【King&Prince 神宮寺勇太主演】『葵上』『弱法師』取材会見全文書き起こしレポート

King & Princeの神宮寺勇太さんが単独初主演する舞台、『葵上』『弱法師』が本日より上演スタート! 公演初日に行われた取材会には、主演の神宮寺さんと共演の中山美穂さん、演出を手がけた宮田慶子さんが登壇。撮りおろし舞台写真とともに、会見の様子を全文書き起こしでレポートします。

――いよいよ初日を迎えたわけで

――いよいよ初日を迎えたわけですが、神宮寺さん、今の気持ちはいかがですか?
神宮寺「そうですね~。ひとつはやっぱり楽しみにしてます。僕自身のこういう姿を皆さんに見ていただくというのはなかなかない機会なので、ぜひ足先から頭の上まで堪能していただければなってふうに思っております」

――結構、ファンの方はビックリするんじゃないですかね?
神宮寺「どうなんですかね。僕も自分のこと鏡であまり見てないんで、どんな動きしてるかってのはあまり想像がつかないですね」

――初めての単独主演ということになりますが、そういう意味でもこの作品はとても難しい作品だと思います。作品の印象はいかがでしたか?
神宮寺「本当に皆さんにご迷惑たくさんかけて…、キャストの皆さんにもスタッフの皆さんにも本当にいろんな方に支えていただいて、やっとこう…完成ではないんですけど、皆さんに支えてもらいながら僕もレベルアップさせていただきました。それほど一人だと立ち向かえないくらいの難しい大きな壁という印象はすごくありました」

――演出の宮田さんから何かアドバイスはありましたか?
神宮寺
「たくさんいただきました。本当に、たくさんいただきました!『葵上』と『弱法師』のいろんなサブストーリーじゃないですけど、そういったドラマを宮田さんと一緒に作らさせていただいて、『ここはこういう感じのドラマがあるんじゃない?』みたいなことを昨日もちょうど話していたところです」

――一番、心に残っているのは、どういう言葉ですか?
神宮寺
「これ絶対聞かれると思ってたんですけど(笑)。何個もあるんですけど、本当に心にあるのが、『役をまとう』とか『役をまとってステージに出る』とかよく言うじゃないですか。そうじゃなくて『役を食べちゃえ!』っていうふうに言っていただけたのがすごく印象的に感じて。あ、鎧うんじゃないわ、自分の中に落とし込んで発する言葉なんだっていうのを改めて感じて――。『食べちゃえ』っていう表現が新しくて、すごく僕の中で印象に残ってます」

――宮田さん、ちょっと今照れて

――宮田さん、ちょっと今照れてましたけれど、その言葉が出たっていうのは、宮田さんから見た神宮寺さんにはどんな印象があったんでしょうか?
宮田
「そうですね、とにかく吸収が良くて、そして日々いろんな突っ込みを入れてみると、ことごとく返ってきて。もう次第に『底なしのポテンシャルを持ってるな、この人は』と思って、いろんなことを投げて、投げて、投げてきました。昨日も言ってたのは…、“作戦会議”とか言いながら二人で作戦を立てながらいくんですけれども、」
神宮寺「そうですね(笑)」
宮田「この本当に難しい戯曲に対して非常に知的に論理的に分析もしつつ、いざ演じていく時にはすごく動物的なカンというんですかね、そういうものも全部使ってくれるので本当に毎日楽しいです、私は(笑)。あの、“日々アップデート”って言ってるんです。『毎日毎日、とにかく探していこうね、更新しながらいこうね』って言ってます。本当に掘れば掘るほど、いろんなものが出てきます」

――では、最初に会った印象からは変わりましたか?
宮田「もちろん初対面でスタートさせていただいたけれど、もう最初から素直にガーッと全身できてましたので、すごい集中力だなと思って。『きっといろんな顔が隠れてる、いろんな顔を持ってるぞ』ってちょっとやったらすぐわかったので、それを一つ一つ引っ張りながら――。でもゆっくりお稽古させていただいたので、彼も日々アップデートを重ねつつ時には寄り道も経験して、『この枝葉は違ったね』って戻る余裕もありながらここまで来たような気がします」

――アップデートし続けるというなかには、すごく苦労したり落ち込んだりってこともありましたか?
神宮寺
「僕ですか? 落ち込みはないですね。言っていただけたほうが僕はすごく助かりますし、それをなんか嘘でごまかしてもらうと自分が困っちゃうので、正直に『ここはこうだよ、ここはちょっと違うんじゃない?』ってところを言っていただいたほうが。僕は落ち込むというより、それをいかに取り入れられるか、バージョンを更新できるかっていうのを目標にやらせていただきました」

――で、役を“食べて”きたわけですね。
神宮寺
「(笑)。おっしゃるとおりです。食べさせていただきました」
宮田「すいません、食いしん坊なもんで」
(場内・笑)
宮田「とりあえず食べとくと元気になるかなと(笑)」
神宮寺「いっぱい食べました(笑)」

――中山美穂さんとも初共演とい

――中山美穂さんとも初共演ということですけど、お互いの印象を教えてください。まず、神宮寺さんから。
神宮寺
「本当に、たくさん助けられました。お稽古中も本番も」
中山「(小声で)そんなことないです。そんなことないです」
神宮寺「こういう舞台の経験がほとんどなくて、お芝居の経験も多くないので、引っ張っていただきながらお芝居をしていただいて本当に助かりました。初めて座長としてやらせていただいてるんですけど、本当に皆さんに支えてもらいながら、今ここで初日を迎えております。それくらい頼もしい方です」

――中山さんはいかがでしたか?
中山「これから始まるのに、もうなんか~(笑)。」
神宮寺「終わったみたい?(笑)」
中山「そんなふうにおっしゃっていただけて」
神宮寺「いやいやいやいや(笑)」
中山「皆さんでお稽古を頑張ってきて、そのなかで座長として本当にしっかりしていらっしゃったから。ものすごく素直な方なんですよ、驚くほど。直観力もとっても働いて、すぐ自分のなかでスマートに変換して動いてらっしゃるので、そういう姿を拝見して私も刺激になりましたし、先輩とはいえ私も舞台経験が豊富ではないので、『ごめんね』って思いながら、」
神宮寺「いえいえ」
中山「『新人みたいなのに、先輩みたいにいてごめんね』って心の中でずっと思いながらいました。いろんな作品があって、この役をやっている方はいっぱいいらっしゃると思うんですけど、彼が若林さん(『葵上』の役名)であり俊徳さん(『弱法師』の役名)で私は良かったと思ってます」
神宮寺「ありがとうございます」

――特に、神宮寺さんが素直だなあと思ったエピソードはありますか?
中山
「何に対してでも『はい!』って全部受け止めるんですよ。で、すぐ次の瞬間から切り替える。『なんで?』とか『違う!』とかそういう隙間を見せない。そこがすごく初々しかったです」
(場内・笑)

――可愛らしいなっていう感じですかね?
中山
「そうですね。ふふふ。だって可愛いですもん」
神宮寺「はははは(笑)。ありがとうございます」

――作品の中ではかつての恋人役

――作品の中ではかつての恋人役など近い関係も演じるわけですから、男性として見た印象はいかがでしたか?
中山
「実はそんなにお話してないんですよね。落ち込んでる暇がないっておっしゃってましたけど本当にそうで、落ち込んだり考えすぎて自分が『うぅーっ』ってなる瞬間もないほどの一カ月でしたので、ふと和むような会話とか…『食べ物は何が好きなの?』とかそんな会話すらひとつもしてないです。なので役の中で『どうくるかな、こうきたか』みたいな感じで見ていました」

――では公演が始まってから、少しお話する時間ができるかもですね。
中山
「そうですよね」
神宮寺「ね。本当に毎日長い期間お稽古をやらせていただいたんですけど、あんまり僕自身に余裕がなくてずっと台本に向き合ってたので、本番始まってからお話しようと思ってました。僕、好きな食べ物はカレーです」
(場内・笑)

――今の時期みんなでご飯とか行けないですけど、座長として差し入れとかケータリングとかは考えてますか?
神宮寺「考えてます。考えてます。はい。でも言わないですよ」

――教えてくれないんですか?
神宮寺「教えてほしいですか? いやだって、これマイク入ってるから館内にバレちゃうじゃないですか(笑)」
――じゃあ今日もう用意してるってことですね?
神宮寺「今日、ではないです」
――用意してる日はもう別にある?
神宮寺「はい」
――みんなにわかっちゃいますもんね。
神宮寺「これもう館内放送されてるんで、恥ずかしいです。でもまあ元気の出るようなもの、ということですかね」

――中山さんは宮田さんの演出は

――中山さんは宮田さんの演出は初めてですよね? どういう印象ですか?
中山
「本当にたくさんのことを教えていただきました。私は落ち込みやすい、考え込みやすいタイプなんですけど、すごくいろんな言葉を使ってあらゆる角度からこの役、この作品についてたくさん説明してくださったんですよね。それが本当に全部書き留めてあるほど、助かりました。エネルギーもありますし、ものすごくいろんなことを考えてらっしゃるし、尊敬に値する方ですね」

――中山さんにも「役を食べちゃいな」って言葉はあったんですか?
中山「『食べちゃいな』っていうのはなかったですね」
神宮寺「はははは(笑)」

――宮田さんは、中山さんとの舞台はいかがですか?
宮田
「もちろん毎日拝見していて美しいなあと思いながら…。そしてやはりとても知的なんですよ。この三島作品って難しいのは三島さんの文学性というか、とても美しく格調高い論理的に組み立てられた言葉があって、それを役者が生身の言葉としてしゃべっていかなければならないというギャップを、毎日ヒリヒリするほど集中しながら探してくださって――。この作品をやるのに、私のほうがずいぶん助けていただいたところが本当にあります。このセリフは、こういうふうに美穂さんが埋めてくださったんだっていう発見もずいぶんさせていただいたし…。日によっては『美穂さん、今日カッコいいです!』とかね」
神宮寺「ははははは(爆笑)」
宮田「そんなお稽古をさせていただいてました」

――三島由紀夫さんの作品ですし、時代的に神宮寺さんもしゃべりにくい言葉使いだったと思います。それを二作品。かなり長いセリフもあって大変だったんじゃないですか?
神宮寺「本当に覚えられる自信がなかったですし…」
宮田「短い作品なんですが、二作品とも同じキャストでやったのは初めてかもしれない」

――そうだったんですか。いろんな方が演じてますけど?
宮田
「たて続けにこのヘビーな役を二つやっていただくって、なんてことをお願いしてしまったんだろうと途中からちょっと悩みましたね。でも、この二人なら大丈夫だと思いました」

――でも大変でしたよね?
神宮寺「そうですね。最初の頃は夜も寝られなかったです。本当にこれが自分に覚えられるのかって、すごく思いましたね。でもたくさん稽古を重ねていただいたので、僕としてはすごくありがたかったし、そこでいろんなものを自分の中に落とし込む作業ができたので、それは本当に助かりました」

――セリフの覚え方で工夫したことはありましたか?
神宮寺「えー、なんだろ。でもたぶん皆さんと一緒だと思います。読む、これにつきます。声に出して読むって感じでしたね。ずっとひたすら読んで覚える。暗記ですね」

――King & Princeの現場でも覚えてましたか?
神宮寺「いや僕、現場ではやらないです。家じゃないとできないです。誰かがいるとちょっと集中力が減っちゃうんです。なので夜は寝れなかったですね、本当に」

――今ここにいるのは、まさか神宮寺さんの生霊じゃないですよね?
神宮寺「ご想像にお任せします。ははは(笑)」

――King & Prince

――King & Prince のメンバーも観に来てくださると思いますけど、今作に主演することについて何かアドバイスやエールはもらいましたか?
神宮寺「そうですね、『どうやってセリフ覚えてる?』って改めて聞いたことがあって。僕、あまりメンバーにはそういうの聞かないんですけど。みんなからは『リズムで覚えちゃいな』とか『俺はただ家で覚えてる』って言ってもらったり。岸くんには『大丈夫、お前ならできる』みたいに言ってくれました。『お前』とは言わないか、『神宮寺ならできる』って言ってくれましたね。その言葉はすごい心強かったですね。その言葉を胸に、今ここに立っています」

――観てくれた後の感想も楽しみですね。
神宮寺「そうですね。絶対、観に来ると思います!」

――劇場に観に来られる方、来られない方もいらっしゃると思いますけど、神宮寺さんと中山さんからファンの皆さんにメッセージをください。中山さんからお願いします。
中山
「今夜から上演が始まりますけど…、頑張ります。観に来ていただいた方に、少しでも?たくさん?(笑)、何かが伝わってくれればと思います。最後まで頑張りたいです」
神宮寺「そうですね。僕も最初はとても難しい作品だなと思ったんですけど、読めば読むほど、そして演じさせていただければいただくほど、僕自身、三島作品に対する興味が強くなってすごく惹かれていったんです。観に来られる方には三島さんの世界観をこの機会に知っていただけたらなと思いますし、今回残念ながら来られないという方は小説や本を読んで、『もしかしたら神宮寺くんが演じる“光”はこういうふうにやるのかな』って妄想していただきながら楽しんでください。頑張ります! ありがとうございました」
(場内拍手)

『葵上』『弱法師』―「近代能楽集」より―

全8編の短編戯曲による三島由紀夫の代表作「近代能楽集」。その中から「源氏物語」を原典にした『葵上』と『弱法師』を連続上演。舞台単独初主演となる神宮寺勇太が『葵上』では美貌の青年・若林光を演じ、『弱法師』では戦火で視力を失った二十歳の青年・俊徳役に挑む。共演は5年ぶりの舞台出演となる中山美穂。『葵上』では光のかつての恋人・六条康子を、『弱法師』では俊徳を救おうとする調停委員・桜間級子を演じる。作/三島由紀夫、演出/宮田慶子、出演/神宮寺勇太(King & Prince) 中山美穂 篠塚 勝 木村靖司 加藤 忍 渋谷はるか 佐藤みゆき 金井菜々 【東京】11月8日(月)~28日(日) 東京グローブ座【大阪】12月1日(水)~5日(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ https://www.aoinoue-yoroboshi.com

撮影/和佐田美奈子 取材・文/駿河良美 構成/CLASSY.編集室

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最新号 202411月号

9月28日発売/
表紙モデル:今田美桜

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