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辛酸なめ子の「おうちで楽しむ」イケメン2020vol.3「全世界が夢中『愛の不時着』イケメン」

STAY HOME期間中、「おうちで楽しむ」イケメン供給源として絶大な威力を発揮した『愛の不時着』。Netflixで全世界配信され、韓ドラに興味のなかった層も夢中にさせたヒョンビン演じるリ・ジョンヒョク中隊長をはじめ、4人のイケメンについて辛酸なめ子さんが分析します。

辛酸なめ子の「おうちで楽しむ『愛の不時着』イケメン4選」

辛酸なめ子の「おうちで楽しむ」イケメン2020vol.3「全世界が夢中『愛の不時着』イケメン」

『愛の不時着』を見始めてから、つい北朝鮮関連のニュースに反応してしまう、という人が増えているのではないでしょうか。先日も北朝鮮が南北の通信を遮断、さらに南北連絡所を爆破したというニュースが流れました。その話題に一抹の切なさを感じたのは私だけではないと感じます。「南北間で連絡ができなくなるなんて一大事」「大切な人と二度と会えなくなってしまう……」と、ドラマと現実の区別がつかなくなりかけていますが、とにかく影響力が大きい大人気ドラマで、見終わったあと「不時着ロス」になる人も多いそうです。同じ時代の隣の国なのに、時空を超えるような世界観で展開するドラマティックなストーリー。その魅力の一つはイケメンの存在。しかも普通のイケメンではなく超レアな、北朝鮮のイケメンです。
韓国からパラグライダーで不時着したヒロイン、ユン・セリ(ソン・イェジン)が、北朝鮮の兵士リ・ジョンヒョクに助けられ、禁断の恋に落ちるというストーリー。その北朝鮮兵、ヒョンビンが演じるリ・ジョンヒョク中隊長がとにかく女心を鷲づかみしています。今回はジョンヒョク以外にも心に刺さったイケメンを挙げさせていただきます。

優しさとストイックさがキュンすぎる リ・ジョンヒョク

Photofest/AFLO

超まじめで硬派な中隊長、ジョンヒョクは実は総政治局長の息子で、セレブな財閥の令嬢セリとはいわば上級国民同士、国は違っても身分や感覚的に釣り合っているのかもしれません。しかしセリは北朝鮮のジョンヒョクの家にかくまわれることになり、田舎すぎる村や奇妙な体操をする子どもたちにドン引き。韓国と全然違う北朝鮮の風習も明らかに……。
そんな環境で自分を律し、煩悩とは無縁に粛々と生きてきたストイックなジョンヒョクが素敵です。「アロマキャンドルが欲しい」とかワガママなリクエストをするセリですが、ジョンヒョクはそもそもアロマキャンドルを知らず……。でも、その後ちゃんと学習してアロマキャンドルを持ってきたり、コーヒーが飲みたいというセリのために豆を炒ってコーヒーを淹れたり、不器用ながらも一挙一動に優しさがあふれています。セリの髪の毛を北朝鮮風に一つ結びしてあげるシーンにも萌えました。セリを守らなければという強い使命感で、常に真顔で彼女を心配そうに見守るジョンヒョク。どこへでも駆けつけてくれます。マッチョなのにスイスに音楽留学していてピアノが弾けるというギャップ感にも惹かれます。
ドラマの序盤で、セリをかばうために彼女は婚約者だと周りに嘘の説明をしたジョンヒョク。彼女を船で南に逃そうとしたら、警備艇長に見つかってしまいます。「僕だけを見て」とセリに言いながら咄嗟にキスして、船の中でイチャつくカップルのフリをするジョンヒョク。その不意打ちのキスは胸キュンでしたが、2人のイチャつきを見た警備艇長の「共和国の未来を担う新芽を芽吹かせていたんですか?」という大仰なセリフもインパクトがありました。このドラマの影響で、男女のラブシーンを「新芽を芽吹かせる」と表現するのが流行ったら楽しいかも、と妄想。
ちなみにキスシーンやハグシーンは時々出てくるのですが、不思議とそれ以上の関係にはなりません。男女がひとつ屋根の下にいるのに……。視聴者としてはそのほうが純愛ストーリーに集中できるので良いのですが、いい大人なのになぜ、という思いもあります。しかしストーリーが進んでいくにつれ、なんとなくその疑問がとけました。ジョンヒョクとセリは、何度もお互いの命を救い合います。そのくらい刺激的な関係だと、性行為なんて必要なくなってしまうのかもしれません……。間一髪で命を助けたり死にかけたり看病したりされたり……といった行為のほうがカタルシスで満たされるのでしょう。
また、マッチョでイケメン(韓国では「顔天才」とも表現)で強くてサバイバル能力が強くてと完璧なジョンヒョクですが、ちょっと危うさを感じたのはゲームのハマり具合です。後半、韓国でネットゲームにハマりまくって敵に対し本気でキレたりしていたのですが、彼はゲームや娯楽とは距離を置いたほうがよいタイプかもしれないと感じました。もし韓国で暮らしたら鍛え上げた筋肉も落ちて、家でだらだらゲームして半分ヒモみたいな残念なイケメンになってしまいそう……。セリを守る、ということに集中しているうちはいいのですが、その熱中の対象がゲームに変わったら、リアルな戦いよりもゲームの仮想現実の中で生きるようになってしまう姿が想像できます。北朝鮮の厳しい環境が彼のイケメン度を保つのには有効なのかもしれません。

どこか憎めないセクシーな詐欺師 ク・スンジュン

Photofest/AFLO

キム・ジョンヒョン演じるク・スンジュンもファンが多いようです。英国の市民権を持った大金持ちの実業家で韓国で詐欺を働き、身を隠すために北朝鮮へ。セリの財閥ファミリーに入り込もうとしてセリにフラれたという過去があります。
クールなルックスと時々見せる不敵な表情や悪い笑顔がセクシーでかっこいいです。傲慢な面もあり、人に対して怒鳴ったり、常に苛立っている印象が。しかし自分の思い通りにならないことだらけの北朝鮮で人間的に成長していったのか、優しさや人助けといった部分も見せるようになります。とくに、ジョンヒョクの昔からの婚約者で彼の心変わりに悩む令嬢、ソ・ダンに対して詐欺師ならではの対人テクニックや格言を伝授するシーンも印象的でした。
「人にときめくのは結末がわからないから。先に心をつかむべきだった」「愛が古くなって腐ったんだ。そんなものは捨てろ」といった言葉が視聴者の心にも響きそうです。スケールの大きさを感じさせるキャラです。

本当は心優しい「耳野郎」 チョン・マンボク

YONHAP NEWS/AFLO (劇中写真ではありません)

軍の盗聴室で、人々の会話を盗聴し続けるのが仕事のチョン・マンボク(キム・ヨンミン)。「耳野郎」という俗称で呼ばれ、後ろめたさが漂っています。人の秘密や知られざるドラマを知ってしまい、盗聴しながら泣くこともある、本当は心優しい男性。
北朝鮮はとにかくいたるところに盗聴機がしかけられているようで、ジョンヒョクが平壌のホテルに行った時は、ランプや火災報知機、リモコンなど各所から盗聴器を見つけ出していました。実際にマンボクのような闇フェロモン漂う「耳野郎」が薄暗い部屋に並んで働いているのかもしれません。後半、韓国を訪れたシーンではサウナを初体験し、初めてリラックスして解放感あふれる表情を見せていて、画面ごしにホッとしました。

群れる姿が可愛いイケメン部下兵 パク・グァンボム

AFLO (劇中写真ではありません)

主人公ジョンヒョクが率いる中隊に所属する4人の若い兵士が群れているシーンが可愛くて癒されます。フツメン2人とややイケメン1人とイケメン1人という構成で、一番カッコいいイケメンはイ・シニョン演じるパク・グァンボム。長身でスタイルがよく現代風のルックスです。韓国で数々のイケメンを渡り歩いてきたヒロインのセリからも、一番イケメンだとと評価されていました。ホメられても淡々とした反応で、自分の魅力を自負しているようです。
4人まとめてセリにとっては弟のような存在。韓国を訪れたシーンでは、食生活や電化製品、ファッションなどに素直に驚く朴訥な姿が可愛いです。アパレルショップでダメージジーンズを初めて見て「縫ってから売ればいいのに」と眉をひそめる男子もいましたが、グァンボムはいち早く穿きこなしていたのが印象的でした。

ちなみに北朝鮮の脱北者のインタビュー記事を読んだところ……北には彼らのようなイケメンはあまりいないそうです。そもそも、正恩氏のように「太っているのがイケメン」という価値観だとか……。やはりドラマは現実とは違います。16時間ほど良い夢を見させてもらいました。
また、ドラマの見どころとして北朝鮮の知られざる風習や生活ぶりを知ることができる、という面もあります。実際、「宿泊検閲」「律動体操」「祈りの水」「自我批判」など気になる風習だらけですが、そちらのほうを調べ始めるとディープな方向に行ってしまうので、ラブストーリーやイケメンに集中したほうが良さそうです。私もつい北朝鮮の式典での兵士の行進動画までチェックしてしまいましたが……そこにはジョンヒョクもグァンボムもいませんでした。南と北の境界、ジョンヒョクとセリの間の見えない線など、様々な境界線が出てきましたが、ドラマと現実の線引きも必要です。

「愛の不時着」
ヒョンビン (「アルハンブラ宮殿の思い出」「シークレット・ガーデン」) とソン・イェジン(「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」「私の頭の中の消しゴム」)が主演を務め、圧倒的な人気、話題を集めているラブストーリー。パラグライダー事故で北朝鮮に不時着した財閥の娘ユン・セリと、彼女をかくまい愛してしまう北朝鮮の将校リ・ジョンヒョク。絶対極秘の2人の愛の行方は?Netflixにて独占配信中。

辛酸なめ子
イケメンや海外セレブから政治ネタ、スピリチュアル系まで、幅広いジャンルについてのユニークな批評とイラストが支持を集め、著書も多数。近著は『スピリチュアル系のトリセツ』(平凡社)、『辛酸なめ子の世界恋愛文学全集』(祥伝社文庫)など。

撮影/村山元一(SIGNO)<辛酸さん分> 構成/CLASSY.編集部

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