ってことを体にわからせてます(笑)。そんなのんびりした時間の過ごし方は休日にしかできないし、僕の休日に好きな音楽はマストです。最近よく聴いているアーティストは藤井風さん。藤井さんの世界観は本当に素晴らしいと思います。Nulbarich(ナルバリッチ)も好きですね。今、ライブツアーを一緒にやっているバンドのギターとベースがNulbarichのメンバーということもあって、よく聴いています。
家では作曲もしていますが、「作るぞ!」って思ってできたためしはあまりないかな(苦笑)。ふとした瞬間というか、なにか刺激を受けた時にひらめくことが多いですね。楽しいことや嬉しいことがあった時はその気持ちを残したいと思うし、悲しいこと、寂しいことがあった時もその気持ちを忘れたくないと思うし…。そういう瞬間って自分で作ろうと思ってもなかなかできないから、日常のなかで起きることを良いことも悪いことも含めて、なるべく多く触れられるような生き方をしていたいなと思います。
Nulbarich(ナルバリッチ)を聴いてみる?
待望の主演舞台を控えた今の気持ちを松下さんに聞きました
――’04年に堤真一さん、深津絵里さんら豪華キャストで初演された舞台『カメレオンズ・リップ』に主演する松下洸平さん。
「お話をいただいた時は、本当に僕で務まるのかどうかという不安はもちろんありました。とても豪華な共演者の皆さんとご一緒するなかで、自分に与えられた役の大きさを痛感していますが、稽古でも本番でもたくさんのものを吸収できると思うので、そういう意味ではワクワクもしています」
――松下さんが演じるルーファスは初演時には堤真一さんが演じた役です。
「僕にとって、堤さんは尊敬し憧れている存在です。昔、堤さんの若い頃に似ていると言われたことがあって、なんとなく意識していました。僕が初めて出演したCMでも、ご一緒したのが堤さん。僕は2秒くらいしか映ってないんですけど、何か勝手にご縁を感じていました。堤さんの飾らず武骨でありながら、どこか悲しげなところが時折見えるお芝居もよく意識していましたね。その堤さんが演じたルーファスという役を僕がやる。改めて当時のDVDを拝見しましたが、ルーファス以外の何者でもない。ここに新たに僕というフィルターを通さなければいけない。僕のなかで堤さんという存在を一度消して、まったく違うルーファスにしなければと思ったし、この作品で自分らしさみたいなものを見つけられればと思います」
――ルーファスは『スカーレット』の八郎さんとも『#リモラブ』の青ちゃんともまったく違うトリッキーな役。松下さんのほっこり癒し系なイメージからは想像できません。
「皆さんが持ってくれているイメージとは違う自分をどれだけ出せるか――。役のイメージを常に壊しながら、新しいものを作りたい。作り手としてはそれが醍醐味ですし、今までの自分をどれだけ壊せるかが楽しみです。きっと新しい自分に出会えると思うから、今作では役を作りこむのではなく、その場で起きることにどれだけビビッドに反応できるかが僕のこれからの課題だと思ってます。自分でもこんな顔をすると思わなかったとか、こんな声が出るとは思わなかったっていう、その瞬間しか生まれないものに出会えたら――。でもそれをやるにはものすごい勇気が必要なんですよね。丸裸で突っ込んでいかないと、そういう瞬間には巡り合えない。ああしようこうしようって考えてるうちは、その枠の中でしか生きられない。そういうものを一切振り払った瞬間に新しい自分に出会えると思うので、『カメレオンズ・リップ』では一回でもそんな瞬間を感じたいですね」
――予測不可能なクライム・コメディという今作。ルーファスをはじめ、登場人物すべてがトリッキーで観客は翻弄されそうです。
「ものすごくエネルギッシュな作品になると思います。登場人物みんなが巧妙に騙し合うのではなく、最終的に誰が誰を騙してるのか、誰が嘘をついているのかわからない。そこでもがく人々のエネルギーを間近で感じていただける。こんな声が出ると思わなかったっていう瞬間が、僕だけじゃなく、それぞれの俳優たちに起きると思うんです。その一喜一憂感を感じていただきたい。映像では絶対に感じられない、舞台ならではのドキドキを生で体感していただきたいと思います。舞台は今も僕のホームです。映像で得たものを還元したいと思います。今、演劇はコロナ禍で綱渡りな状態ですけれど、しっかりとした感染対策をしたうえで皆さんをお待ちしています」
Kouhei Matsushita
’87年3月6日生まれ 東京都出身 血液型A型●’08年シンガーソングライターとしてデビュー。翌年『GLORY DAYS』で初舞台。’18年の舞台『母と暮せば』『スリル・ミー』で第26回読売演劇大賞 杉村春子賞・優秀男優賞を受賞。’19年NHK朝ドラ『スカーレット』で一躍人気となる。現在、ドラマ『知ってるワイフ』(フジテレビ系)に出演中。「ぐるぐるナインティナイン」(日本テレビ系)にもゴチメンバーとして出演。映画『燃えよ剣』が10月公開予定。
待望の松下洸平さん主演舞台が4月より上演!
KERACROSS 第三弾『カメレオンズ・リップ』
劇作家・演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチの名作戯曲を、気鋭の演出家たちが新たに創り上げる『KERACROSS』の第三弾。様々な人々がそれぞれに嘘をつき、騙し合い、事態を混乱させ、破綻してゆくという予測不可能のクライム・コメディ。演出/河原雅彦 出演/松下洸平 生駒里奈 ファーストサマーウイカ 坪倉由幸(我が家)野口かおる 森準人 シルビア・グラブ 岡本健一●4月2日(金)~4日(日)北千住・シアター1010、4月14日(水)~26日(月)日比谷・シアタークリエ、5月中旬まで各地公演あり。 https://keracross.com
川﨑一貴(MOUSTACHE)ヘアメーク/宮田 靖士(THYMON Inc.)スタイリング/丸本達彦(UNFORM) 取材・文/駿河良美 撮影協力/AWABEES、UTUWA
[衣装]カーディガン¥54,000 シャツ¥38,000 パンツ¥54,000(すべてTRANSITUOMO/STOCKMAN)エプロン/スタイリスト私物