世界でもいち早く女性のメンタルヘルスに取り組んできた「kate spade new york」【今月のウェルビーブランド】
編集室長・水澤が毎月気になるウェルビーブランドに注目して、その成り立ちや背景、理念までリサーチする連載。今回はケイト・スペードの代表柳澤さんにインタビュー。世界でもいち早くメンタルヘルスとウェルビーイングに取り組んできた歴史を教えてもらいました。
今月のウェルビーブランドは…「kate spade new york」
ルワンダの女性とコミュニティをサポートできる特別なバッグ
ルワンダに拠点を置くサプライヤー「アバヒズィ・ルワンダ」で製造された「オンパーパス」シリーズ。購入することでルワンダの女性とコミュニティをサポートすることができます。こちらはコレクション10周年を記念して作られたボウをあしらったトートバッグ。上・ネイビー¥51,700下・ブラック¥56,100(ともにケイト・スペード)
【kate spade new york】
1993年にニューヨークで誕生、バッグやアパレル、ジュエリーやギフトなど毎日の生活に特別な彩りを添えるアイテムを提案。メンタルヘルスをソーシャル(社会的)インパクト活動の中心に据え、世界中の女性や女のコをエンパワーすることをブランドのミッションとしている。
「kate spade new york」の代表柳澤さんにインタビュー
水澤:今まで色々なSDGsの取り組みを伺ってきましたが、女性のメンタルケアは初めてです。どのような経緯で始まったのでしょうか?
柳澤:2013年に内戦で荒廃したルワンダの女性たちを支援する目的でプロジェクトが始まりました。現地を訪れたチームが手工芸の伝統を守る現地の雇用を生み出す仕組みを何とか作れないかと、マソロにあるハンドバッグ製造会社「アバヒズィ・ルワンダ」と一緒にオンパーパス商品を作り始めました。最初は復興をサポートする一企業からスタートして、徐々に工場のオペレーションを一緒に組み立て、さらに試行錯誤を重ねてケイト・スペードの高いクオリティの商品を現地で一貫して生産できる仕組みを作りました。
水澤:一時的なチャリティではなく、正式なサプライヤーなんですね。
柳澤:従業員がちゃんと頑張って働いた分、しっかり自身の給与にも反映することを目指しました。さらに「アバヒズィ・ルワンダ」では、就業前の時間を「ライフスキルトレーニング」という形でメンタルヘルスや生活の安定化をサポートしています。内戦から日が浅いルワンダの国民の多くに戦争経験があります。そこでトラウマを含めたメンタルヘルスのケアや、それ以外の生活に必要な知識も提供しています。
水澤:そこでも女性のメンタルヘルスのケアに重点が置かれているんですね。
柳澤:そして2018年にブランドの創業者自身が自ら命を絶ってしまったことで、もう一度私たちに何かできるかを見つめ直し、ブランドの使命として、メンタルヘルスをソーシャルインパクト活動の中心に据えて、女性のエンパワーにさらに注力することになりました。
水澤:なかなか触れづらい問題にもかかわらず、そこにも向き合いながらブランドの方向性を示したんですね。今後の目標はありますか?
柳澤:そうなんです。私たちは豊かな土壌に花が咲くようにメンタルヘルスをしっかり養って安定させることが女性活躍のための土台だと考えています。それにもかかわらずメンタルヘルスはネガティブなイメージを持つ方も多い分野。もっと気軽に話せる環境やプラットフォームがあってもいいですよね?そういった状態を変えていくためにアカデミックなリサーチや国連などの機関と協力して活動を進めています。2023年は女性のウェルビーイングをテーマにしたカンファレンス「ウーマン デリバー カンファレンス」にファッションブランドとして初めて登壇し、メンタルヘルスの重要性についてまとめた調査結果を報告して多くの方に注目してもらうことができました。現在日本のジェンダーギャップ指数は146カ国中125位です。日本の女性の自己肯定感を上げるためにも、まだまだできることがたくさんあると思っています。
水澤:CLASSY.もそのお手伝いができたらと思います。よろしくお願いします。
【kate spade new york】メンタルヘルスとウェルビーイングに取り組み
撮影/五十嵐 洋 取材/佐藤かな子 再構成/Bravoworks.Inc