普段、仕事や日常会話で使っている漢字はある程度スラスラ読めても、読み方が想像もつかない漢字であったり、簡単な漢字なのに他の漢字との組み合わせで見たこともない言葉になると、つい詰まってしまうことありますよね。
しかし、そのような漢字を読める人こそ、周りから尊敬され、“知的な印象”を与えるものです。
そこで、今回は、意外と正しく読める人が少ないけれど、読めると知的な印象を与える漢字をご紹介します。
1.「覚束ない」
「覚束ない」には「確かでない、ぼんやりとしたさま」「物事のなりゆきが疑わしい」といった意味があります。
たとえば「覚束ない記憶」「お酒を飲みすぎて足元が覚束ない」などと使われることが多いでしょう。
そんな「覚束ない」の正しい読み方は……
「おぼつか(ない)」です。
「おぼつかない」という言葉を会話などで使うことはあっても、漢字表記になるとなかなか読めないこともあるでしょう。「かくそくない」などと読み間違えないよう、注意しましょう。
2.「刃傷沙汰」
「刃物を持って人を傷つけること」「刃物を持って争うこと」を「刃傷沙汰」と言います。
かつてはニュース番組などでも「刃傷沙汰」という表現が使われていましたが、現在では「傷害事件」と言うのが一般的になっているようです。
それだけに、正しく読める人が少なくなっている漢字でもあります。
そんな「刃傷沙汰」の正しい読み方は……
「にんじょうざた」です。
「じんしょうざた」「じんしょうさた」「にんしょうざた」など、惜しい読み間違いが多いので、漢字と読み方をワンセットで「刃傷沙汰(にんじょうざた)」と覚えるようにしましょう。
3.「挙って」
「あげって」「きょどって」「こぶしって」……。さまざまな読み方ができそうなこちらの漢字ですが、なかなか一発で正解を読み当てられる人は、そう多くはないでしょう。
「挙って」には「一人残らず」「全員で」といった意味があります。たとえば「挙って参加する」「町中が挙ってイベントを楽しむ」というふうに使われる言葉です。
そんな「挙って」の正しい読み方は……
「こぞ(って)」です。
元々「こぞりて」という言葉が促音(小さな「っ」または「ッ」で表される音)化して「こぞって」になり、「皆が手を挙げる」という語源から「挙って」という漢字がうまれたそうですよ。
4.「塔頭」
「塔頭」とは、禅宗において大きなお寺の僧侶が亡くなった際に、僧侶の弟子が師を慕い、塔のほとりに構えた寮舎のことを言います。
また、大寺院の隣にある小寺院も「塔頭」と言うそうです。
さらに、上記から派生して“師のお墓”を表す言葉としても使われるようになりました。弟子たちは、師のお墓である「塔頭」を管理して守っていたそうです。
「とうとう」と読み間違えやすい漢字ですが、正しくは……
「たっちゅう」と読みます。京都などの寺院に観光に行った際に「塔頭」を「とうとう」と読まないように気を付けてくださいね。
難読漢字の正しい読み方を知っておくことは、自分の知識も増え、周囲からの印象がよりよくなるきっかけにもなります。
今回ご紹介した漢字の中で、「読み方を知らなかった!」というものがあれば、ぜひ正しい読み方を覚えてくださいね。
参考文献
根元 浩『杏仁豆腐はキョウニンドウフが正しい!大人が読み間違うと恥ずかしい漢字』(中央公論新社)
文/大内千明 画像/Shutterstock(Kseniia Perminova、diy13、Syda Productions、Sergii Rudiuk)
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