音楽はお好きでしょうか?自分が演奏する方だけではなく、自宅のオーディオやコンサート会場で聴くのが何より好きという方も多いことでしょう。今回は、音楽に関係する漢字のうち、「楽器」の名前を紹介します。多くは西洋から伝わった楽器の多くを日本語で表す場合、もともとの原語をその発音に近いカタカナ表記にしていますが、かつては、その楽器の形状や特徴から、漢字を当てた、いわゆる「当て字」表記を試みたものがたくさんありました。さて、どれくらい読めるでしょうか?
1.「洋琴」
最初は「洋琴」です。実は、楽器の当て字は、「琴」の字を含むものが大変多いのですが、歴史をさかのぼっても、「琴」はもともと「弦楽器の総称」ですから、楽器を表わすのにはもってこいの漢字なのですね。さて、「洋琴」は何と読むでしょうか?
「弦楽器」であることにとらわれ過ぎて、「ギター」「ハープ」などと読んだ方はいませんか。正解は、「ピアノ」です。明治の文豪である夏目漱石も自身の小説の中で、この表記を使っています。現代の日本のポピュラーソングだと、「鍵盤」と書いて「ピアノ」と読ませる歌詞を見かけることがありますね。
ところで「ピアノ」というのは略称だということをご存じでしたか。正式名称は「ピアノフォルテ」と言いますが、「弱音(ピアノ)も強音(フォルテ)も自在に出せる」ことから命名されたと言われています。
2.「風琴」
次は「風琴」です。前問でも紹介したように、これも「琴」の字を含みます。その前の「風」の字は、何を意味しているのでしょうか。「風のような音色?」「風が吹いて音が鳴る?」。このへんが正解を導くカギですね。では、読んでみてください。
正解は「オルガン」です。「フウリン(風鈴)」ではありませんでした。
では、なぜ「風」の字が使われているのか。「オルガン」は基本構造として「風を送って音を出す」楽器だからです。かつての小学校の教室には、足踏み式の「リードオルガン」がありました。大きな教会やコンサートホールには大型の「パイプオルガン」が設置されているところもありますね。
ところで、「口風琴」「手風琴」もあります。音が出る構造が似たところがあるこの二つは、それぞれ「ハーモニカ」「アコーディオン」と読みます
3.「提琴」
最後は「提琴」です。これも「琴」の字を含みます。「提」という漢字はどんな意味を表すか、よく考えてみてください。さて、読めましたか?
正解は「ヴァイオリン(バイオリン)」です。ちなみに、このカタカナ表記はどちらも間違いではありません。「提」という漢字は、「提(さ)げる」と訓読みしますが、「提(さ)げる」とは、「手にさげて持つ・かかげる。持ちあげる」という意味です。この楽器を演奏するスタイルがイメージできましたでしょうか。
なお、オーケストラの音楽に詳しい方なら、「ヴァイオリン(バイオリン)」より少し大きく、形状が似た「ヴイオラ(ビオラ)」をご存じですよね。こちらは「中提琴」と書きます。また、形状がもっと大きくなって、もはや「提げる」のではなく、足の間に抱きかかえるようにし弾くのが「チェロ」ですが、これは「大提琴」です。正直なところ、このへんになると「ひねり」がありませんね。
いかがでしたか? また、近いうちに音楽特集をやります。では、今回はこのへんで。
《参考文献》
・「広辞苑 第六版」(岩波書店)
・「新明解国語辞典 第八版」(三省堂)
・「明鏡国語辞典 第三版」(大修館書店)
・「新字源」(角川書店)
・「当て字・当て読み漢字表現辞典」(三省堂)
文/田舎教師 編集/菅谷文人(CLASSY.ONLINE編集室)
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