前・後編にわたりお届けしている、仲村トオルさんのCLASSY. ONLINE特別インタビュー。前回の記事では8月22日から公演される“ケムリ研究室no.2”『砂の女』について、そして後編では特別に読者からの相談にお答えいただきました!
【読者からの相談内容】「人前に出ると緊張する癖を克服したい!」
普段の会話ではまったく問題ないのですが、プレゼンなど大勢の人の前に出ると異常に緊張してしまいます。社内外のプレゼンを任せられる機会も増えてきたのですが、しっかり準備していても、あがってしまいうまく話せません。最近はリモートでのプレゼンが増えたのでまだマシですが、対面に戻る前に“あがり症” を克服するコツが知りたいです!(31歳・金融機関勤務)
緊張感は持ったままでいい。それが魅力的に見えることもあります
僕も舞台の初日には「なにかアクシデントが起こって、明日に延びないかな」と思ったりするほど緊張します。本当にそうなったら困るし、やるしかないので緊張したまま舞台に出ていきますが――。実は、緊張感は持ったままでいいと思ってるほうです。心の中の緊張感だけを切り取れるわけでもないし、緊張感と仲良くなるというか、手が震えていても止めようとしないでそのまま出ていけばいいんじゃないかって――。
この方がプレゼンの準備にどれだけ時間がかけられるのか、わからないですけど……娘が幼い頃、ピアノの発表会の前に「弾けるようになった」と言うので聴いてみたら、そこそこミスタッチする。「『弾けるようになる』って言うのは1回ノーミスで弾けることじゃなくて、20回弾いて18~19回ノーミスで弾けて初めて言えることだよ」と言ったことがありました。僕らも〝カメラの前で監督やディレクターを説得する〟というプレゼンに似たことを毎日のようにやっていますが、練習の回数は多いほうが失敗の確率は低くなると思ったら、少しは緊張が和らぐのかもしれません。「しっかり準備しても」とおっしゃってますが、もし準備する時間が十分にない時は失敗しても私の責任じゃないと思うというのはどうでしょうか(笑)。
逆に、緊張していることが魅力的に見えることもある気がします。同業者の方で緊張でセリフをかみまくってしまって、でも必死な感じがとても魅力的だと感じたことがあります。この方もプレゼンで言葉がつっかえてしまったり、見せる資料を間違えてしまったりしたとしても、一生懸命伝えようとすれば、失敗も含めて魅力的に見えたりするのでは、と思います。個人的な好みかもしれませんが、余裕を持った演技というか、自信たっぷりな匂いがするより、映像でも演劇でも初めてでたどたどしかったとしても、必死に伝えようとする一生懸命さが伝わってきた、と思った瞬間が何度もあります。自信や余裕があることが必ずしも魅力的ではないというか――。なので緊張は克服しなくてもいいことかもしれない。って、克服したいって言ってるのにすみません(苦笑)。
仲村トオル
‘65年9月5日生まれ 東京都出身 血液型A型●’85年の映画『ビー・バップ・ハイスクール』のオーディションに合格し、俳優デビュー。以降、『あぶない刑事』シリーズ、『チーム・バチスタ』シリーズ、『家売るオンナ』シリーズなど数々の映像作品に出演。KERA MAP『グッド・バイ』など舞台のキャリアも重ねている。現在、ドラマ『八月は夜のバッティングセンターで。』(テレビ東京系)が毎週水曜深夜に放送中。『連続ドラマW 密告はうたう』(WOWOW)が8月22日スタート。10月よりドラマ『日本沈没-希望のひと-』(TBS系)が放送予定。主演映画『愛のまなざしを』は年内公開予定。
【公式HP】https://www.kitto-pro.co.jp/
『砂の女』公演情報
劇作家・演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下、KERA)と女優の緒川たまきが結成した演劇ユニット「ケムリ研究室」の第2回公演。近代文学の傑作と評される安部公房の小説『砂の女』を原作に、上演台本と演出をKERAが担当する。出演:緒川たまき 仲村トオル/オクイシュージ 武谷公雄 吉増裕士 廣川三憲●8月22日(日)~9月5日(日)シアタートラム、9月9日(木)〜9月10日(金) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
問:キューブ☎03-5485-2252 http://www.cubeinc.co.jp
撮影/平井敬治 ヘアメーク/宮本盛満 スタイリング/中川原 寛(CaNN) 取材・文/駿河良美 構成/中畑有理(CLASSY.編集部)
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