連続ドラマの原作となった小説『サバイバル・ウエディング』の著者が、婚活してみたら…。
Over40こじらせ男子の奮闘記をお届けします。
「原宿の母」に占ってもらいました
「婚活奮闘記」というタイトルなのにもかかわらず、結婚に対してうしろ向きなことばかり書いていたら、先日、僕のツイッターに、こんなご意見をいただきました。
「オオハシ君、絶対幸せにしたいと思える相手に出会えれば変われるよ」
なるほど…。そんな女性に出会えれば、僕でも結婚に対する考え方が変わるかもしれません。
問題はその人がどこにいるかです。
そこで今回は占い師さんに占ってもらうことにしました。やっぱり、そんな女性がどこにいるか手っ取り早く知りたいじゃないですか。出会いのスポットに行くのとか、いろいろ面倒なんですよね。忙しいですし。
力のある占い師に、「西に30歩行かれよ。さすれば運命の人に出会える」とか、「フェイスブックで『○○ゆう子』と検索してみなされ」とか、そういうアドバイスをもらうことができれば、婚活が一気に進展するかもしれません。
そこで今回、伺ったのは、あの島田秀平さんの師匠でもある菅野鈴子さんです。「原宿の母」として30年も活動されている、とても有名な占い師さんです。
さっそくホームページから申し込むと、原宿の母からメールが届きます。
「まず、生まれた時刻と場所を教えてください」
生年月日だけではなく、生まれた〇時〇分がポイントのようです。そこで母、美恵子に僕の生まれた時間を聞きます。
《俺って何時何分に生まれた?》
《15時21分です》
《ありがとう。助かった》とお礼を返すと、
《あなたを産むのにはとても苦労しました。一生懸命生きてください》と意味深なメッセージが返ってきました。
40歳を過ぎて、こんなことをしている僕に、「原宿の母」の前に「茨城の実母」から警告を受けます。
さて、当日、原宿の母がいる神宮前のマンションを訪ねると、派手なカットソーに派手なエプロンを合わせた、菅野先生が迎えてくれました。
扉をあけて、まず初めに目に入ったのは、壁一面に貼ってある浦島太郎の世界を思わせる絵です。しかも浦島太郎も乙姫も顔が切り抜かれていて原宿の母の顔に変更されています。
そのエキセントリックな演出に「失敗したかな」と思いました。
しかしながら腕は本物でした。席につくなり、星座の記号がかかれた紙を基に説明が始まるのですが、「外面がいいけど、内面が違いすぎる」と、核心をつかれます。
「あなたには、ケバケバした人じゃなくて、さりげなくセンスが光る和テイストの人がいい。地味だけどセンスがいい人ね」
「あと、あなたは金星、火星がおうし座だから食にこだわりが強い。食が合う人を探すこと」
最近太ってきたので、ラーメンとパスタを同じ日に食べないと決めている僕はこだわりが強いのかもしれません。
さらに「今年と来年が勝負だから、がんばりなさい」と激励されます。
しかしながらネガティブな僕はこう聞きます。
「ちなみに僕は結婚願望があまりないんですけど、どうしたらいいですかね…」
「料理を覚えるといいよ」
「料理をしたら結婚願望が出てくるんですか」
「ううん、そうじゃない。料理を覚えたらね、『料理できたよ』『君がつくる料理はおいしいね』って一人二人役ができるじゃない。そうすれば、結婚する必要はなくなる」
「ああ、たしかにそれをしたら、結婚する必要なくなりますね…、って、おい‼」
と思わずノリツッコミしたくなるユーモアまで持ち合わせています。
そして最後に聞きたかったことを聞きます。
「ラーメンとパスタを同じ日に食べない、地味でセンスのいい女性はどこにいるんですかね?西ですか東ですか?」
「それはわからん。自分で行動しないとだめ」と至極まっとうなアドバイスをしてくれました。
やはり自分で動かなければいけないようです。
というわけで、地味だけどセンスが光り、ラーメンとパスタのローテーションに付き合ってくれる女性を探したいと思います。
僕の婚活は続きます…。
この記事を書いたのは「大橋弘祐」
『文庫版 サバイバル・ウエディング』文響社¥680
大橋弘祐(おおはしこうすけ)
作家、編集者。 立教大学理学部卒業後、大手通信会社を経て現職に転身。初小説『サバイバル・ウェディング』が連続ドラマ化。
『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』はシリーズ40万部を超えるベストセラーに。
撮影/小田駿一