とっておきのジュエリーこそ、大切な人と共有したい——“シェアジュエリー”を提案する不定期連載に登場してくれた俳優の笠松将さん。朝の連続テレビドラマ小説「らんまん」への出演も話題の笠松さんに、これまでのキャリアの道のりや転機となった出来事、お仕事に向き合う価値観について、今の等身大の気持ちを教えてもらいました。
順風満帆とは言えない駆け出し時代。スカウトされるために原宿を歩いた日も
——役者を志したきっかけを教えてください。
17、8歳の頃に「できそう」「楽しそう」「やってみたい」と甘い気持ちで役者を志しました。調べると、どうやら事務所に入るらしい、ということが分かり、100通くらい手紙を書いて事務所に送りました。返事がきたのは3社だけ。その中のひとつに、演技学校への誘いもあったのですが、金銭面のこともあり諦めました。順風満帆なスタートとは言えないですが、当時は何も知らなかったから、こういうものなのかな、と思っていて。よくテレビや雑誌で女優さんが「○○でスカウトされました」って言っていたから、原宿とか歩いてみたのですが、全然スカウトされないんですよ(笑)。その後もエキストラの現場や芝居のワークショップに行ってみたりしましたが、なかなかしっくりこなくて。漫画の主人公だとしたら、木のボートで物語が始まるような、まぁまぁ“いい感じ”のスタートでしたね。
——木のボートで始まった笠松さんの役者人生。今は、どのくらいまで進んできましたか?
今は60巻くらいまで進んできたかな。「ONE PIECE」で言うと新世界編、ちょうど第二章が始まった感じです。
キャリアを重ねる中で意識しているのは、人との繋がり
——これまでの役者人生で、仕事観が変わったり、転機になったことはありますか?
ひとつひとつの作品があったから、今まで続けられているわけで、ひとつ挙げるのはすごく難しいな……。エキストラで参加した作品で、主演の俳優さんにすごく優しくしてもらって、「この人と仕事できるようにがんばろう」とか「こういう人がいっぱいいる世界でがんばりたいな」って向き合えたのもターニングポイントだし、自分の人生について考えさせられた作品もあるし、その場その場でかけていただいた言葉がきっかけになったこともある。転機になった出来事はなかなかひとつに絞れないですが、役者人生を歩む中で人との繋がりはすごく意識していますね。
落ち込んだときこそ、チャンス。絶対に逃げずに自分と向き合います
——お仕事で悩むことはありますか?
仕事で悩むことはもちろんあります。例えばみんなは「右だ」と言っているけれど、僕的にはそうじゃない、という状況って起こりがちで。そのときの選択は作品によって選んだ方がいいと思っていて、空気感や現場の雰囲気を読んで周りに合わせることもあるし、覚悟を持って真逆に行くこともあります。どちらが正解かは分からないけど、自分を持っていないと振るい落とされる世界だと思いますし、ここで確実に決めておかないとっていう場面もあるから、悩みますよね。みんなで仲良くしていたり、周りに可愛がってもらっている方が楽だけど、どこかで舵を切らなきゃいけない瞬間は必ずあって。そのカードの切りどころが人生の醍醐味だと思っているので、自分を持つということは大切にしています。
——失敗したり、落ち込んだときは、どう向き合っていますか?
落ち込んだときは、とことん落ち込んで、あとはやるしかない。落ちた気持ちを緩和するために、お酒を飲んでみたり、誰かに頼ったりはしないです。その状況から絶対に逃げない。フローリングの上で正座です(笑)。失敗とか落ち込んだときってみんな逃げるからチャンスなんですよ。そこでひとり、グッと進めば見たことない世界に行ける、と考えています。
PROFILE
1992年生まれ。愛知県出身。2011年に俳優を目指して上京。2013年から本格的に俳優活動をスタート。2020年には「花と雨」で長編映画初主演を果たした。以降、NHK大河ドラマ「青天を衝け」、Hulu「君と世界が終わる日に」、Netflix「全裸監督2」、WOWOW「TOKYO VICE」、Disney+「ガンニバル」など多くの作品で活躍。現在放送中のNHK連続テレビ小説「らんまん」にも出演。
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撮影/木村 敦 ヘアメーク/MIZUHO(vitamins) スタイリング/柴原啓介 取材/坂本結香 編集/宮島彰子(CLASSY.ONLINE編集室)