普段から何気なく使っている言葉でも、実は使い方を誤っているものは意外と多いものです。
特に誤ったまま多方面でその言葉が使われている場合、それが正しい使い方だと思いこんで、さらに誤った使い方が広まってしまうケースも……。
そこで今回は、日常生活でも耳にすることが多いけれど“実は使い方を間違っている日本語”を4つご紹介します。
1.「下手をすると上手くいくかもしれません」
「ひょっとすると」という意味で、たとえば「下手をすると良いところまでいくかも」「下手をすると上手くいくかも」などと使っている人もいるのでは。
しかし、「下手」というのは「手際が悪いこと」を表す言葉です。つまり「下手をすると」とは「手際が悪いままでは、ひょっとして……」という意味の言葉であり、悪い事態が予想される時にのみ使います。
そのため「下手をすると~」の後に良い事態が予想される言葉をつなげるのは誤りです。もし「良い事態が起こるかも」という意味のことを伝えたいのであれば「“うまくすると”プレゼンが通るかも」と言う方が良いでしょう。
2.さいさきが悪い
「出だしが良い」あるいは「出だしが悪い」といった意味で、「さいさきが良い」「さいさきが悪い」と使う人もいるでしょう。
“出だし=さいさき”のことを言いますが、「さいさき」を漢字で書くと「幸先」。この漢字のとおり「幸先(さいさき)」は「幸いの前触れ」の場合にのみ使うことができます。
そのため「さいさきが悪い」と言うと間違いなので注意しましょう。
3.熱にうなされる
熱病に苦しみ、寝込む様子を「熱にうなされる」と言う人もいるのではないでしょうか。しかし「熱にうなされる」という表現は誤りです。
熱病にかかり、正常な状態でないことを表す場合は「熱に浮かされる」と言います。
本来「熱にうなされる」という言葉はなく、熱病にかかると悪夢にうなされやすいことから「熱病」→「悪夢にうなされる」→「熱にうなされる」と連想し、誤解して使われるようになってしまったのでしょう。
4.犯罪をおかす
ニュースなどで「犯罪をおかす」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。一見、何の間違いもない言葉に聞こえる人もいるかもしれません。
しかし実は「犯罪」という言葉自体に「罪をおかす」という意味があります。「犯罪をおかす」というと「犯罪(罪をおかすこと)」にさらに「おかす」をつけているため、同じことを二回繰り返しているのです。この場合「罪を犯す」が正しい使い方ですよ。
上記の言葉のうち、あなたはいくつ正しい使い方を知っていたでしょうか。普段から耳にすることのある言葉だからこそ、それが正しい使い方だと思ってしまいがちです。
もし今回ご紹介した中で誤った使い方をしていた言葉があれば、ぜひこの機会に、正しい使い方を覚えておきましょう。
参考文献
監修:
文/大内千明 画像/Shutterstock(ESB Professional、GaudiLab、Stokkete、Olena Yakobchuk)
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